ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

魚どころの特上ごはん72…松江・宍道湖の、早朝名物・シジミ漁

2007年04月20日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん



宍道湖の昼の風景と、幻想的な夕景

松江の朝は、シジミ漁のボートのエンジン音で始まる

 シジミ売りの売り声といえば、納豆売りと並ぶお江戸の朝の風物詩。当時は「シジミよー、シジミ」の声とともに、目覚めたお江戸の町人たちが、その日の営みを始める、といった感じだったのだろう。「シジミ売りのように、しっかり働いて」とは、朝早起きして仕事に精を出せ、という例えでもあり、夜型の物書きにとっては耳の痛い限り。前日の深酒のおかげで、早朝からシジミを売るというよりは、シジミ汁で二日酔いをスッキリさせて、といった方が、シジミとの縁が深いようである。
 松江の町の朝は、シジミの売り声ならぬ、宍道湖に響きわたるシジミ漁に向かう船のエンジン音で始まるのだろうか。前日、松江温泉街にある郷土料理の店「五歩屋」で飲んだ際、締めにシジミのラーメンを頂いたおかげで、深酒をしたにもかかわらず目覚めは爽やか。宿自転車を借りて、早朝の宍道湖岸に沿ってペダルをこいでいく。昨日は青空の下に輝く宍道湖を眺め、夕景の幻想的宍道湖も眺めたから、今朝はシジミ漁の漁船で賑わう宍道湖を眺め、宍道湖の代表的「四景」をすべて、目に焼き付けていくことにしたい。

「シジミ漁は朝6時ごろからやってるから、松江温泉あたりの湖岸に行けば、漁の様子が見られるよ」と、昨夜のご主人の話どおり、松江温泉付近の園地から湖を眺めると、湖面狭しと白い小船がずらり。まさに、宍道湖の風物詩、といった感じの眺めである。
 シジミ漁は、宍道湖の沿岸で広く行われており、松江周辺の主な漁場は「温泉団地」と呼ばれる松江温泉の旅館街の沿岸。シジミ漁の船は、大橋川が宍道湖に流れ込む河口あたりから松江温泉街の正面あたりに集中しているよう。宍道湖特産のヤマトシジミは塩分が比較的薄いところに棲息しているのに加え河口の水域は川が運んできたプランクトンが豊富だから、シジミがこのあたりを住処としているのだろう

  朝8時頃の宍道湖の風景。湖面にはシジミ漁の舟がいっぱい

シジミのとり方は、潮干狩りと同じく熊手を使う?

 スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ、シラウオ、コイ、シジミの、俗に「宍道湖七珍」と呼ばれる宍道湖特産の川魚の中でも、シジミはダントツの知名度を誇る。さらに宍道湖でとれる魚介類の中で、シジミが占める割合は実に9割以上。日本で漁獲されるヤマトシジミのうち、3~4割は宍道湖で水揚げされるというから、知名度だけでなく、漁獲量の方もダントツだ。
 宍道湖漁協には現在、およそ300名あまりのシジミ漁業権取得者がいるとされ、宍道湖と大橋川の流域の定められた漁場で、漁が行われている。出漁は6時半ごろで、9時30分ごろにもう帰港してしまうというから、シジミ漁は文字通り、松江の朝を感じさせる風物詩なのだろう。
 漁法は面白いことに、潮干狩りと同じく「熊手」で貝を砂ごと掘る仕組み。もちろん熊手といっても、潮干狩りに使うそれよりはずっと大きな道具で、正しい名は「じょれん」。7メートルの竿の先に、爪のついたかごが装着されている、いわば「お化け熊手」だ。船で湖へ出漁して、漁場でエンジンを停め、船上からこれで湖底をシジミごと掻くのである。

 湖面をざっと眺めたところ、シジミ漁をしている船は、宍道湖大橋の直下あたりに多く見られるようで、自転車をこいで移動。橋の中ほどの歩道の部分に、ベンチが設けられている箇所があり、そこから漁をする船の様子が、直下に見られて面白い。
 ちょうど橋げたのすぐ周辺で漁をやっている船を見つけ、橋から見下ろすように見物させてもらう。船はふたりひと組で操業しており、見物した船はどうやら、夫婦でやっているよう。「夫婦舟」は結構多いようで、ご主人がじょれんの長い竿を湖底に打ち込んで、湖底をぐっと掻いている様子が、橋の上からも分かる。じょれんを打ち込んだときは、引き手の体がかなり斜めになり、船から落ちそうで見ていてちょっとハラハラする。

