駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

処方とレシペは同じ

2017年04月11日 | 診療

          

 今日も雨が降っている。風はないが本格的な雨で、雨用の靴を履いてきた。目まぐるしい寒暖の変化に振り回されて風邪っぽい患者さんが多い。

 風邪っぽくてわざわざ医者を受診する人は多くないが、高血圧、糖尿病、脂質異常症など内科系慢性疾患で通院されている患者さんが、受診ついでに風邪症状を訴えられることは多い。こういうのを一石二鳥とは言わないかもしれないが、風邪っぽくて受診して、ちょっと早いが定期の薬も頂戴という患者さんも多い。そうしたわけで、このところ咳痰鼻水嗄声(声枯れ)咽頭不快などの薬を処方することが多い。

 風邪なんかどんな薬でも変わりないよから鼻かぜにまで抗生剤を出してしまう医者までいろいろ居る。どちらかと言うと総合病院の風邪処方の方がワンパターンで、風邪はいずれにしろ良くなるんだからという見識からかきめ細かさに欠ける。そこへ行くと開業医は自分なりの工夫をしている医師が多い。工夫にもいろいろあって、経験に裏打ちされたきめ細かい処方をする医師と外れがないようにやや過剰な処方を出す医師とに分かれるようだ。

 確かに大きな差は出ないのだが、微差でより良いものを求めてしまうのが職人気質の臨床医の習性なのだ。脳梗塞や胃癌など命に関わる重い病気を診ている医者には大同小異と笑われそうでも、私なども十数種類の風邪処方を繰り出している。実はレシペには処方の意味もあって、開業医はレストランのオーナーシェフや街角中華の親父と似たところがある。コックがどうやって微妙な味を極めているのか知らないが、開業医はかかりつけ患者の経過反応を知ることができるので、そこからより良い処方を作り出している。まあ、正直大差はないが、つい工夫をしてしまうのだ。

コメント
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