『町のネズミと田舎のネズミ』という物語を大抵の人は読んだことがあると思います。
これは、イソップの他にいろいろなバージョンがありますが、
(英語ですがご参考まで:http://www.pitt.edu/~dash/type0112.html)
細かい部分は違えども、どれも「田舎暮らしで質素だけど安全な生活の方が、豪華で魅力的だけど危険が伴う生活より幸せ」と思わせる筋書であることは変わりないでしょう。
しかし、近年では、ヘレン・クレイグのアレンジ・バージョンもあるようで、これでは「それぞれ良いと思えるところに住むのが幸せ」と結末も進化しているようです。
http://www.hico.jp/sakuhinn/7ma/mati.htm
この『町のネズミと田舎のネズミ』の話は、原子力発電肯定派と否定派の問題を考えていると、どうしても重なってしまいます。
原発肯定派は町のネズミ、原発否定派は田舎のネズミ-
これが原発問題でなければ、ヘレン・クレイグのアレンジ・バージョンが示す、「それぞれが良いところに住むのが幸せ」と言う考え方を私は支持したいところですが、原発の場合はオリジナルバージョンを支持したいと思います。
なぜなら、ヘレン・クレイグのアレンジ・バージョンは原発問題に置き換えると、「町のネズミの満足(贅沢、便利、洗練)のために、田舎のネズミの生活も脅かされる」「田舎のネズミの満足(町のネズミも含めた地球上のすべての生物に対する安全、健康)のために、町のネズミが贅沢を我慢をしなけれればならない」ということになり、丸くは収まらないからです。
町のネズミにしてみれば、田舎のネズミが生真面目で悲観的過ぎに見えるでしょうが、田舎のネズミは町のネズミが大変無責任に思えてならない、これはどうやって決着をつけるべきか。(田舎ネズミの私は、町のネズミに正しい知識をつけて、もう少し理性を持って欲しいと思っています。)
さて、話はかわりますが、田舎のネズミが福島原発に次いで心配している『浜岡原発』、菅首相が珍しくまともな発言をしたようです。またその場限りの発言でないことを願います。
読売新聞 5月2日11時38分
浜岡原発再開、慎重に判断すべき・・・首相
菅首相は2日午前の参院予算委員会で、中部電力が定期検査中の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)3号機を7月にも運転再開することを検討していることについて、「浜岡については従来から地震の影響を受けやすい所に立地しているのではないかとの指摘もある。政府としても、本当に国民に安心してもらえるかどうかをしっかり見極めて判断しなければならないと思っている」と述べ、慎重に判断すべきだとの考えを示した。
静岡県の川勝平太知事は「今の状況で7月の再開は極めて厳しい」と運転再開に難色を示している。
首相はまた、既存の原子力発電所の地震、津波に対する安全基準の見直しについて、「今回の事故の検証は遅くない時期に調査委員会を設けるが、その結論を待つのではなく、地震と原発の関係を改めてしっかり検討する必要がある」と述べ、事故原因の究明に先行して行う考えを示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110502-00000438-yom-pol
追記:昨日紹介したフランスねこさんのブログのなかに、衝撃的なル・モンドの一コマ漫画が紹介されています。
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/331-d182.html
先日あった、ヘラルド・トリビューンの白雪姫の一コマ漫画(リンゴを差し出す魔女に、日本産かどうか問いかけているもの)に反発した政府も、こちらは問題に思えなかったのでしょうか。ル・モンドのものは非常に悪趣味ですが、反論できなかったのか、それとも経済的損失しか政府は問題にしないのか・・・。