 長い棒の先には大きな籠が。人手頼りの重労働だ


 橋げたからやや離れたところに、無人の船がポツンと浮かんでいて、不思議に思うと何と、近くでウェットスーツを着た人が、直接湖に入っているではないか。宍道湖の湖岸あたりは、水深が平均
2メートル以下と浅く、宍道湖大橋の下あたりは腰ぐらいの深さしかない。そこで、直接湖に入ってシジミ漁をやっている漁師もいる。近くにタイヤチューブのような浮き袋を浮かべて、その上にかごをのせ、じょれんでとったシジミをそこへ移している。その様子は、素潜りして海底からアワビやサザエをとってきて、海面に浮かべた桶に獲物を放り込む海女にも、ちょっと似ているかもしれない。

無駄な公共事業で、危うく絶滅の危機に瀕していたことも

 船上から湖底に打ち込んだじょれんを引っ張るときは、船のエンジンをかけて掻くのかと思いきや、エンジンは停めたままで、頼りは人の力のみ。船の動力を利用して掻くのを「機械掻き」、人力のみでかくのを「手掻き」と言うそうで、手掻きのほうがシジミ貝が割れたり傷ついたりしないから、シジミが高く売れるという。
 打ち込んだじょれんを、手前にぐっと引き寄せると、船のほうがじょれんを打ち込んだところへとすっと寄っていく。すかさず、船を竿でこぐように再びぐいっと押して離し、再びじょれんを引き寄せて、の繰り返し。このじょれん、重さ40キロほどで、シジミや湖底の土が入るとさらに重いため、人力だけで掻くのは大変な重労働だ。

 宍道湖のシジミは、かつては年間1万5000トンと豊富な水揚げを誇ったが、環境の変化により漁獲量が減少。一時は6000トンあまりまで落ち込んでしまった。またかつて、中海に設けた水門を閉じて、宍道湖と中海を淡水化、干拓して農地にするという、とんでもない計画が推進されていたことがある。幸い、2002年に計画は中止となったが、もし実行されていたら、淡水では浸透圧の関係で卵が破裂してしまうシジミはもちろん、様々な塩分の水域が形成された宍道湖ならではの「七珍」は、すべて全滅していたといわれている。
 これらの苦い過去から、宍道湖のシジミはとり過ぎないように、徹底した資源管理がなされている。例えば、操業の時間制限。前述の通り、早朝から午前中の4時間ほどと短時間なのに加え、水・土・日曜は漁はお休み。さらに1日の漁獲は規定のコンテナ2つ分の140キロまで、時期により禁漁区域が設けられ、じょれんの目の大きさも厳しい決まりがある。
 1日4時間労働、かつ週休3日とだけ聞くとちょっとうらやましいかもしれないが、じょれんを使って人手頼りの重労働、さらに雪や極寒の冬場の漁など、厳しい自然との対峙はやはり、一次産業ならではの厳しさはあるようだ。

橋の上から、夫婦息の合ったシジミ漁の作業風景が

 湖底を掻き終えたじょれんは、水中で2、3回振られて泥や砂を落とされた後、ドン、と船に揚げられた。竿の先の巨大な籠から、ジャラジャラ出てきた貝は、奥さんの手で船上の選別器で小石や貝殻を分け、さらに整理・仕分けされていく。夫婦水入らずの作業を、橋の上から覗き込むようで失礼だが、息のあった作業が淡々と進んでいく。
 ちなみにシジミ漁の船は、漁を終えて船溜りに帰った後、出荷までは大忙しだ。船上であらかじめ、選別器でシジミをサイズ別に分けておき、さらに船溜りでもサイズ分けや、空の貝殻を選るなど、最後の検品。終了後、船溜りの所定の場所に置いておくと、漁協認定の問屋がやってきて集荷される仕組み。漁協に集められた後、仲買人に出荷される。だから、シジミは市場での競りはなく、料理屋や旅館は、その仲買人から買うことになるのである。

  
 シジミ漁の舟には大きな漁港はなく、このような小さな舟溜りが、湖岸沿岸の各所にある


 日頃は夜型の生活をしているけれど、取材に出ると旅先ではなぜか早起きでき、早朝から市場や漁港を巡ってと、まさにシジミ売りのごとく働けるから不思議である。今朝も朝早くから動き回り腹が減ったので、橋の上から漁を見下ろしつつ、宿で頂いた弁当を失礼して頂く。おにぎりをかじり、たくあんをつまみながら、シジミの味噌汁があれば言うことなし、なんて言ったら、まだまらお仕事中のシジミ漁師の方に怒られてしまう?(
2006年9月26日食記)


町で見つけたオモシロごはん86…横須賀 『釜飯と串焼き とりでん』の焼き鳥&イースターのゆで卵

2007年04月18日 | ◆町で見つけたオモシロごはん

ニッポンの年中行事に、イースターも参入か?

