ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカルベジタでヘルシーごはんbyFb…愛知県豊川・JAひまわりの『匠トマト』

2012年08月31日 | ◆ローカルベジタでヘルシーごはん

 家族も寝静まり、ひとりのんびりの日曜の晩。週末にするべきことで何か忘れていたような…、そうだ、トマトだトマト。昨日、最寄りスーパーの「トマトフェスティバル」で買ってきた、匠トマトを味見してみなければ。

 ふたつで600円近くしただけに、どれほどなトマトかざっと調べたら、愛知県豊川産のトマトだそう。豊川は甘みが強いフルーツトマトの栽培が盛んな土地で、普通のトマトをより甘くしようと、若手生産者が桃太郎トマトを独自の農法で栽培した、とある。トマトはストレスを与えると甘くなることから、ここでも水をぎりぎりに控えて糖度を上げているそう。高糖度トマトまではいかないが、味が厚く風味がいい分こちらの方がトマトとしておいしい、との評価もあるとか。

 まずはざっと洗って包丁を入れると、固くなくグニャリともせず程良い質感。断面も身が詰まっており、食感のしっかりさを感じさせる。グッとかじると酸味と甘みがバランスよく、グイッと攻め込んでくる。フルーツ甘さは控えめでトマトの野菜甘さが強く、後味にほのかな青臭さが残るのが「らしい」風味。記憶にあるトマトの味の厚みが増したような、力強さを感じる。

 最近、トマト嫌いも食べられるトマト、なるキャッチも聞くけれど、これはトマトのあの味好きが満足できるトマトといえるかも。はるか昔、実家の庭の小さな家庭菜園で栽培したトマトを思い出し、ちょっと懐かしい気分に浸った。


町で見つけたオモシロごはんbyFb…京橋 『喜多方ラーメン小法師』の、和風冷やしラーメン

2012年08月30日 | ◆町で見つけたオモシロごはん

 山形県は不思議な麺処で、村山や大石田など正統派そばが評判な一方、B級ローカル麺が数多い。先日大阪新世界で食べたような、鶏モツ煮をトッピングした新庄のとりもつラーメン、カシワ肉がどっさりのった河北町の肉そば、麺がちりちり激細の米沢そんぴんラーメンなどなど。

 村山のそばは板盛りの板そば、肉そばも冷そばなど、冷やしがデフォなのが目立つのも山形のローカル麺の特徴。日本有数の酷暑な土地柄もあり、その名も冷やしラーメンはまさに代表的。いわゆる冷やし中華ではなく、見た目はまんま醤油スープの中華そば。それがそのまま冷たくなったのだから、ギャップというか意外性というか。

 いつもの「喜多方ラーメン小法師」にも、隣県のよしみかこの冷やしラーメンがあり、頼んだら見た目は喜多方ラーメンまんま。山形のはスープに氷がゴロゴロ浮いているが、それがない代わりに器がキンキンに冷やしてある。

 そのため、ダシは動物系でとると油分がFat、つまり固まって浮いてしまうので、カツオベースの魚介ダシがキリリと立つ。喜多方の加水中太麺にたっぷりからみ、これは夏味の冷やさっぱりラーメンだ。チャーシューも脂浮き対策の別盛りで、ワサビであっさりいただく夏仕様。

 冷やしラーメンはそもそも、真夏に売り上げが落ちないよう、山形のラーメン屋が考えた夏期販促品だったらしい。ではこの和風冷やしのほか、夏期限定で中華風冷やしラーメンも出しているから、夏期の売り上げも問題なしか。というか、中華風冷やしラーメンって、要は冷やし中華では?


街で見つけたオモシロごはんbyFb…京橋 『喜多方ラーメン小法師』の、焼豚ラーメン

2012年08月14日 | ◆町で見つけたオモシロごはん

 酒を飲んだあと、締めにラーメンをすすりたくなるのは、医学的根拠があるそうだ。アルコールを分解するのに体内の血糖値が下がるから、炭水化物の麺が欲しくなる。トイレが近くなり水分や塩分やミネラルが排出されるから、塩っ気の効いたスープを飲みたくなる。

 かといって、本能の赴くままに締めラーに走った翌朝は、日付変更後に摂る炭水化物の重みを思い知ることに。基礎代謝が活発ならまだしも、代謝が落ちてきた年齢や生活リズムの人にとっては、魅惑の締めラーは両刃の剣となる。

 なので最近は、飲んだ晩は鉄の意思でガマンして、翌日のお昼に「持越し締めラー」を食べるようにしている。昼飯なら食後にまだ十分活動するから、代謝も上がり身につく量も緩和できる。

 で、いつもの喜多方ラーメン「小法師」にて、焼豚ラーメンに。喜多方ラーメン御三家のひとつ、坂内食堂の系列店で、当地名物の肉そばを思わせる一品。脂ギッシュなバラ肉チャーシューたっぷりだが、さっぱり薄味醤油スープにプルプルの加水麺で、さほどボリューム感なくいただける。

 喜多方ラーメンは古くから、地元の常食麺で、朝昼晩におやつと夜食、なんて聞いたことがある。地酒処でもあるけれど、締めラーの習慣はあるんだろうか?


