駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

人の住めない場所に置くのがなぜ

2013年10月08日 | 町医者診言

            

 「放射性物質を含む焼却灰を人が住めない場所に置いたらいい」という誤解を与えるような発言は慎むべきだと菅官房長官から注意がされたと報道されている。いえいえ私の考えというのではなく質問として聞いたと、桜田副大臣は責任回避の弁明をしておられるようだ。

 一体どのような誤解を生むのだろう。放射性物質で汚染された地域の人達を腫れ物のように扱うことが、本当の思い遣りなのだろうか。一部の人を不快にする可能性のある発言をとっちめるより他に優先することが沢山あると思う

 病気は問診と診察だけでは確診に至らないことが多く、採血したり管を挿入したりといった検査が必要となる。こうした検査は多少とも痛みや苦しみを伴う。患者を痛めたり苦しめたりすることは好ましいことではないので、これはあいならんと禁止拒否すれば、手遅れが必至だ。実際に易きに走り、手遅れになってから掛け込まれる患者さんが居られる。

 放射能汚染などという言葉は聞くのも嫌だ、まして人が住めないところだから丁度いいなどとも取れる発言は許せんと拒絶し思考停止していたら、合理的な解決は遠のいて、放射能汚染物質の処理は遅れ費用は嵩んでゆくだろう。

 目先の快不快を緩和することに主眼を置いて立ち回っていると、手遅れになると申し上げたい。

コメント
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