ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカルベジタでヘルシーごはんbyFb…鎌倉・天園 『天園休憩所』の、タケノコ三昧

2012年05月31日 | ◆ローカルベジタでヘルシーごはん

 横浜市の南の外れにある自宅から、鎌倉へと家族で歩いてみた。金沢自然公園に隣接する氷取沢市民の森へ、さらに瀬上市民の森、横浜自然観察の森を経由して鎌倉天園に至るハイキングコースがあり、細かいアップダウンが繰り返す歩きやすい尾根道が続く。市境を越えて鎌倉市に入ると、岩を切り開いたようなミニ切通し風の箇所もいくつかあり、天然の要害・鎌倉へ近づいているのが実感。新緑の青さが瑞々しく、延々と緑の森が連なり、森林浴をしながらの気持ちのいい道だ。

 
天園の最高所である太平山の展望地へ着くころにちょうどお昼になり、手前の「天園休憩所」で一休みすることに。まさに山中の茶屋のような感じの一角で、木製のテーブル席に落ち着いてメニューを見ると、定番のおでんやアイスに加えて「朝どりたけのこ」というのが目を引く。茶屋のまわりは竹やぶが広がっており、それを使ったものらしい。

 
店の人によると、家族みんなで食べるなら「タケノコ三昧」がおすすめで、これと子供たちのリクエストでおでんを注文。すると穂先の柔らかい部分に様々なものがかかった、タケノコの5種類盛りが運ばれてきた。最初に何もかかっていないのを、ワサビ醤油で刺身のようにひと切れ。サックリ柔らかく甘みがあり、土から顔を出したばかりぐらいの若竹の生気にあふれる。

 
隣は柚子味噌と木の芽味噌で、こちらは程良い酸味に春らしい爽やかさが感じられる。赤味噌とおかず味噌風のは対照的に、味噌がこってり甘く味が深いのに、タケノコの土うまさがしっかり負けていない。おでんにもタケノコ煮がたっぷり入っていて、あっさりと炊けてホッコリと軽やかな歯ごたえ。五種五様プラス煮つけの旨さが満喫でき、確かにタケノコ三昧な楽しみ方である。

 
店の人によると、周囲のタケノコの山はこの茶屋のものらしく、朝5時起きで掘ったのをさっとゆでて、各種味噌ほかワサビ醤油やおろし酢醤油など、好みの味付けで出しているという。「タケノコは掘ってすぐゆでないと、すぐ竹になっちゃうからね」、つまり固くなるのも早く、朝とれをその日に食べるのがもっともうまい食べ方なのだそう。

 
店ではタケノコ以外にも周辺のとれたての味覚を、素材の味を生かして出しているという。水も井戸水を使っているとあり、とことん山の幸にこだわっているようだ。山の茶屋らしい料理に大満足、鎌倉市最高峰の大平山に向かう足取りも、タケノコパワーでスクスクと軽やかかになるか?


ローカルミートでスタミナごはんbyFb…横浜・港南台 『レストランカウベル』の、宮崎県産牛のステーキ

2012年05月30日 | ◆ローカルミートでスタミナごはん

 家族での連休の晩飯で訪れた「レストランカウベル」は、釜焼きピザ、生パスタに並び、備長炭を使った炭火焼のステーキが自慢である。前菜でチーズを目の前で削るシーザーサラダを頂いたら、メインはやはり宮崎県産牛のステーキ。息子はモモ180g、家内はフィレ120g、娘はハンバーグと、好みの部位もグラム数も好きにオーダーできるのでありがたい。

 
私はサーロイン220g(写真)をレアで注文、見た目は少々ボリュームがありげだが、脂が割と軽めのため、肉汁と程よく混じりさっぱりといただける。あっさり目のオニオンソース、オリーブオイルに漬けたニンニクチップも食欲をそそる。家内のフィレは春の特別メニューで、醤油ベースのソースの和風仕立て。タケノコやアスパラ、絹サヤなどの春野菜がいっぱいで、見た目からしてヘルシーだ。

 
この店で使う牛肉はは有田牧場から一頭買いで仕入れており、調べてみると純黒毛種の「EMO牛」とあった。飼料にトウモロコシや自家栽培の牧草をメインに、深井戸の水を与えゆったりした牧舎で肥育しているという。もちろん抗生物質や薬は使わず、店の能書きには「神奈川県で一番安全、安心な牛肉」との自信だ。

