ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

旅で出会ったローカルごはん69…那須高原 『休暇村那須』の、高原野菜をふんだんに使った料理の数々

2006年11月27日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
 我が家ではここ数年、毎年夏か秋に恒例の家族旅行で那須高原に出かけている。今年は行き先が修禅寺となり、高原での避暑ではなく温泉リゾートにじっくりと滞在。野外バーベキューや温泉プールなど、いつもの高原レジャーとはまた違う旅を存分に楽しんだ。それが11月になって那須でに取材会が催されることになり、今年も那須高原へと訪れるチャンス到来。家族は置いて自分ひとりだけ、というので罰が当たったのか、天気はあいにく2日とも雨予想である。少々紅葉には遅いけれど、忙しかった夏の終わりから秋口のお疲れ様、も兼ねて、高原の温泉でのんびりするのもいいかもしれない。

 家族旅行の最は那須温泉街のやや下手にある那須御用邸… ではなく(笑)、そこに隣接するリゾートホテルが定宿なのだが、この日は那須温泉街を抜けてさらに登り、那須高原道路に入ってやや行ったところにある、休暇村那須にお世話になることになった。早めに到着して、会議をこなし地元の観光関連役所の方々のPRを聞いたりして、仕事はとりあえず終了。温泉で慌しくひとっ風呂浴びてから、引き続き地元との懇親会も兼ねた夕食となった。この日は「霜月御献立」と題した休暇村オリジナル料理で、珍味や小鉢に始まり水菓子まで何と15品に及ぶ豪華版だ。地元の役場の方の挨拶と乾杯を済ませたら、小鉢や前菜でまずは一献。名残茄子のゴマ豆腐鞍掛け、むかごの真じょ、柿の白和えなど、場所柄山の幸や野菜を使った料理が豊富で、序盤からビールが進んでいく。

 同席する役場や観光関連の業者の方と意見を交わしつつ、ひとしきりビールが進んだところで、卓の中ほどに配置された小鍋に火がつけられた。鍋といってもつゆは醤油でも味噌でもなく、真っ白なつゆ。何と、豆乳だ。栃木産の野菜を豆乳に浸して頂く、休暇村オリジナルの豆乳鍋です、と火をつけてくれたお姉さんから説明が入る。栃木産の野菜とは、どんなものなのか聞くと、「水菜にマイタケにエノキ、カブ、それに那須特産のネギ『白美人』です」。すぐに豆乳が煮立ってきたので、おすすめの野菜からどんどんと豆乳の中へと浸し、煮えたところでゴマダレにつけて口へ運ぶ。見た目からして少々甘めかな、と思ったら、これが野菜との相性が抜群。水菜はシャッキリ、キノコ類は香りが引き立ち、甘みがうまみをうまく包み込んでいる。意外に合うのがカブで、トロリと柔らかく煮えた上に豆乳の甘さが加わり、ホクホクとうれしい味だ。ハマグリやカニ、タコ、ホタテなど魚介はさっとくぐらした程度がちょうどいいよう。貝類はクラムチャウダーのようで、ちょっと洋風でもあるか。具を食べ終わり鍋が煮立つと、表面に薄い膜が張ってきた。豆乳の膜、つまり湯葉だ。できたてゴマダレに浸して頂くと、引き上げ湯葉のようでうれしいおまけである。

 豆乳鍋のほかにも、栃木和牛のたたきに焼酎と、栃木の味覚が卓の上には目白押しだ。栃木の牛肉といえば、スーパーなどで「那須牛」の銘柄を見かけるが、那須牛とは大田原にある5軒ほどの畜産家が肥育した牛のことを指す。それ以外の県内産和牛は「栃木和牛」と呼ばれており、那須産の和牛が那須牛と呼ばれないのも、何だか変な話だ。その「栃木和牛」のたたきはやや淡い味で、脂分も控えめであっさりした食感。これで那賀川町・白相酒造の麦焼酎「夢草子」をグイッとやると、後味がすっきりと心地良い。栃木産の焼酎とは初めて飲んだけれど、麦焼酎でビシッとした辛味が鮮烈、そのくせ後からほのかな甘みが漂ってくるのが実に独特である。

