銀座4丁目交差点の一角に立つ和光の建物がテレビに映し出されるたびに、姑が「あっ服部時計店だ、よくこのそばの喫茶店で、学校帰りに友だちとアイスクリームを食べたのが忘れられないよ」と。
現在では高級百貨店となっているが、昭和初期、銀座のシンボルとして、ここは銀座通りのイメージを象徴してきた。
変革を遂げた東京で、関東大震災でも銀座で唯一生き残った年代物だけに懐かしい気持ちが強いのだろう。
今まで何回聞いたことか。毎回懐かしそうに話す。
直近の事はすぐ忘れてしまっても、こうしたことはしっかり覚えているものだ。(笑)
「へえ~そうなんだ~。じゃあ楽しかったね」
こっちもただひたすら相槌を打っている。
そして「足が丈夫なら行ってKさんとも会ってみたいよ」「じゃあまた行こうよ」で終わる
その友人kさんも元気そうで、年賀状が今年も来た。
何年たっても姑にとっての故郷、東京は忘れられないらしい。