 
宮崎県は古くから各地の銘柄牛の素牛の産地で、宮崎牛をはじめ高千穂牛、都城牛などの銘柄牛でも知られる。2010年に口蹄疫の被害を被り、終息後も風評被害に苦しんできたが、東日本大震災による原発事故の影響が大きい中、安全な西日本産の牛肉は何ともありがたい存在である。

 ちなみに銘柄牛の「宮崎牛」の定義は、県内で肥育され肉質等級A4・5の黒毛和種。肉質等級がそれ以下だと呼称は「宮崎和牛」で、宮崎県産牛はより広義になり乳用種との交雑種の「ハーブ牛」なども含まれてしまう。店で出しているのは、調べた限りでは少なくとも宮崎和牛、肉質の定義によっては宮崎牛かも知れないから、メニューなどの呼称をきちんとしないと勿体ないような。


ローカルミートでスタミナごはんbyFb…鶴橋 『アジヨシ』の、ボリュームセットなど焼肉

2012年05月29日 | ◆ローカルミートでスタミナごはん

 ローカルフードを売りにする街の観光案内で、「駅を降りたとたん、○○の香りが漂ってくる」というくだりを見かけることがある。目にするたびにこれはさすがに大げさ、街中でローカルフードが香っているなど考えられない、などと懐疑的に感じていた。ところが、大阪でそんな街に出くわすことに。近鉄の鶴橋駅に降り立った途端、あたりに漂う焼肉の香り。高架下や周辺に密集する、焼肉屋の換気扇から、何とも香ばしい匂いが漂ってくる。

 
鶴橋がある生野区は、明治から昭和期に大阪の工業化政策で労働力が必要となった際、半島から移住してきた人が多い土地柄で、駅周辺に形成された鶴橋の市場街は、大阪屈指のコリアタウンとして名高い。駅改札から延びる鶴橋西商店街が、今や大阪の観光名所にもなった焼肉屋街。狭い路地に赤やオレンジなど原色系の看板があふれ、若い兄さん姉さんの呼び声も賑やかで、大阪の活気とソウルの街並みを足して2で割ったような、アジア的だが無国籍な雰囲気が漂う。

 
「A5ランクの和牛」「当日さばいた新鮮なホルモン」など、店頭のうまそうな宣伝文句が何ともそそる中、通りの活気に押されて奥まで行ってしまい、突き当たりにあった大きな店「アジヨシ」で足が止まる。300gのボリュームセットにひかれたほか、半人前の小盛りで肉をオーダーできるのが、ひとり焼肉にはありがたい。

 
まずはセットのロースとハラミから鉄板にのせ、まだジューシーなのをタレをつけていただく。しゃっくりと歯ごたえほどほど、脂は控えめで赤身の味が楽しめる。テッチャンはかなりしっかり焼いてからグリグリかむと、豚の独特な香りがいかにもホルモン。心臓はこれに厚みをつけた感じで、グシグシとかむと同様な香りが強い。レバーはホコホコでふっくら甘みがある。

 
5種のセットに内臓系が3種というのもすごいが、各種内蔵をしっかり味わうのが韓国の肉食文化の真骨頂。なのでもう少し内蔵系を、とレバ刺しも追加。エッジの効いたのが口の中でトロリ、生の内臓のシャクシャク感がいい。さらに半人前の小盛りで頼んだミノは、舌触りとシャクシャクした歯ごたえ。ごま油で煮たニンニク粒を巻きつけて食べると、程よく潰れて格好の付け合わせだ。

 
ひとり焼肉はついつい肉ばかりに行きがちだが、キムチやキャベツもたっぷり摂り、内蔵オンパレードとこの量にしては、割と軽くいただけた。ランチタイムの後だからか、店を出ると食後らしい客たちが、続々と鶴橋駅へと向かって行く。ブレスケアの飴は皆さんもらっているだろうが、これでは大阪環状線の車内まで○○の香りが漂いそう(笑)。


