駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

佐藤優に学ぶ

2009年03月13日 | 人物、男
 鈴木宗男と共に生け贄?にされた男、佐藤優。一見いかにも鈍重悪そうで、迂闊にもなるほどと思わされてしまったが、実は泥まみれにされた原石を一擦りしたところ、赤く青く怪しく輝くダイヤモンドであった。インテリジェンスをなぜインテリジェンスと言うかが分かる。彼は日本に希有な外交の実体験と奥深い西洋史(キリスト教周辺の知識が欠かせない)の知識を持ち、それを生かして現代史を読み解けるインテリジェンスだったのだ。楽しそうにしている写真を見れば頼もしく、眼光が端倪すべからざる人物なのを物語っている。ラスプーチンなどと呼んで彼を畏れ疎んじ、貴重なダイヤモンドの原石を失った外務省の実力は、北朝鮮の小石でも刃こぼれするのではないかと心配になる。
 鈴木宗男にしても、田子作のような風貌で選挙区を車から身を乗り出して走り回る姿から、ずるく底の浅い人物という印象を持ったが、実は毀誉褒貶はあるにしても、定見を持ち恵まれない人間の心情を理解する人物のようでもある。
 どうも鉄格子の向こうに行くと、それだけで極悪人のような印象が形成されてしまう。自らの不明を恥じると共に、先入主とそれを導く報道の恐ろしさを感ずる。
 火のないところに煙は立たぬ式の感覚はしばしば大きな過誤を犯す危険を孕んでいる。高みの見物をする人の中に叩いて埃の出ない人が何人いるだろうか。限られた情報の中で真贋を見分けるのは至難の業ではあるが、鵜呑みにしないことと単一情報源依存を避けることを心がけたい。単純な理解(頭脳)はあっても単純な事件事象はないと佐藤優は教えている。
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