昨夜は広島市の関係の方々と、水道橋のお好み焼き「花子」で会合を持つことに、当地の食材を用いた料理に加え、地酒のPRも展開。瀬戸内の味覚と西の日本酒のマリアージュで、大変な盛り上がりをみせた。
日本酒の主役二品は、甘いもの辛い物の両極端の飲み比べで、メリハリが舌に実感でき広島の酒の懐深さがよく分かる。辛口代表は、庄原に蔵元がある「銀神龍」。日本酒度+14度ながら、きつさのない丸みを帯びた舌触り。地元産の有機栽培の酒米「八反錦」の穏やかな風味を、手を加え過ぎず素直に引き出した酒である。プリプリで潮の香豊かな広島ガキのバター焼きや、土の香り控えめなスズキのムニエルをアテにすると、酒との相乗で山海の幸の芳醇さが実感できる。
甘口はマイナス10度の、三次は山岡酒造の「瑞冠」。澱を残した濁り酒で、発酵を止めない生酒のためスパークリングのインパクトがかなりのもの。甘口ながら極端な主張がなく、舌にひんやり、じわりとくるほの甘さが心地よい。食前食中どちらもこなすオールラウンダーな酒で、青魚の旨みを封じた小イワシ天ぷらや、脂控えめでさっぱり淡白なもみじ豚のローストなど、素材の味を素直に引き出す料理を受けるのに向いている。
西の酒どころであり、瀬戸内を擁する魚どころでもある土地柄。存在感ある地酒を傾けつつ、地魚料理に舌鼓を打つ旅を、しっかり推していきたいところである。