駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

患者コロンボ

2009年03月11日 | 診療
 懐かしい刑事コロンボを再放送している。コロンボの得意技は失礼しましたと別れてから、えーっと聞き忘れた事がありましたと戻ってきて、やれやれとほっとしている容疑者にチクチクと急所をつく質問をして焦らせることだ。
 患者さんの中にもコロンボと似た手法の方が居られる。医者の注意や指導は「はいはい」と聞き流し、受付に行ってから、睡眠薬を呉れ、貼り薬を呉れ、もっと投薬日数を長くして呉れと注文する。残念というか悔しいというか、こういう患者さんの中には、生活指導は二の次で、とにかく自分が希望の薬が貰えればそれでよしという感覚の方が居られる。
 睡眠薬や湿布薬を欲しい、あるいは二ヶ月分薬が欲しいのだが、なんとなく医者に直接言いにくい、あるいは言えば根掘り葉掘りいろいろ聞かれたり診察されたりするのが面倒というか嫌なのだろう。受付から電話で問い合わせがあれば、次の患者さんを診ていて忙しく、どうしてもああいいよと言うことになってしまい、患者コロンボの思う壺に嵌ってしまう。
 コロンボはとぼけて冴えない刑事のように振る舞っていて、最後には容疑者をぎゃふんと言わせる。町医者としてもコロンボ患者に売薬と医者の違いを見せつけてやりたいところだが、いつもそうした機会が巡ってくるとは限らない。どうしても説明して注意するような形になることが多く残念だ。
 しかしまあ、それにしても別れ際の一言。これには要注意。
コメント (2)
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