旅で出会ったローカルごはんbyFb…新世界 『串カツ壱番』の、串カツ

2012年05月28日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

 昨日のお昼に食べたホルモンは、新世界界隈の労働者の食、と書いたが、大阪名物の串カツもルーツは同様だ。紙のように薄い牛肉に衣をつけて揚げた牛カツは、材料代が安く1本売りなので安価に出せる。加えて野菜や魚介など、様々な食材に応用もできる。
 
派手さはないが実質本位、かつ味のバラエティにも富んでおり、労働者にとってはうってつけの食。ちょっとお金が入ったときには、贅沢にあれこれ頼んだりと、プチ贅沢にも絶好のアテだったようだ。

 
今では新世界を散歩する観光客に絶大な人気の、浪花ファストフードのカラーが強く、あたりにある店は数十軒は下らない。呼び声が激しい店、ド派手なオブジェ看板の店など、個性が強くまるでテーマパークのフードコートに迷い込んだよう。
 
行列の人気2店を別格としても、どこもそこそこ客が入っているのは、全体的な味のレベルが高いのだろう。という訳で、行列も呼び声もなく入りやすそうな、『壱番』という店にパッと飛び込んだ。名前がいいし、何と言っても通天閣のまん前。ホーロー看板など昭和レトロをイメージした店内は、若いお客で大にぎわいである。

 
カウンターに落ち着くと、まずはおかわり自由のキャベツ盛りが登場。1セット目は定番の牛串に始まり梅シソササミ、キス、ニンニク揚げ、紅ショウガから。共用のソースに浸してクルリと回し、ガシッとかみつく。肉魚と野菜を交互に、1本食べてはキャベツ2枚が、胃がもたれないペースのよう。
 
2セット目は豚バラからベーコン、タケノコ、山芋。牛串で衣だけのすっぽ抜けをやってしまったので、豚バラはしっかりかみつき、慎重にグッとひく。大阪の串カツといえば牛肉の赤身をガシガシかじるイメージだが、これは甘い脂がグシッとジューシー。東京の総菜屋で、ネギと一緒に串になっているのを思い出す。

 
山芋やニンニクといった、スタミナ野菜の串も労働食らしく、ミナミ散策の滋養にもなりそうだ。9本で計1500円の値段もありがたく、扉をガラリと開けるとドーンとそびえる通天閣。その威容が、味にも栄養にも値段にも「これぞミナミの味、どや!」と誇っているように見えた。


旅で出会ったローカルごはんbyFb…新世界 『だるま』の、テイクアウト串カツ

2012年05月22日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

 新世界に来るたびに思うのは、よくもまあこの狭い範囲に、同じ業種の店が集まって、それぞれ成り立っていること。串カツ屋がその筆頭で、ジャンジャン横丁のゲートをくぐり、商店街を抜けて通天閣がそびえる通りまで、何十軒と軒を連ねながら、どこもそこそこ入っている。大声で必死に客引きしてたり、インパクトある看板やオブジェで目を引いたり、客取り合戦は熾烈だが、全体的レベルが高いのもよく分かる。

 
とは言え、店頭を何重にも行列が折り返す突出した人気店もあり、ともに食べたが実際、えらくうまい。だから、周辺の同業店が気の毒なほどガラガラでも、「並んでいると時間がかかりそう。こっちの店が空いているから、いこうか?」とならない。大阪の客が味には厳しい由縁である。

 
界隈に数店舗を有する「だるま」も、行列必至の人気串カツ屋だが、通天閣そばの店舗では店頭でテイクアウトをやっていた。カップ入り4本500円と、食べ歩きには数も値段もお手頃。フライヤーでカツをどんどん揚げ、ソースをクルリとからめ、テンポがいいから列が滞らず、5分も並べば買えるのがありがたい。

 
客がズラリ列をなす店頭を尻目に、通天閣直下の広場でいただくと、テイクアウトながら人気店の味はそのままだ。薄目の衣がクリスピーで、牛串は肉がグッとかみごたえあり、エビは軽く熱が加わりプリッ、タンのつくねはほっこり柔らかで肉の味に厚みがある。

 
熱々を通天閣を眺めつつかじるのは、店で食べるのとはまた違うローカルさがあって、なかなかいい。これも熾烈な串カツ競争の、ひとつの戦略なのかも。食べ放題のキャベツがないのと、自分でソースをつけられないのは、やや物足りないが、店にしてみればこれならソース二度漬けの心配もないか?