ロイターの昨日の記事です。英語が読める方はどうぞ。
Special Report: Fuel storage, safety issues vexed Japan plant
http://jp.reuters.com/article/topNews/idUSTRE72L2E820110322
さて、上記は英文のうえ、恐ろしく長いので、このレポートについて沢利之氏という元信託銀行役員の方が書いたコラムがありますので、こちらの抜粋をはりつけます。
『福島原子力発電事故の人災的側面』
http://news.livedoor.com/article/detail/5432962/
(抜粋始まり)
今回の事故が拡大した背景には、地震と津波という天災だけではなく、原発の管理、特に廃棄済み燃料の保存の問題等があることが少し見えてくる。合わせて監督するべき国と監督される東電の距離の近さ、はっきりいうとある種の癒着に近い状態が見えてくる。
一つのレポートだけを見て、多くのことを判断するのは危険だが、今後問題解明が進む中で頭に入れておいた方が良い点が幾つかあると思われる。
レポートによると、部分溶融が起き、放射性物質を含む煙を上げている福島原発は設計上想定された量をはるかに上回る廃棄済み燃料を貯蔵していた。IAEAが開催した会議において東電は、6年分近い廃棄済み燃料を保存していた。
地震が発生した時、約4千本の使用済み燃料棒が原子炉の建屋の最上階の循環式プールに格納されていた。この想定を超える使用済み燃料が、事故対応を複雑化させたと役人と専門家は述べている。米国の原子力技術者は「使用済み燃料は相対的に薄い容器に入れられ、一つのポンプ式冷却システムに依存しているので、被害を受け易い。これは災害のレシピだ。」と述べている。
建屋の最上階に設置された使用済み燃料プールは、最上階であるだけに地震の際、揺れ易く水が飛び出したり、プールにひびが入り、水が漏れるリスクが高いと専門家はコメントする。
使用済み燃料の保管の問題は、日本だけでなく米国も抱える難しい問題である。日本では六ヶ所村に再処理工場を建設する予定であったが、完成は2012年まで延期されている。
素人的な言い方をすると、捨て場がない使用済み燃料を仕方なく、原子炉の最上階に貯蔵しておいたところ、予期せぬ大地震と津波がきて、問題を更に大きくしたというのが、福島原発事故の一つの構造ということだろうか?
問題はそれだけではない。東電は事故の2週間前に当局(原子力安全・保安院か?)に、予備用発電機を含む33の設備の部品について検査を見落としていたと報告している。
原発の建設や運営を管理する国側と東電が近過ぎるため、監督官庁のチェックが甘くなっていたという問題も指摘されている。例えば東電は2002年に6つあった原子炉のひび割れを3つと改竄して報告し、当時の社長らが引責辞職するという不祥事を起こしている。
(抜粋終わり)
現在、建設、計画予定中の原発14基で、山口県の上関に予定しているものは、工事を続行するといいます。(※現在一時停止)
「ここの管轄は中国電力。管理もきちんとできる」と自信を持って言う人もいるかもしれませんが、ただし、使用済み燃料の問題が解決されないのは同じ(しかも、プラント自体が使用することで放射能汚染されて、解体もその後の処理もままならない、と言う問題もあり)です。
最近読んだウォール・ストリート・ジャーナルのコラムに、「GE(福島原発の原子炉はここのもので、比較的安価である反面、安全性に問題があったものと言われています。)は、原子力発電から撤退すべき。それを辞めても経営困難にならない」というようなものがありました。
GEにしろ、大手原子力発電メーカーが原子炉製造販売を止めることを切に願いながらも、事故おきて「やっぱり危険。もう一抜けた」という感じでの撤退するのだとしたら、現在も福島原発で命や健康をかけて作業している人たちは報われません。
最近、各国で原子力発電の安全に対しての疑問の声が上がっていますが、とにかくも、『電気をたくさん消費する生活に何の疑問も持たずに生活している人たち』が率先して考えずには、何も変わらないでしょう。
原発ビジネスで恩恵を被る人々は何か危険が起きると、東京電力の技師(たぶん下請け業者の人が多いのではないかと思います。)や自衛隊、消防隊、警察官を無理やり送り込んで、安全な場所から「彼らはヒーローだ」ともてはやしたりますが、これは、電気をたくさん使った生活を「今更手放せないよね」と言っている一般人も『同じ穴の狢』だと思います。