駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

人間は何で出来ているか

2014年05月20日 | 小考

            

 人間は何で出来ているか?。酸素水素炭素などの元素あるいは蛋白質脂質炭水化物そして水といった化合物も一つの答えだろうが、私が一番に思い浮かべるのは記憶だ。人間は記憶で出来ていると思う。

 たとえ同じ遺伝子を持っていても、決して同じ人間にはならない。同じ思考力体力があっても、同じ記憶を持つことは出来ないからだ。勿論、時代の記憶というべきものもあって、世代の違いも生まれるわけだろう。

 人様々だから、還暦を過ぎてもギラギラと企てたり押しのけたりに精を出す人も居られるだろうが、まあ干支を一回りすれば思い出を反芻することに楽しみを見出すようになるものだ。あんなことがあった、あの街には行ったことがあると思い出す記憶の中に自分が居る。だから人間は記憶で出来ているというのが、科学的ではないかも知れないが、一番当たっているような気がする。

 半世紀以上の記憶を辿り、失われそうな他者の記憶を掘り起こし、感じ考え発言することから理解と味わいが生まれ、寛容と忍耐の精神も培われるだろう。そして意外かも知れないが、明日を切り開く道も見いだせるかもしれない。

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