駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

眩しい季節

2017年04月27日 | 自然

              

 この数日、新緑が目に染みる。意外かもしれないが春は鬱になりやすい季節でもある。一説には生命の息吹にあふれる兆候を目にして、付いてゆけない自分を自覚して憂鬱になりやすいとも言われる。

 確かに若緑の木の葉やすれ違うはち切れそうな女子中高生の一群が眩しく感じられる。この頃めっきり歩くのが遅くなり、家に帰るとぐったりの自分と引き比べてしまうのだ。幸い、年を取ることを受け入れる経験を積んできたので、憂鬱とまではならない。いつまでも若くと願う気持ちはわからないでもないが、見た目だけ若く中身も未熟な高齢者は始末が悪く、かえって気持ち悪い。新緑や若さは眩しいけれども、それを評価味わう能力は経年とともに深まる。そういう巡りあわせなのだ。

 命は移ろうと知れば、憂鬱にはなることもなく、春を愛でることもできよう。全てで永遠と思われる宇宙にも始まりと終わりがあると聞く、味わう老年力を楽しみたい。

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