三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

『日本文壇史』と『新・日本文壇史』

2014年11月18日 | 

川西政明『新・日本文壇史』の1巻と9巻を読む。
文壇とはウィキペディアによると「文学・文筆活動を取り巻く人たちのつながりと付き合いの世界のこと」とあるが、『新・日本文壇史』は文学者の交友関係というか、作家の女性をめぐるゴシップ史といった感じ。

1巻は夏目漱石の死から始まるが、漱石の長女をめぐる久米正雄と松岡譲の争い、芥川龍之介の愛人たち、北原白秋の姦通事件、谷崎潤一郎と妻と佐藤春夫の三角関係など。
9巻は丹羽文雄の47人と性行為を持った妻、舟橋聖一の妻妾同居、川端康成がバーで同席した女性を執拗に触った話など。
作家論もあるが、下ネタの話のほうがおもしろいことは言うまでもない。

伊藤整『日本文壇史』14巻、15巻、18巻を読む。
会話や心の動きの描写は小説を思わせ、『新・日本文壇史』よりおもしろい。
こちらも文士の男女関係が詳しい。
岩野泡鳴や横瀬夜雨とかの女をめぐるあれこれがなぜか長々と書かれている。

それにしても明治には、放蕩者として知られている男に嫁がされて性病をうつされたり、夫が事業に失敗して家を傾けたりすることが珍しくないようで、男の身勝手さに振りまわされる女性はあわだだと思う。
たとえば菅野スガ、白秋の妻、島崎藤村の姪など。

ほほうと感心したのが、明治42年夏、伊藤博文は韓国皇太子を補導して北海道を巡遊した際のこんな話。
札幌でSという16歳のお酌(処女)の水揚げをした。

翌朝Sのところに北海道庁付きの医師がやって来て「御前さまは昨夜何回おのりになったか?」とたづねた。Sは全く何のことか分らず、ひたすら「分りません」と答へた。すると医師は「回数によって御前さまの薬のもり方が違ふのだ」とつぶやいた。

このとき伊藤博文は数えで69歳、この年の10月に暗殺される。

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