ローカル魚でとれたてごはんbyFb…京橋 『無花果』の、新ホタルイカ

2012年08月12日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 毎年行きたい行きたいと思っている、4~5月に行われる富山湾のホタルイカ漁見学船だが、ことしも残念ながら行けずじまいとなった。この時期は毎年、仕事がたてこんでいまうため、漁の知らせをいただきながらなかなか動きがとれない。

 そもそもは深海に生息する種で、アルプスがそのまま海に続いて岸から急激に深くなっている、日本有数の水深である富山湾ならではのローカル魚介。沿岸の新湊や魚津が主な水揚げ港だが、今年は3~4月の漁獲量が少なく、全般的に高値らしい。また調べてみると、近年は兵庫県の浜坂港の方が漁獲量は多いとも。

 今年は縁あって、何度か新もののホタルイカを味わうことができ、この日は京橋にある魚料理の「無花果」にて、釜揚げで味わった。ワタにコクがあり、身が厚くふっくらしているのが、この季節の新ものならでは。

 小さい魚体ながら、目いっぱいイカの美味しいところが味わえるのがいい。6月上旬の漁期の終わりまで、春~初夏の定番の肴である。


旅で出会ったローカルごはんbyFb…京都・木屋町 『御料理めなみ』の、おばんざいあれこれ

2012年08月11日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

 大通りから路地(ろうじ)へぶらりと折れ、虫籠窓に犬矢来があしらわれたこぢんまりした町家の戸をガラリ。カウンターに腰掛け、目の前に並ぶ大鉢からおかずを適当に取り分けてもらったら、「玉の光」を傾けつつ和服美人の女将と差し向かい…。

 くくりの一節は蛇足として、京都の夜はこんな風に、手作りのおばんざいをアテに一献いきたいところ。計画なしでやってきた京都・河原町で、そんな一夜を思い描いていたが、いざ店探しをしてみたらピタリ、とハマる店がなかなか見つからない。 通りにはチェーンの居酒屋とか、いかにも京都「風」を演出した店とかが目立つのは、地元客と観光客が集まる京都随一の繁華街のせいか。

 こうした中から冒頭のような店を探し当てるのは、京都一見さんの自分にはハードルが高く、ここは地元の知人に応援を要請。木屋町通りにある「御料理めなみ」に連れていってもらった。通りに面した町家風の建物、戸をくぐるとカウンターに大皿のおばんざいが並んでいるのは、まさにイメージど真ん中。通されたのは坪庭に面した小上がりで、いかにも京都の料理屋らしい落ち着いた和の空間である。

 突き出しの青菜と揚げのおひたしで、銚子一本空いていまいそうなほど、おばんざいは酒に合うことこの上ない。達筆の品書きには焼き物、小鉢など魅惑の料理が並ぶ中、お姉さんにオススメを5品ほどお任せ。するとまずは最初は鯛の子、おから、白魚のおひたしが運ばれてきた。鯛の子はタラコのような見た目だが、食味は極めて淡白。ホロリとした口溶けと淡いダシの味が楽上品だ。おからはニンジンとシイタケなど野菜入りで、ふっくらと優しいおからに煮付けた野菜の味が効いている。白魚は小振りだが、ホロリと口の中でほぐれ、白身のしっかりした味わい。

 素朴なお惣菜に冷酒が進んでいると、続いて焼き物、揚げ物が登場。何と、グジ(アマダイ)の若狭焼きだ。鱗をつけたまま、逆立てずにきれいに焼き上げてあるから、鱗がサクサクと魚せんべいのように香ばしい。身は対照に乳製品のようにトロ甘く、小骨をつつきながら酒を飲むのが面倒でなく楽しい。揚げ物は湯葉の巻揚げで、表面がカリカリ、中の肉や野菜の具がそれぞれ下ごしらえされた多層な味がする。

 後半のふた品は京料理らしい逸品で、坪庭を眺めつつ味わっていると当地の実感がしみじみ湧いてくるよう。 板場の兄さんに接客の姉さんは気さくで、京都にありがちな敷居の高さが感じられないのもいい。和服の女将さんはいなかったら、梯子酒は雰囲気を一転。先斗町のバーあたりに繰り出して、近頃増えてきた京美人のバーテンダーのシェイカーさばきを堪能しにいこうか。