駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

プロの思考回路

2014年05月17日 | 小験

                                     

 碁や将棋のプロは中盤の手の広い場面でも実際に選択肢に上がるのは三手程度だという。実は臨床医も同じで、長く臨床をしていると、こういう時はこれかあれかそれ以外だなと数十秒で見当が付く。余計なことを考えないで済むのがプロの能力なのだ。

 診療に完璧はないけれど、経験と知識がものを言うから、練達医は研修医に比べれば何倍も効率的により適切な診療することができる。こうした能力は研鑽と蓄積以外に身に付ける術はないので、消えゆく老兵と共に失われてしまう。今は病院勤務ではないので指導する機会が殆ど無く淋しいが、年に数名回ってくる研修医には短い時間でできる限り大切と思うことを話すようにしている。最大の教訓は失敗から得られるもので、今から思えば正直に話してくれた先輩には頭が下がる。自分もなにがしかを後輩に伝えたい。

 先輩の何気ない言葉は何十年経っても残っているもので今も数多く思い出すことができる。プレスリーではないが「Never say never」など、つい家族の顔を見て言いそうになるのを、戒めてくれたものだ。

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