駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

軽いノリ重いノリ

2012年01月25日 | 医療

 医師会の委員会の新年会で妙なことを言われた。先生は重いノリだから患者がいろいろ言うんですよ、軽いノリでやると患者はいろいろ言わないんですよ。なんであいつん所は患者が多いんだという奴が居るじゃないですか、広い駐車場に洒落た作りにして。先生ん所はいろいろ回って辿りついた患者が多いんじゃないですか。患者が付いているんですよ。

 何処まで真実を突いているかは定かではないのだが、重いノリと言われては、へえそんな見方もあるのかと驚ろいてしまう。

 重いノリか軽いノリか知らんが、とにかく患者さんの自分勝手は適わん。脳梗塞で寝たきりのKさん85歳、もう五年往診している。誤飲性肺炎を起こしたので、助からない可能性もあると話をしたところ入院させたいと言う。それでは医院に戻って、病院に頼んでみます、高齢者はなかなか受けてもらえないのでS病院、N病院、T病院どちらでもよいですかと確認する。何処でもよいと奥さん。それでは受けてもらえる病院があれば連絡するので直ぐ救急車で行ってくださいと告げる。

 案の定、S病院では、他に入院待ちの患者さんが居られるので申し訳ありませんが駄目ですと断られる。二軒目のT病院、それは療養型じゃないですかと押し返されそうになったので、否生命の危険がありますのでと頼むと、そうまで言われれば、じゃあ何時に来れますかと言ってくれた。四十分くらいしたら救急車で行きますと返事をする。

 ところが「四十分してもまだ来ない医師看護師が用意をして待っているのにどうなっているんですかと電話」。慌てて患家へ電話をすると隣町に住んでいる娘があの病院は駄目、で娘さんの知り合いの居る隣町の病院へ行くことになったとしゃあしゃあと言われる。

 あっと驚く為五郎。T病院に平身低頭で謝る電話をしながら、五年間の往診はなんだったのだろうと思う。まあしかし医療はサービス業、サービス業の宿命と思うしかない。

 患者様とは呼ぶまいぞ。

コメント (3)
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