ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

中華菜館 博雅のあさり潮ラーメン@銚子

2021年04月10日 | 旅で出会った食メモ
飯沼観音の前にある創業50年ほどの中華料理店で、地元の普段使いの町中華として知られている。麺や丼、定食が豊富で、ガラス窓にも宣伝が貼られたあさり潮ラーメンは、銚子魚市場で仕入れた地物のアサリを使った、地元魚介のラーメンである。

アサリはバターで炒めてからのせてあり、香ばしさが丸々大きなアサリの身に加わって味が濃い。スープは澄んだ塩ベースで、貝とバターの風味が突出。太めの麺にほどよくからみ、スイスイと進むラーメンだ。

店内はいかにも町の中華料理店といった佇まいで、壁には銚子出身のスポーツ選手のサインも。地元に根ざした、ご当地ラーメンの店である。

銚子電鉄外川駅売店の、まずい棒&ぬれ煎餅

2021年04月10日 | 旅で出会った食メモ
旅客営業収入が下がる一方で、国の補助金も減少していく中、鉄道事業の存続が危ぶまれる銚子電鉄。「副業」のぬれ煎餅は、そもそも醤油の産地である銚子で作られていた地場産品を、1995年から自社で製造し始めたのがきっかけである。仲ノ町駅に工場を構え、年間の売り上げが鉄道事業収入の倍になり、社の主力事業に。さらに「電車運行維持のためにぬれ煎餅を買ってください」のコピーが話題を呼び、今や社の売り上げの7割までの規模となっている。

が、台風やコロナの影響で観光客が激減、新たな経営原資を稼ぐ品が必要となり、登場したのが「まずい棒」。どこぞで聞いたことがある名前と体裁だが、ネーミングは社の経営がまずいことに所以するとか。某有名駄菓子のパロディだがその模倣ぶりは本格的で、キャラのまずえもんも、ホラー漫画の巨匠の日野日出志氏に書いてもらっている。味はコーンポタージュにチーズ、ぬれ煎餅、炭火地鶏など現在6種類。味はパロディ元のあのスナック菓子を彷彿させる。

社長のインタビューによると、うちは鉄道会社ではなくせんべい屋、食品会社ですと言い切る振り切れぶり。ネーミングライツをはじめ、なんでも売ってお金にするというポリシーは、ある意味経営の模範となる姿勢といえる。ともあれ、つぶれず頑張れ銚子電鉄。

さのやの今川焼き@銚子

2021年04月10日 | 旅で出会った食メモ
飯沼観音の境内の裏手を下ったところに、「銚子名物」との看板が掲げられたビルがある。1階ではずらりと並ぶ鉄板で、ひっきりなしに焼かれる今川焼き。創業は明治40年の老舗で、参拝客の甘味から今では銚子市民のおやつとして親しまれている。店内には地元の方が続けてやってきては、10個単位で買っていく人気の品だ。

今川焼きにしては、ここのは拳のようにまん丸で、皮がカリッと仕上がっているのが独特。あんはつぶのあずきあんと白あんで、中いっぱいに詰まっていてかなり食べごたえがある。ひとつで腹一杯なのに、両方いただいたら一食分ぐらいのボリュームがある。家族経営っぽい店の雰囲気も良く、お姉さんの接客もていねいで、町に根付いた甘味処である。

銚子てくてくさんぽ8

2021年04月10日 | てくてくさんぽ・取材紀行
外川から銚子への帰りは銚子電鉄を利用した。ニュースでは経営危機がとりあげられ、それでいてユニークな回避商法も耳にするが、この日は結構な盛況で経営危機などどこ吹く風に見えた。犬吠埼とか外川とかの観光地の足でもあり、またマニア注目の鉄道でもあるので、経営環境的には恵まれているようにも見える。電車の車両は昔に京王線を走っていたやつのようで、かつての通学利用を思い出させる。

