中国の温家宝首相と韓国の李明博大統領が、避難所を訪問して、膝を突いて一人ひとりに語りかけ、交流してくださったニュースは、日本人の多くがありがたく思ったのではないでしょうか。
もちろん、そこには原子力発電をめぐるもの他、様々な政治的思惑もあり、必ずしも『善意だけの訪問』ではなかったでしょう。が、それでも、自国まで放射能汚染の影響を与えている国にこうしてやって来て、被災者たちにこれだけのことをしてくださった。ありがたいことには変わりません。
ところで、この関係の記事を読んでいたところ、呆れ、そして(不謹慎ですが)苦笑してしまった箇所がありました。
いずれも5月22日の東京新聞の記事からの抜粋ですが-
三首脳は福島市内の「あづま総合体育館」に到着すると、用意された福島産のサクランボやキュウリ、ミニトマトを試食した。菅首相は「おいしいですね」と中韓首脳に話しかけた。
→普通の接待であっても、自宅に招いた招待客に自分の用意したものを「おいしいですね」と先に褒める招待者はいないと思います。
ましてや今回は自国の農作物の風評阻止のパフォーマンス。付き合ってくれている二人の首脳にむかって「おいしいですね」と菅首相が本当に先に言ったとしたら、センスを疑います。
菅直人首相は21日夜、中国の温家宝首相、韓国の李明博大統領を歓迎する夕食会を開いた。東日本大震災の被災地の食材を使ったメニューで、両首脳を歓迎する夕食会を東京・元赤坂の迎賓館で開いた。東日本大震災の被災地の食材を使ったメニューで両首脳をもてなした。前菜に千葉県のカマス、たき合わせには茨城県のウド、宮城県産のアワビが並んだ。焼き物では岩手県の前沢牛、青森県のサケがふるまわれた。日本酒は福島県の「飛露喜」が出された。
→上記の農作物にしても晩餐会の食材にしても、『風評』というのが証明されていない以上、外国人(そしてやはり日本人)には警戒する人が当然多いでしょう。
中国や韓国が「輸入規制を緩和してくれる」といっても、「輸入規制撤廃」というわけでもありません。
何も放射能汚染が一時でも疑われたことがある地域のものばかり出す必要もなかったのではないでしょうか。内心、二人の首脳はどう思っていたことか。
(4月にオーストラリアのギラート首相やヒラリー・クリントン米国務長官が来日したときにも、こういう接待をしたのでしょうか?今後仮にオバマ大統領やサルコジ大統領が来日しても、こうした風評作物試食パフォーマンスはもちろん、被災地の食材(含む風評被害があるもの)オンパレードの接待はしなかったのではないかと思います。)