昨日あたりからやっと収まってきましたが、予備校生の『Yahoo知恵袋』入試問題投稿事件-マスコミの格好の餌食となっていました。
この19歳の予備校生がしたことはもちろん許されることではないのですが、逮捕やこの異様な騒ぎ方をみていると、とても不愉快になってきます。
「彼の一番の罪は、カンニングと言う行為ではなく、試験問題をネットに漏洩させたこと」と言われていますが、実はこの問題をマスコミが取り上げられた時の論調は、「組織犯罪ではないか」というものでした。
この仙台出身の予備校生の件が発覚する前は、「二人の高校生が関与した模様」などという記事もでたりもしていて(疑われたこの二人は、自分達が疑われていたことを知っていたのでしょうか?)、もう大事件として扱う意気込みは相当臭ってきていました。
これは「試験官がいるので、普通の携帯で問題を打ち込むなど不可能だ。一人ではなく、仲間がいるはず。」という憶測のみで拳をふりあげたものでしたが、蓋を開けたらそんなに大袈裟な問題ではなく、単に大学の試験官の隙を一人の少年がついただけの話。しかも新聞で分析されたようなスパイもどきの道具などは使われておらず。
「なんだ、単に試験官の監視を潜り抜けただけか。」と肩透かしを食ったマスコミは、振り上げた拳を下ろすことができずに、そのまま暴走を続け・・。
そして拳を下ろすことができないのは、京都大学も同じ。
(この少年が受験した他の私大は、京都大学が騒いでくれたお陰かどうか、いたって冷静でした。)
再度言いますが、私はこの少年のしたことを擁護するつもりはありません。
しかし、時々『Yahoo知恵袋』などの質問サイトを覗くと、「この英文を訳してください」「この文章の意味を説明してください」といった質問がよくあって、これに律儀に答える人たちもいます。こうした質問の場合、ほとんどが宿題の問題の回答を求めるものだと思いますが、なかには中間・学期末試験の問題回答を求めるものも含まれているようにも思えます。
こうした質問サイトを使わないまでも、たとえば学校に提出するレポートを書くのに、インターネットでのコピペ(copy & paste)を部分的にしたことがある人となると、相当数になるのではないかと思います。
そんな世代の彼-たとえ京大を受けるだけの頭脳の持ち主でも、カンニングについての罪悪感はともかくとして、ネットの質問サイトに問題を流出させたことについての罪の意識はあまりなかったのではないでしょうか。
今回の予備校生に対する取扱いは『見せしめ的要素』もあったと思いますし、それを支持する人も少なくないようです。
しかし、相手は殺人者でもないたかだか19歳の少年。将来を抹殺するようなやり方をするより、現在の『安易なネット使用』の方を問題にしてはいかがでしょう。
(蛇足ですが、この事件が起こる前、姉と「ネットの質問サイトには、『なんで直接その機関に問い合わせないのか?』『常識で判断できないのか!』と思う質問が良く載っている。何でもインターネットで質問すれば、誰かが答えてくれる状況は、ますます若者のコミュニケーション能力・思考力・社会性を欠落させ、依頼心のみ強くする。」という話をしていました。
我が家の大学生の息子も、電話や直接窓口に行って問い合わせることが大の苦手。
分らないことがあると、シコシコ友人にメール(電話ではない!)を打って訊いたりしていますが、本当に情けなくなります。)