大晦日、東京都心のホテルに泊まった。昼間、銀座三越で少し買い物をした。人出はさほどではなく、熱気は感じられなかったが、豊かな品揃え丁寧な応対に東京の底力を感じる。
いつも東京に来ると東京は凄い街だ思う。大都会でこれだけ清潔な街を知らない。東京の都心は大都会にも拘わらず緑が多く、適当に坂があり、重厚大振りな建物が控えめな意匠を見せながら、均一ではないが整然と並んでいる。
唯、この偉丈夫の大都会の人通りは少なく、生気活気がどこか物足らなく感じた。それを日本政治経済の病の徴候と捉えればよいのか、大人の成熟と捉えればよいのかはよく分からない。
私の仕事になぞらえれば、病気の徴候を早期に捉えることは極めて重要で、それは早期治療を呼び起こし小火を大火になる前に消し止めることが可能になる。早期徴候は自覚症状を欠くことが多く、治療には患者本人の率先した協調が必須となる。診断するだけでは優れた医師とは呼べず、患者に治療を受けさせ、生活習慣を変えさせる力があって初めて優れた医師と呼べるのだが、まあ、しかしこれが非常に難しい。
東京の都心を歩くとこれだけ清潔で、立派な首都を持つ国に根深い病巣があるとは私には感じられない。いつも東京は凄いと感心して帰途につく。