ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

一献一品出合い酒@横浜

2013年11月22日 | ◆一献一品出合い酒
横浜駅西口のホテルキャメロットジャパンのカフェ&バー「ERCOLAND」にて、プレミアムモルツグラス×チリポテト。家内とのターミナル散歩合間の昼酒なら、ホテルのロビーフロアでちょっと見栄張った店セレクトの、このコンビが似合う。

雨の昼下がりで空いた店内の、奥に腰掛けてひと息のランチビール。きめ細かい泡に黄金色の黄金比、包むグラスの霜加減と、ホテルメイドの高い完成度が嬉しい。湿度を割くがごとくの鋭い喉越しを楽しみ、ポテトをつまめばピシリピリ辛な追い打ちが。カリッとほっくりの軽やかな揚げ加減に、和みの酔いがテンポ良く誘われていく。ビールにポテトの定番ながら、ハイ気分に盛り上がる一期一会。

一杯限定の昼酒ながら、話に食にグラスのいずれもどんどん進む。追加の一杯を押しとどめ、ランチのカレーやパスタでの酔い覚ましに切り替えれば、いつ以来かのプチデートから帰宅して親に戻る時。一献一品の小さな酒宴、名残惜しくも天下泰平なり。

一献一品出合い酒@下北

2013年11月21日 | ◆一献一品出合い酒
下風呂温泉「ニュー下風呂ホテル」にて、冷酒「下風呂温泉郷」×ホヤ酢。津軽海峡を臨む湯宿で、漁火を見下ろしてのひとり酒なら、夏の名残を惜しむ肴で部屋酒が進む、このコンビが似合う。

口開けの一本をアンキモ和えで飲み切り、冷蔵庫から同じものをキュッ。アテの小鉢も二番バッターに繋ぎ、キュウリとともにツルリとすする。ほのかな酸味に潮の香が立ち、フルーツ甘さを迎えるように、甘い酒をチビリ。甘美な相乗となるかと思えば、更なる潮の重なりに海の肴の奥行きを感じる。寄せては返すように杯を干しては注ぎ、海峡の流れのまま彷徨う一期一会。

飲み始めに窓の外にちらつき始めた灯が、いつしか横一線の光の線になる。太く、にじんで拡散してと、漁火の見え方に合わせて深まりゆく酔いの行方は、さていずこへ。一献一品の小さな酒宴、今宵も天下泰平なり。

町で見つけたオモシロごはん…神泉 『開花屋』の、魚料理いろいろ

2013年11月20日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
神泉クローリングの2回目は、海鮮料理の「開花屋」へ。駿河湾直送の魚介を中心に使った、和風ベースの創作料理で人気を博している。フィッシャーマンズワーフのダイニングのようなたたずまいの中、パリッとしたコック着の兄さんが元気に行き来する、活気のある店である。

大皿のつくりは稲取のキンメ、寿都の甘エビ、気仙沼のメカジキなど、各地の旬のものが並ぶ。刺身も見事だが、手を加えた料理がまたすごい。バゲットに載せていただくタラの白子のグラタンは、チーズの香りが濃厚。雑魚のグリルはこの日はソコイトヨリダイと赤ムツで、カリッとした皮目の香ばしいこと。マグロカマのスベアリブグリルは、大トロに近いホンマグロのアゴだけに、ほぐれた身に脂がたっぷり。いずれも火加減が絶妙で、味も食感もベストなのが嬉しい。

締めご飯に手巻きてこね寿司をいただけば、お腹が心地良く落ち着くこと。「異国の港町で、謎のJapaneseが営む謎の店」とのコンセプトらしい、怪しく楽しく旨い店だ。

日々是好食…産地で喰らう地鶏

2013年11月19日 | ◆日々是好食
産地に出かけて食材を味わい思うのが、その「生気の強さ」だ。歯ごたえの爽快さに雑味のなさ。生命が食材に役割を変えてからの、時間の短さがそのまま、食感に食味に現れているようだ。消費地で味わうのと大きな違いには、その時間の差が影響しているのだろう。

野菜や魚介に比べると、食肉は落としてから熟成に時間が必要なため、産地で味わう理由にやや欠けるところがある。が、鶏肉だけは別。魚介でいう水揚げ直送、野菜では朝摘みと同意の「朝挽き」という形容が、鮮度も味のうちなのを伝えてくれる。

ベストな火加減に炙られたモモ肉、胸肉に喰らいつけば、ギシギシ、ガシガシと強靭な歯ごたえが迎え撃つ。ケージ飼いでなく平飼いで大地を走り回って育った、アスリートな肉らしい。じっくりにじみ出てくる旨味、ジュンと染み出る脂や肉汁の澄み具合も、当地の自然を取り込んだかの純粋さだ。

地魚、地野菜と称される一方、地肉という言い方は聞かない。鶏肉だけは「地鶏」との呼称があるのは、そんな飼育・流通の特徴のせいもあるのだろう。産地へ出かけて健康な地鶏を喰らえば、生気を取り込んで元気に羽ばたけるようになること請け合いだ。

一献一品出合い酒@渋谷

2013年11月18日 | ◆一献一品出合い酒
井の頭線神泉駅前にある「鳥はる」にて、焼酎お茶割り×焼き鳥。鉄道談義に盛り上がりつつ杯を重ねるなら、焼き鳥屋で手軽にちょいといける組み合わせの、このコンビが似合う。

改札口からわずか10数秒でカウンターの人となれるのが、駅前飲み屋のありがたさ。数々出てくるおまかせ料理の中でも、串盛りは味よしの逸品だ。パリッと香ばしい皮、しっとりとジューシーな正肉。グシュッとかみついて引いたところで、緑茶割りをスイッとやれば、爽やかな青い香りを追うように、きつめの焼酎がのどを焼く。長年注ぎ足し続けるタレの厚い甘さと、やや濃いめでほんのり苦味の一杯が、店の歴史とおばちゃんの年季を伝える一期一会。

数人掛ければ満員御礼の店は、いつしか常連が集い賑やかに。語らいの合間を突くように踏切の音が時折響き、鉄旅好きの鉄談義にさらなる彩りを添える夕べ。一献一品の小さな酒宴、今宵も天下泰平なり。