駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

「てんでこ」の児童達

2012年01月18日 | 世の中

    

 昨日のクローズアップ現代で、津波で全員無事だった釜石小学校184人の証言が放送された。高を括りがちな大人の自分が恥ずかしくなると同時に、勇気と希望を貰った気がする。

 昨年の3月11日地震が起きた時、釜石小学校は既に下校時刻を過ぎており、子供たちは街中や家庭で自由に過ごしていた。津波に飲まれる市街を見て大人達は多くの子供が犠牲になったと覚悟を決めたのだが、彼らは全員無事だった。しかも、自分だけでなく幼い兄弟姉妹の手を引き、身体の不自由な祖父母を説得誘導し、足の不自由な友達を背負い、行政の制定した安全地帯(実は安全ではなかった)の更に山側高台まで逃げていたのだ。

 なぜ幼い彼らが、非常時に落ち着いて賢明な行動ができたのだろうか。それは普段(不断)の訓練と教訓が彼らの心に生きていたことと、彼らが子供の心を持っていたからのように思った。分析された片田敏孝氏が述べているように「てんでこに逃げろ」という言い伝えは、自分勝手に自分だけはというのではなく、家族や仲間たちとの信頼と絆があってこそ生まれる行動指針なのだと深く感動したことだ。

 それにしても懸命に走る子供たちの後姿のなんと愛おしいことだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする