駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

乃南アサ、花散る頃の

2009年03月19日 | 
 乃南アサの「花散る頃の殺人」を読んだ。よく読むブログで面白そうに書いてあったからだ。女性作家の作品は面白く感じないことが多いのでほとんど読まない(男性作家も最近はあまり読まない)のだが、「花散る・・」は事件以外の仕事や生活周辺の描写もふむふむと面白く読んだ。音道貴子シリーズは私よりも一般男性の方がもっと興味深く読めると思う。私は長く圧倒的に女性の多い職場で働いてきたので、貴子が男社会の中で感ずることにそうかなと思う箇所がいくつかあった。
 思うに乃南アサは、私が違和感を感じないので、比較的古風な感覚の持ち主ではないだろうかと思う。
 事件は心に沁みる収束を見せる。こういう境遇は麻生とか笹川とか言う人にはわからないだろうと思った。挫折や本当に恵まれないことを知らない人が、職安で会ったばかりの若者に自分に合う仕事を捜しなさいとか、追いつめられた人に心が弱いからだなどと言えるのだろう。ちょっと飛躍した感想で、乃南アサもびっくりかもしれない。
 乃南アサはこうした感想よりもあるいは、疲れた日、紅茶を横にナナムスクリを聞きながら楽しめる作品と言った方が喜ぶだろうか。
コメント
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