 ここ数年で、イベントとして盛り上がる年中行事が、ずいぶん増えてきたような気がする。自分が子供の頃は、年末のクリスマスに始まりお正月、節分、ひな祭り、こどもの日、といった程度だったか。それが11月のハロウィンが一般化して、行灯や仮面にするカボチャをテーマに、ケーキやプリン、タルトなどのお菓子が売られるようになった。節分には恵方巻きとかいう太巻きをかじる習慣が広まり、バレンタインデーからホワイトデーと続く、洋菓子の販売攻勢。さらにひな祭りにはちらし寿司と、なぜかイチゴのケーキも。
 バレンタインデーあたりは、自分が子供の頃にもあったような気がするが、記憶にないのは自身が無縁だったからか? でも、こうしてみると、人気の年中行事には、それにまつわる食べ物が必ずある気がする。ハロウィンとか節分の恵方巻きとかは、若干その食べ物の「業界」の販売戦略、という気もしなくはないが。

 4月にそんな年中行事がないのは、新入学や入社、転居など新生活が始まる節目で、人々が多忙だからなのだろう。調べてみると、4月8日は釈迦の生誕日である「花祭り」。あまり一般化していないのは、前述のように世の中が多忙な時期なのが理由なのか、それとも食べ物とのからみが、甘茶では弱いからなのか(失礼!)。
 そしてもうひとつ、こちらはキリスト教にまつわる行事「イースター」もこの期間だ。今年は4月8日と、お釈迦様の生誕日と重なった。京浜急行の沿線案内の小冊子の、イベントガイド欄にこの「イースターの集い」というのを見かけ、家族でぶらりと出かけてみることにした。同じく京急沿線の弘明寺観音で催されている「花祭」ではなく、こちらを選んだのは、甘茶よりゆで卵がうまそうだったから、という訳ではないけれど、小冊子の記事に添えてあった、色とりどりの卵の写真が、何だか楽しそうな雰囲気である。

イベントではなく、正式で厳粛な礼拝に少々、あたふた

 会場は京急の横須賀中央駅そばにある、横須賀中央教会で、入口に入ると「イースターおめでとうございます!」と、子供たちが元気に出迎えてくれた。テーブルの上には、ゆで卵がたくさん入れられた籠が。赤や緑、黄色、中には水玉や縞々など、実にカラフルだ。
 イースターとは「復活祭」のことで、キリストが十字架に磔にされて亡くなってから3日後に、復活したことを祝う祭である。同時に、春の訪れを告げるお祭りでもあり、海外ではクリスマスやバレンタインデー、ハロウィンと並ぶ、知名度の高いイベントなのだ。京急の小冊子によると、この教会ではイースター向けのプログラムが用意されているとあり、バザーやイベントなど期待していたところ、ゆで卵と一緒に聖書と賛美歌の本を手渡されて、2階の礼拝所へと案内される。
 イースター向けのプログラムとはつまり、「イースター礼拝」のこと。賛美歌を唄い、祈りの言葉を捧げ、牧師の方から聖書の話を聞き、と、厳粛な雰囲気の中で進んでいく。クリスマスもお正月も普通に楽しんでしまう、典型的な「無宗教な日本人」の自分も、教会の礼拝に正式に参加するのは、初めての経験。慣れないので、進行にうまくついていけずあたふたしていると、隣席の方が親切に、聖書や賛美歌の該当ページを教えてくれる。

 礼拝の詳細はここでは省くけれど、印象的だったのが、パンと葡萄酒が参加者に配られたこと。キリストが処刑される前夜の「最後の晩餐」で、弟子たちにパンは自身の肉、葡萄酒は血として分け与えたとされる。自分のような、ふらりと訪れたような者が頂いていいものか、あわてていると、「洗礼を受けてない人は、頂けないんです」と、先ほどの隣席の方。
 1時間強の礼拝が終わり、ややホッとして階下へを降りると、入口で再び「よろしければもうひとつ、どうぞ」と、ゆで卵を受け取った。さっきもらったのは緑、今度のは真っ赤で、「怪獣のたまごだ」と喜びながら、水玉模様のゆで卵をもっている子供もいる。
 イースターゆかりの食といえば、このカラフルなゆで卵、みんなでこれをいっぱい食べて… ではない。本場ではイースターの際には、様々なごちそうをつくってみんなで頂いたり、プレゼントやカードを交換したりと、ちょっとクリスマスに似たイベントらしい。イースターエッグと呼ばれるこの卵は、いわば生命の始まりや復活の象徴で、このように着色して飾ったり、子供たちがゲームに使ったりと、キリストの復活に縁のある品として用いられているようである。