立地にしては車窓に海はほぼ見えず、キャベツ畑の中を行く田園列車という感じ。笠上黒生を過ぎると林の中へと入り、やや高台へと登ったところで一瞬、木々の間から利根川の河口らへんが見える程度である。仲ノ町駅では今では珍しい、タブレットの交換風景も見られた。車内は話題の女性車掌が行き来していて、駅に着く都度切符を売り回っているのは大変そうだ。今では珍しい硬券で、車内検札(といってもチラ見だけ)の後は持ち帰れるのも嬉しいサービスだ。

この鉄道、駅も注目で、外川駅はレトロな木造駅舎だったが、ほかは妙に欧風の駅舎が目立ち、犬吠駅はポルトガル、君ヶ浜駅は凱旋門、観音駅はスイス調で銚子駅はオランダの風車が。昔の駅らしい海鹿島とか笠上黒生とかが、かえってローカルさを感じられる。駅名がほぼネーミングライツ化され、高値をつけられるからか主の名称を売っているのがすごい。なので駅名標にはその企業のキャッチフレーズがでかでかと書かれ、「足腰元気健康法駅」とか訳がわからない。まあ地元の人は使い慣れているし、観光客は使う駅は決まっているしで、問題はないのかも知れないが。

また縁起路線での駅名いじりもやっていて、本銚子は「本調子」にかけて銚子からのきっぷを合格祈願に。笠上黒生駅は「髪毛黒生」と表記、毛髪縁起の駅名にしており、車内でも該当の体裁の方が反応していたから、まあ成功なのだろう。

銚子てくてくさんぽ7

2021年04月10日 | てくてくさんぽ・取材紀行
この先の外川の町は海へ向けて落ち込む斜面に位置しながら、碁盤目状に道が配された計画的な街並みが見られる。もとは17世紀半ばに、和歌山から黒潮に乗り移住してきた崎山治郎右衛門が街区を整備、紀州から人々を呼び寄せたのが始まりで、往時は「外川千軒大繁盛」と言われたほどの賑わいを見せたという。集落は港へ下る8つの坂道を軸にしており、それぞれ歴史的所以からついた名前がプレートに記され、道や壁面に嵌め込まれている。それぞれの坂と、それらを結ぶ路地を行き来しながら、港へと下るのが楽しい。

外川駅からの県道は一条通りへと繋がっており、そのまま少し下ってみる。斜面に合わせて街区は段々になっており、石垣などで土留めされた区画の中に家が建っている。昔ながらの家は重厚な瓦屋根をのせた木造の平家で、強い海風に負けないようどっしり重心が低い、どこか沖縄の民家のような印象を受ける。横の路地は坂道よりやや高くなっているため、入ると集落の見晴らしがよい。建物が低めなため、瓦屋根が連なる様がよくわかる。

ブロック塀や石垣に挟まれた路地を行き来して、一条通りから東の新浦通りへ出て戻り、西側の一心通りへ。かつては街の中心だったことから名がつき、さらに西の本浦通りはフォトスポットのプレートも配されているビューポイント。軒先に花が配された瓦屋根の古民家の前から降っていくと、石段を経て外川漁港の漁協支所のところへと出る。銚子の漁業の発祥といえる漁港で、水深が深く潮の流れが急だった利根川河口に現在の銚子漁港が整備されるまでは、外川漁港が銚子の漁業の中心だった歴史がある。

外川は太平洋に面し黒潮も近い好立地のため、かつてはイワシの水揚げで賑わったが、現在はキンメ漁が盛んだ。一本釣りによる「つりきんめ」は身の傷みがなく味がいいことから、銚子のブランド魚にもなっており、外川漁港にも40隻ほどの船団がある。漁は夜間のため、この時間は漁船が多数停泊して静かなたたずまい。付近にはその形から名がついた犬岩や千駒ケ岩があり、さらに東へいくと同じ漁師町の長崎町、岬の長崎鼻もあるが、犬吠埼から歩き通しで流石に足にきたので、ここでさんぽは終了にしましょう。