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ジャーマンウィングス航空機事故-ブルームバーグからレオニド・バーシドスキー氏の意見

2015年03月31日 | 海外ニュース・できごと

ジャーマンウィングスが墜落したのち、ドイツとスペインの友人達に、犠牲者を慎むメールをしましたが、そのなかの一人は心理学者で、セラピストです。そして、彼の家から15キロのところに、バロセロナに研修旅行から帰国の途について事故に巻き込まれた16名の生徒と2名の教師のギムナジウムがあります。 

彼から私に届いたメールには、このジャーマンウィングスの事件について、“the murder/suicide” と書いてきていました。(“murder”は残酷な殺人、“suicide”は自殺です。) 

私は、ずっとこの事故について、「ジャーマンウィングス航空機事故」というタイトルを使っていますが、海外のメディアでは最初は“Germanwings plane crash(墜落)”というような、事故のも事件にも使えるタイトルを使っていたものがほとんどでしたが、今は、当局の発表にそって、Germanwings Murder/Suicide”、もしくは似たようなタイトルを使うものも出てきています。 

ところで、ボイスレコーダーについて、私たちはまだフランス当局の発表を聞かされているだけで、実際の音声は聞いていません。(偽物のボイスーダーを発表されたら、意味がないですが。) 

また、ボイスレコーダーから判明したと言われる、副操縦士の情報は、最初から最後まで「コックピット内で普通の息づかいをしていて、一言も言葉を漏らさなかった」ということ。

なのに、当局の発表は、「副操縦士はコックピットの扉を開けるのを拒否した」「降下ボタンを押した」「機長が暗証番号で扉をあけられないようにスイッチ設定(最初は、「扉」があかないようにバリケードを張っていた)」、そして、「思い出の場所で149名を道連れに自殺」ということにされました。 

(コックピット外の音については、最初当局が発表したのは、「扉をたたく音」「乗客の叫び声は墜落の瞬間」ということ。しかし、のちに、この発表が少しずつ変わり、それにそって、説明も変わっていきました。この変化については、先に書いた記事やリンク参照。) 

さて、このフランス当局やドイツ当局、ビルトなどのタブロイド紙の早急な結論付けに異を唱える記事もあるにはあるのですが、なかなか表にでてきません。 

しかし、昨日のブルームバーグ電子版には、大きくこのようなコラムが出ました。 

ブルームバーグ(2015年3月30日※原文は27日)
本当に副操縦士が150人殺したのか-バーシドスキー
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLVQM76VDKHS01.html 

ジャーマンウィングスの副操縦士、アンドレアス・ルビッツ氏が意図的に9525便をフランスの山間部に墜落させたとして、世界中のニュースメディアが一斉に同氏を集中攻撃している。 

「アンドレアス・ルビッツ27歳、正気を失ったパイロット」とドイツの大衆紙ビルトは一面に大見出しを掲げた。「操縦室の殺人犯」と表現したのはロンドンのデーリー・メール紙。英紙インディペンデントは「操縦室の大量殺人者」ともう一段階過激だ。このほかにもメディアには「狂人」や「失恋パイロット」、「そもそもなぜ免許を与えたのか」などの言葉が飛び交っている。 

これらはすべて、仏マルセイユのロバン検察官の発表に基づいている。副操縦士が「航空機の破壊を望んだ」と検察が結論付けた根拠は、コックピット・ボイス・レコーダー(CVR)に残された音声データだ。しかしながら、ここから導き出すストーリーは解釈次第で変わる。明らかに分かっているのは機長が操縦室を離れ、副操縦士がひとり残されたということだ。 

(※中略 リンクから全文読めます。) 

フライト・データ・レコーダーの回収を急げ  

現実にはフライト・データ・レコーダー(FDR)のテクニカルなデータを解析するまでは、信頼性の高いセオリーを打ち出すことはできない。FDRを回収し解析すれば、どのように高度が変化したかが分かるだろう。航空機墜落調査に関する報道で知られ、自らもパイロットであるバニティフェア誌の特派員、ウィリアム・ランゲビーシェ氏は現段階の調査では分からないことが多過ぎるのに、仏検察の結論はやや早計過ぎると批判する。 

ドイツの操縦士労組も同様に、機長が操縦室に戻れなかった理由でさえ現時点では明確ではないとして、FDRを早急に回収し分析することが極めて重要だと主張する。労組の立場としては認めたくないという気持ちも当然あるだろう。1999年に起きたエジプト航空990便がそうだったように、ルビッツ氏が本当に故意に墜落させた可能性もあるだろう。しかしそれがもっと高い確実性を伴って立証されるまでは、乱暴な非難の言葉は正当化されない。 

遺族に心労  

こうした状況は普通の若者としてルビッツ氏を知っていた家族だけでなく、墜落犠牲者の遺族にも心労をもたらす。怒りと悲しみはうまく調和しないものだ。またルビッツ氏がうつ病を患っていたと報じるタブロイド紙もあるが、こうした報道はうつ病の患者に汚名を着せる。 

メルケル首相は調査が完了するまで行動を自粛するよう呼びかけたその翌日に、自ら「すべての犠牲者と遺族への犯罪だ」と発言するべきではなかった。航空機墜落の調査は結論を急ぐようなものではない。これだけ分からないことが多いなか、私が知りたいのは亡くなったアンドレアス・ルビッツ氏のプライベートではない。なぜ9525便がアルプスの上空で高度を失ったかを知ることの方が、はるかに重要だ。

コラムの中で、「報道はうつ病の患者に汚名を着せる。」と書いてありますが、私もそれを心配します。

また、このコラムには書いてありませんが、この副操縦士を「同性愛者(バイセクシャル?)」として偏見的に書いていた海外のメディアもあったようです。

今回の事故の報道を見ると、世界的なジャーナリズムの衰退を感じます。(タブロイドと一般紙の境もなくなってきてますし・・・。)

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