ゆで卵を頂き、お昼ご飯は卵の親で焼き鳥で

 もちろん、普通のゆで卵と同様に食べられるのだが、ちょうどお昼時とはいえこれで昼食代わり、では少々足りないか。数集まると彩りもきれいだし、持ち帰って飾ってから、家で頂くことにしよう。子供たちも子供向けの礼拝を終えて、近くの公園で遊んで戻ってきたため、お世話いただいた牧師の方々に挨拶して、そろそろ教会を後に。横須賀中央駅前の「モアーズ」レストラン街で、昼食を済ませてから帰ろう。
 店の選択は子供たちに任せたところ、品書きの写真にひかれて決まったのは『釜飯と串焼き とりでん』という店。子供たちは釜飯に決まっているようで、それぞれたっぷりイクラ釜飯、うなぎの釜飯を注文した。卓上の砂時計で、運ばれてきてから3分計って蒸らす仕組みらしく、何やら楽しそうにやっている。半分食べてから、ダシ汁を入れて茶漬け風で頂くのが、名古屋名物の「ひつまぶし」に似ていて、なかなかおいしそうだ。
 自分はそれほど空腹でなかったので、串焼きの人気5点盛りとビールで、軽く済ますことにした。この店で使っている鶏は、某知事の宣伝効果で話題の「宮崎日南鶏」。肉に張りがあって脂がのりジューシー、と品書きに紹介されている。肉の味が濃いねぎまとつくね、脂たっぷりのボンチリ(鶏の尻尾の先端部)をかじりつつ、昼間から中ジョッキをグッ。
 年中行事と食べ物との関わり云々を冒頭で綴りながら、イースターに参加した後の食事は何だか、年中行事と無関係になってしまったか。まあ、「鳥は、復活の象徴である卵の、さらに生みの親」ということで…。(20074月8日食記)

魚どころの特上ごはん71…松江 『五歩屋』の、宍道湖七珍のシジミ料理

2007年04月15日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

魚どころの特上ごはん69 の続きより。

 
前回紹介の、スズキの奉書焼(左)に、ウナギの柳川風(右)

●郷土を代表する魚介・シジミの味付けは… ニンニクと唐辛子!

 松江温泉にある郷土料理の店『五歩屋』で、宍道湖七珍料理を満喫。希少な魚介である「あ」のアマサギも、今宵は飛ばして、いよいよ宍道湖を代表するローカル魚介・シジミの登場である。
 シジミの料理と聞いて、思い浮かぶのはやっぱり、味噌汁。肝臓にいいグリコーゲンが豊富なので、酒を飲んだ後にはもってこいだ。とはいえ、まだ酒宴は序盤戦。シジミ汁の登場には少々早すぎるよう。 酒の締めでなく、酒の肴になるシジミ料理を勧めてもらうと、「じゃ、うちのオリジナルシジミ料理でいきましょうか」とご主人。何と、シジミをニンニクと唐辛子でサッと炒めた料理だそうで、エスニック風というか、スタミナ料理というか、聞くからに食欲をそそる。このシジミのピリ辛炒めと、追加の地酒「豊の秋」生酒ももう1本。シジミが肴なら、少々深酒したって安心か?


 大鉢にいっぱいの、シジミのピリ辛炒め

 貝を素材にした炒め物といえば、居酒屋定番メニューのひとつ・シジミバターが思い浮かぶ。アサリはシジミより大きいから、バターの風味にも負けないけれど、小粒のシジミをニンニクや唐辛子みたいな風味の強いものと炒めたりして、大丈夫なんだろうか。少々心配しているうちに、大きな角皿にたっぷりのシジミが盛られて登場。その粒が大きいことにビックリ、小柄のアサリと言ってもおかしくないほど大きく、殻に厚みが合って丸々、コロコロしている。
 だからかなり濃い目の味付けなのに、シジミ自体の味がこわれることなく、かえってこってりした身の味が強まっているよう。意外にニンニクとの相性がよく、シジミはホクホク、ニンニクの粒がシャリシャリといい「出会い物」の味を作り出している。
 地元・松江に蔵元がある「豊の秋」は、甘くも辛くもない素直な味で、さっきのスズキやウナギといい、個性的な七珍料理の引き立て役に徹している。シジミにものピリ辛タレをいっぱいつけて、2、3つまんでは「豊の秋」の杯をクッ。このタレが実においしく後をひき、シジミの身を食べきった後も空いた殻で、タレとニンニクの粒もすくって残さず頂いてしまった。

●シジミラーメンで締めくくり、二日酔いをシャットアウト

 宍道湖のシジミの特徴は、このように殻がタレをすくうスプーン代わりになるほど、大粒で肉厚なこと。種類はヤマトシジミで、大粒のは湖の北部、小粒のは南岸でとれるという。このシジミ、宍道湖でとれる魚介類のうち実に9割以上を締め、漁獲高は日本でも屈指。日本で漁獲されるヤマトシジミのうち、3~4割は宍道湖で水揚げされるというから、地元でも大きな産業のひとつだ。
 だから、宍道湖七珍の中でも通年食べられる品で、「七珍=シジミ(あとはスズキか?)」といってもいいぐらいの、知名度の高さだろう。さらに値段も手ごろで、有名料亭から庶民派居酒屋まで、どこでも頂けるのがうれしい。ちなみにこの店は、奥さんの弟がシジミ漁師のため、直接安く仕入れており、鮮度のよさも、質の良さも折り紙つき。このような思い切った料理法ができるのも、そのおかげだろう。

小粒のシジミがたっぷり、エキスがよくしみでている

 先に頼んでいた、ウナギの柳川風のつゆにご飯を入れて、締めくくりに鰻雑炊にしようと思ったが、当地ならではの締めの一品を品書きに発見。シジミたっぷりのラーメンだ。締めにちょうどいい小振りのドンで、スープは塩味があっさり。シジミはさっきのピリ辛炒めと違い、小振りのがたっぷり入っている。ダシをきちんととるには、小粒のほうが向いているのだろう。エキスがしっかりと汁に出ていて、酒の後にはほっとする味だ。

●宍道湖「四景」を全制覇すべく、明日は早起きで

 昼間に市街を散策している際、青空の下に輝く宍道湖を眺め、この店に来る前に夕景の幻想的宍道湖も眺めた。あとは早朝、シジミ漁の漁船で賑わう宍道湖を眺めれば、宍道湖の代表的な「三景」をすべて制覇か。シジミ漁は朝6時ごろからやってるから、松江温泉あたりの湖岸に行けば、漁の様子が見られるよ、とご主人に勧められ、明朝の早起きを決めてそろそろ、席を立つ 
 すっかり夜の帳が下りた湖岸を自転車で走り、途中で湖岸に自転車を停めて、酔い覚ましがてら追加の「四景目」をしばし、眺めることに。先ほどは荘厳な夕景にちょっと、あてられてしんみりしてしまったが、今は酔いが心地よく回り、いい気分。湖岸の涼しい風にはっとしてふと、対岸に目をやると、湖に映った松江の夜景がゆらゆら揺れていた。(2007年9月25日食記)


町で見つけたオモシロごはん85…横浜・弘明寺 『ぐゎんばる亭』の、横浜すたいるの広島風お好み焼き

2007年04月13日 | ◆町で見つけたオモシロごはん

●屋台もズラリ。地元での花見は、大岡川で楽しむ

 暖冬の影響で早めとか、寒の戻りで遅れるとか言われつつ、結局例年並みの時期に開花した今年の桜。開花後も、たまの冷雨や強風をうまくかわして、ここ数年の中では結構長い期間、花が楽しめたのではなかろうか。
 そのおかげで、今年は花見をすること何と、4度。うち2回は、地元の横浜界隈の桜の名所を訪ね歩くことができた。ひとつは横浜の誇る名園・三渓園で、大池を中心に咲き誇る桜が見事な、市内でも屈指の桜鑑賞スポットだ。この時期は特別に、夜9時まで開園しており、池に映る桜の花々、そして高台にそびえる三重塔が、ライトアップで幻想的な姿を見せてくれていた。
 そしてもうひとつが、大岡川沿岸の桜並木である。市街を貫いて流れる大岡川の沿岸2キロほどには、800本の桜が植えられており、毎年3月下旬~4月上旬に行われる「大岡川桜まつり」の時期には、こちらもぼんぼりでライトアップされる。期間中の週末には、各所で様々なイベントも行われ、屋台が出たり観桜席が設けられたりと、賑わいを見せている。

 大岡川桜まつりの会場のひとつ・弘明寺かんのん通り商店街は、自宅から近いこともあり、4月のはじめのとある週末、夕食を終えた後に家族みんなで、桜見物に出かけることになった。弘明寺へは最寄り駅から電車で数駅だが、家を出るときにはあいにく小雨混じりの天気のため、クルマで出かけることに。商店街は京急の弘明寺駅と鎌倉街道を結ぶように延びており、鎌倉街道側の入口そばの駐車場にクルマを停めて、商店街のアーケードへと向かった。
 桜の見どころは、商店街の中ほどの観音橋あたりで、ぶらぶらと歩きながら沿道に並ぶ店の、店頭を冷やかしていく。銘菓「観音最中」を始め、色とりどりの生菓子を並べる和菓子屋。花見客を中心に、玄関先までお客があふれているそば屋。手作りのおでんダネを売るかまぼこ屋に昔ながらの製法にこだわる豆腐屋、和洋中各種おかずがズラリとテーブルに並ぶ惣菜屋…。
 弘明寺は板東三十三観音霊場の門前町として古くから栄えた町で、商店街にも今もなお昔ながらの商店が、数多く軒を連ねている。市内の商店街の中でも、普段から非常に活気があることで知られ、まさに「横浜下町人情商店街」といった感じだ。桜見物の後の、帰りしなの門前町ショッピングも楽しみである。

●とてもカラフル! 進化した、縁日名物「チョコバナナ」

 商店街は観音橋のところで大岡川に交差しており、橋の上からが桜の一番の見どころだ。それほど川幅が広くない分、両岸からせり出した桜の枝が、まるで川の上に覆いかぶさるよう。一部の器はライトアップもされており、あでやかなピンクの花々が照らされて、幻想的な眺めをつくりだしている。 橋のあたりから桜を眺めたり、写真を撮ったりしていると、近くに出ている屋台が子供たちは気になっている様子。のぞいてみると、焼き鳥に甘味など、テイクアウトやおみやげが色々揃っている。川畔の遊歩道を散歩する前に腹ごしらえ(晩飯は食べてきたはずだが?)もいいか、と息子に百円玉を数個渡すと、喜んで焼き鳥の売り場へと走っていった。
 一方、娘の方はおやつのほうへまっしぐら、チョコでコーティングしたバナナやイチゴに、カラフルなキャンディがちりばめられているのが気に入ったようである。このお菓子、お祭りや縁日の屋台では定番だけれども、近頃はデコレーションがずいぶん派手になってきた。ちなみにここのは「コアラのマーチ」がひとつ、おまけでトッピングされているのが面白い。娘にも百円玉を渡して買いに行かせると、店のお兄さんに「どれがいいかな?」と聞かれ、様々な表情のコアラとひとつひとつにらめっこして検討している。
 そして家内も、ご所望の品があるとのことで、これまた百円玉を渡して、ではなく、プレゼント差し上げることに。花見の時期に合わせて、見事な桜の羊羹だ。鎌倉街道の方に店を構える盛光堂の品で、ほんのりピンク色の棹の中ほどに、塩漬けの桜がアクセントになっている。

 何だか「花より団子」の様相を呈してきたけれど、その後はライトアップの花を見たり、携帯で写真を撮ったりしながら、川沿いの遊歩道をぶらり。小雨が場パラパラと降っているけれど、その分混雑が激しくなく、落ち着いて散策が楽しめる。途中、河原に降りられる親水公園があり、ここらでちょっと足を停める。子供たちは喜んで、河原へと遊びに降りていった。
 河原へ降りる階段の近くには、桜がよく見えるテーブル席と、屋台が設けられている。さっそく氷水でよく冷えた缶ビールと、おでんはだいこんにちくわ、コンニャク、卵あたりを適当に頼み、子供が遊んでいる間、親はここに腰を据えることに。片手におでんをつまみ、見上げると見事な桜花。風に吹かれて散ってくる桜の花びらが、缶ビールについた水滴にペタリ。ああこれぞ、花見の醍醐味といった感じである。時折、子供たちが河原から登ってきては、おでんを2、3つまみぐいしつつ、拾ってきた桜の花をうれしそうに見せる。

●横浜スタイルの、広島風お好み焼きでひと息

 雨が次第に本降りになってきたので、このあたりで屋根つきのアーケードに撤収。屋台で軽くつまんだから、みんなかえって小腹が空いてしまったようで、雨の寒さもあり店に入って軽く食べて、暖まってから帰ろう、ということに。駐車場に向かって引き返す沿道には、立ち飲み屋、台湾料理の店と、場末のラーメン屋、小ぢんまりした寿司屋など。ひとりなら気ままに入って軽く飲んで喰って、といきたいが、子連れで入るには少々濃い感じの店ばかりだ。
 迷いつつアーケードの出口に近づいたところ、商店街の通りからやや外れたところに、お好み焼きの店の看板が灯っているのが見えた。覗くとちょうど、4人分の席がぴったり空いており、ありがたく扉をくぐり、席についてホッとひと息。小雨の中を歩き続けたから、暖かいおしぼりがしみるようにありがたい。
 お好み焼き屋というと、大きな鉄板が据えられたカウンター席がドンと鎮座し、周囲には鉄板つきのテーブルが並び、店内にはもうもうと焼きの煙が上がっている、といった感じだろう。ここは黒を基調としたシックな内装で、一見するとカフェやダイニングバーにも見えるほど。一方、大量のマンガの蔵書や各種ボードゲームも置かれ、地元の人の憩いの場といったカジュアルな雰囲気も感じられる。 

  『ぐぁんばる亭』というユニークな店名のこの店、横浜界隈では珍しい、本格広島風お好み焼きが名物である。広島出身の店長が、ご当地の味を横浜でもぜひ、と始めたもので、本場の材料を使った、本場の味を提供しているという。壁には「ランキングベスト5」が掲げられ、「もちチーズそば」「スペシャル(イカエビホタテ)そば」「ねぎキムチそば」など、人気の品々が食欲をそそる。
 屋台で焼き鳥だおでんだチョコバナナだと、あれだけ食べた子供たちは、ひとり1枚ずつエビチーズコーンそばと、依然食欲旺盛だ。自分はビールと、肴を兼ねて軽く焼きそばを。そして家内は店のオリジナルメニューである「モリモリやさいそば」を注文。キノコ、ニンジン、ナス、ピーマンと、文字通り野菜たっぷりのお好み焼きだ。店長は広島風のスタイルにこだわりつつ、地元客の口に合うようメニューのアレンジもしており、ボリュームはほどほど、キャベツなど野菜多めのヘルシーなお好み焼きが、受けているという。

 ビールをあおりながら、豚肉とキャベツのシンプルな焼きそばをすすり、子供たちからお好み焼きも少し、へらで切り分けておすそ分けしてもらう。コーンとチーズがたっぷりの、いかにも子供向けといった感じで、本場の広島風よりもそばは半玉だけと、やや軽めなのが、「弘明寺風」のアレンジか。生地はしっとりと柔らか、具材は素材の歯ごたえがそのまま生かされており、なかなか食べ応えがある。
 調子にのって、もう少しへらで取り分けようとしたら、「ぜんぶ自分で食べる!」と娘から抗議が。自分もお好み焼きが良かったかな、と少々後悔しつつ、のこった焼きそばでビールを飲み干す。

 食後のお茶を頂きながらゆっくりしていると、いつの間にか雨は小止みになった様子。夜桜見物とはいえ、そろそろ21時近くなり、子供は寝る時間だ。食べ終えてボードゲームで遊んでいる子供たちに声をかけ、店を後に。門前町でショッピング、と思っていたけれど、遅くなりシャッターが閉まった店も多く、じっくり訪れるのはまたの機会にしようか。
 唯一まだ空いている「ほまれや酒舗」には、日本全国の様々な銘酒がそろっており、クルマに向かう前にちょっと覗かせてもらう。地酒「弘明寺」や「さくらワイン」なんてのもあったけれど、越後の銘酒「八海山」を1本、自分のおみやげに買うことに。花見の余韻を楽しみながら、家に帰ってから1杯ぐらい頂こうか。そして酒のアテは、桜羊羹?(2007年4月8日食記)

町で出会ったオモシロごはん84…横浜・東戸塚 『らーめん半蔵』の、チャーシュー麺中盛り

2007年04月10日 | ◆町で見つけたオモシロごはん
 

ラーメン欠乏の禁断症状には、「横浜ラーメン」で処方を!

 横浜の家系ラーメンは、しばらくラーメンを食べる機会がなかったときに突然やってくる、「ラーメン禁断症状」の発作の処方に、もってこいのラーメンだと思う。トンコツ臭プンプンのスープに、こってり濃い口の醤油ダレ、表面には油層ギトギトの脂っこさ。麺は極太ストレートのズルズル麺に、とどめはドカンと麺を覆い隠さんばかりのチャーシューや角煮…。
 上品な塩ラーメンやさっぱり粋な醤油ラーメン、流行の魚介ダシかぐわしいラーメンでは物足りない。そんな底抜けの食欲に対しても、充分な破壊力を持っているこのラーメン、頭のてっぺんから足先までしびれるラーメンを体が求めている時、一杯で満たされた気分になれること間違いなしである。と、夕方の飯時に綴っているので、最寄の家系ラーメン「杉田家」へ、すぐにでも飛んでいってしまいたくなってきた。

 この冬は寒さが厳しくなかったせいか、あまりラーメンを食べに行くことがないうちに、いつしか桜が咲きすっかり暖かくなってきた。そんなある日の午後、東戸塚駅周辺を歩いていた際に、突然「発症」。理由なんかないけれど、パワーみなぎるラーメンをガツン、と食べないことには、どうにもお腹も舌も収まらない気分にはまり込んでしまった。
 駅前の大規模ショッピングモール「オーロラモール」に行けば、ラーメンの名店が入っているかもしれない。足を運んでみたけれど、いわゆるフードコートのラーメンぐらいしか見当たらない。勘に任せて、駅付近の繁華街らしき路地をうろうろしてみたところ、何と「麺屋空海」の支店があった。以前、川崎で入ったことがある店で、女性のひとり客でも入れるような、スタイリッシュで洗練されたラーメンだったのを思い出す。

 その時頂いたのは、フレンチの手法を生かしてスープをとったワンタンメン。スタイリッシュ、洗練も悪くないが、今日のところはそれではとても満足できなさそう。てな訳で、すでに視線はその先に翻る、オレンジの「横浜ラーメン」の幟に、すでに釘付けである。
 まるで小じゃれたカフェにも見える、前衛的なデザインの「空海」を通り過ぎ、『らーめん半蔵』というその店へ。店名に「家」こそついていないが、横浜駅東口にある人気店「壱八家」の流れを汲む、れっきとした家系ラーメンの店である。壱八家といえば、家系ラーメンの店の中でも、かなり濃い目の味付けで知られるから、これは期待できそうだ。
 昼時をやや過ぎているのに、あいにく席は埋まっているようだが、いったん近くのコンビニで時間をつぶし、20分後に再来。しかしまだ席は埋まっており、さらに古本屋で時間をつぶすことに。今日の「発症」を処方してもらうには、ここしかない、と半ば執念で待つこと計1時間あまり。待ったおかげでさらにどん底になった空腹を抱え、無事カウンターの隅に着くことができた。

カジュアルな店内でも、出てくるラーメンは家系直球

 家系ラーメンの人気店といえば、シンプルなカウンターとイスだけに簡素な客席、その向こうのたたきでは、白装束の職人たちが無言で黙々と仕事をこなし、奥には大きな寸胴鍋が鎮座している。旨いラーメンを味わう以外の無駄を極限まで省いた、ある種ストイックなイメージがある。
 ここはウッディな内装にBGMが軽快に流れ、ちょっとカジュアルなムード。若い店員が元気に接客していて、明るい雰囲気だ。お客も女性の一人客やカップル、親子連れの姿もあり、後ろの席のカップルの女性は、季節限定メニューの「塩春菜ラーメン」を注文。緑野菜が丼から盛り上がるほどのった、見るからにヘルシーなメニューで、店のオリジナルである季節限定の品らしい。

 横浜ラーメンの印象とはちょっと異なり旨そうだが、こちらは今日頂きたいのは、ガツンとヘビー級のパンチの聞いたラーメンだ。オーダーはチャーシュー麺の、中盛り。食券を渡したときに「味の濃さ、麺のゆで加減、脂の量はどうしますか」と店の人が聞いてくるのは、横浜ラーメンの基本で、さらなるパンチを期待して味は濃い目、脂はちょっと悩んだ上、普通にしておこう。卓上にある、レモンスライス入りのお冷ポットの横には、おろしニンニク、豆板醤、ゴマ、酢などの調味料がずらり。味付けは食べる人のお好み次第なのもまた、横浜ラーメン流だ。
 カウンターの向こうでは、店名を染め抜いた黒のコスチュームの兄さんふたりとお姉さんが、きびきびと動き回っている。中でも「うしろ通りまーす」「麺上がりまーす」と、お姉さんがやけに元気だ。スープを仕込む奥の大寸胴鍋が時折開き、これまた大きな櫂でかきまわす様子も。たっぷりのトンコツがゴトゴト、ゴチゴチぶつかる音が響き、なかなかの迫力だ。
 麺が上がると、3人が調理台の付近に集結。並んだ丼を前に、手際のいいフォーメーションプレーが繰り広げられていく。まず寸胴から金ざるでこしたスープがザッ、その脇でバチッと湯切りされた麺がするりと盛られ、上にのりやねぎやチャーシューをパッパと配置。みるみるうちに、ラーメンが完成されていく。

頭のてっぺんから足の先まで、しびれるような濃さ!

 そして差し出されたラーメンは、褐色のドロリとしたスープに極太麺、脂身ごってりのチャーシューが上を覆い、青菜が爽やかなアクセント。見るからに重厚な、家系ラーメン直球のスタイルである。スープからプンプン漂ってくる豚骨臭が、早くも禁断症状をじわりと癒してくれる。
 積年の思いを開放するがごとく、さっそくそのスープからレンゲを片手に、いざ突撃だ。豚のコクに、濃い口のしょっぱさ、そしてほんのり後味の甘さ。なめらかながら、しびれるまでのこってり味にたまらず、レンゲで数口たてつづけにイッキ飲みだ。太麺もズルズル、というよりはバクバク頂く感じの食べ応えで、ああラーメンの空白期間がしみるように癒されていく気分だ。チャーシューの脂身は、スープにやや浸して熱を加えると、トロトロになりこれがまた。数枚続けて食べるとさすがにくどいけれど、青菜がさっぱりとありがたい。
 やや食べ進めてから、卓上の調味料や薬味を加えて、横浜ラーメンのお楽しみである味覚のアレンジも忘れずに。豆板醤とゴマ少々、そして家系ラーメン発症の地に店を構える「杉田家」の食べ方にあった、酢を加えてみる。するとスープの味によりメリハリがつき、特に酸味が食欲をさらにそそること。

 最近は年齢のせいか(?)こってり系のラーメンは、あまり体が求めなくなった。でも食欲旺盛な学生の頃や、まだ入社して数年の働き盛りの頃は、活力源とばかりじゃんじゃん頂いていたものだ。舌に刷り込まれた味の記憶は、あまり変化しないものなのだろう、ラーメンをしばらく食べないと今日みたいに「潜伏期間」を経て、何かの拍子にふとフィードバックしてしまうようである。1杯さらりと平らげ、店を出る頃にはすっかり「ラーメン的平常心」に。しばらくはまた、こっちのようなラーメンがいいかな、と思いつつ、本日は見送った「麺屋空海」の前を再び通り過ぎていった。(2007年4月7日食記)