 那須高原ならではの食について、周囲とあれこれ話していると、隣席の方が色々詳しく説明してくれる。話によると那須では、地産地消をテーマとした「なすとらん倶楽部」という組織が結成され、食と観光の連携や地域活性化にとりくんでいるという。この方、なすとらん倶楽部の事務局をやっているそうで、道理で詳しいわけだ。組織が考案した那須ならではの料理も教えてくれ、その名も「な・すーぷ」。地元の飲食店や宿泊施設で、何か共通の料理を提供しようと、那須町の農産物を使ってひと工夫を加え、かつ安全であることを売りにした、那須でしか頂けない料理とのこと。現在は町内の約30ヵ所の飲食店や宿泊施設で頂けるそうで、今後も増やしていく方針という。高原に位置するため野菜がおいしい、まさに那須ならではの料理だろう。スープもいいけれど、野菜がおいしいのであればさらにシチューとかポトフ、ロールキャベツなんてので町おこしというのも、全国どこにもない那須オリジナルで楽しいかも、と話がどんどん盛り上がる。ほかにも「おいしい那須ごよみ」と題し、お勧めの素材をイラストで紹介したカレンダーもあるという。すごいのは、365日毎日違う食材が紹介されていることで、さっき豆乳鍋で頂いた白美人も載っているそう。追って送って頂く事になり、日々眺めるのが楽しそうな、お腹が空きそうな? 暦である。

 そして野菜料理を売りにしているのは、この休暇村那須もまた同じ。この日は宴席用に用意された料理以外にも、一般客用のバイキングコーナーの料理も頂けるということで、足を運ぶと確かに野菜の料理が品数豊富だ。いずれも地元農家の生産した野菜を使用しており、サラダやフルーツ、ジュース、漬物など、かなり充実した内容。それもそのはずで、この休暇村には何と「野菜ソムリエ」なる資格を持った職員がいるのだ。正しくは日本ベジタブル&フルーツマイスター協会認定の、ジュニアベジタブル&フルーツマイスターという肩書きで、食材のおいしい食べ方から由縁、性質まで、尋ねれば何でも教えてもらえる。那須の野菜はなぜおいしいのか聞いてみたところ、那須は寒暖の差が激しく野菜栽培に向いていて、葉物野菜や芋類はしっかり甘みがでるし、えぐさがなく自然な味わいに仕上がるのだという。確かに、コーナーでちょっとつまんだアスパラガスは筋がまったくなく柔らか、キャベツやレタスも渋さがなく素直に甘く、どれも爽やかな後味。それにしても、おいしい野菜を存分に頂けた上、様々な知識も身につくとは、さすが野菜の里・那須高原ならではである。

 その野菜コーナーの一角で目を引くのは、巨大なすり鉢に入ったとろろ汁だ。傍らには麦飯が入った炊飯器に、付け合せのワサビとムカゴの梅肉漬けの鉢が並び、酒と料理の締めくくりにどうぞ、と誘っているようである。一般にトロロに使う芋は、ヤマトイモやナガイモ、ツクネイモなどだが、ここで使っているのはれっきとした自然薯、正真正銘のとろろ汁なのだ。さすがに天然物は値が高い上、生育に10年かかる貴重な品なので、ここでは地元農家で栽培してもらった、1年物の芋を使っているのだという。自然薯は個体差が大きく、10本あれば10本とも粘りや風味が違い、なかなか決まったレシピ通りに味をまとめるのが難しい、と休暇村のレストラン担当の方が話す。ちなみに自然薯にも旬があり、保存に10度を保たないといけないのだがこれがなかなか難しく、これから冬の時期がもっともおいしいのだとか 。

 バイキングコーナーで話し込んでいるうちに、懇親会のほうは宴たけなわとなったようだ。あわてて締めくくりに、とろろ汁を頂くことに。茶碗に麦飯を軽めに、そしてとろろをたっぷり多めに、お茶漬けのようによそう。薬味にはネギとワサビにノリ、そしてムカゴの梅肉漬けをゴロゴロと載せて自席へと戻る。サラサラとかき込むと、芋の粘りは思ったよりゆるくさらりとした感じ。土の香りが強くドッシリと食べ応えがあり、これはパワーが充填されそうだ。ムカゴのほのかな酸味がいいアクセントになっていて、那須の豊穣な大地の恵みを満喫できた気分である。それにしても、15品の会席料理をすっかり平らげ、バイキングコーナーにも出張して、さらに地元の日本酒や焼酎もかなり頂いたのに、「2次会はこちらの会場で」の誘いに何の戸惑いもなく足が向いてしまう。自分の鯨飲暴食はとりあえず棚に上げ、那須の野菜の質のよさ、体へのよさをたたえて締めておこうか? (2006年11月19日食記)

魚どころの特上ごはん50…愛媛・八幡浜 『谷本蒲鉾店』の、じゃこ天と鯛ちくわ

2006年11月25日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
 早朝から四国屈指の水揚げを誇る、愛媛県の八幡浜漁港を歩き回ったおかげで、瀬戸内や宇和海、高知沖の太平洋まで、様々な魚を目にすることができた。無事に散策を終え、次の目的地は四万十川に面した中村だ。八幡浜駅へと引き返す途中、車窓にちらりと見えた店がちょっと気になる。駅前のバス停に到着して、時刻表を見ると次の特急まであと15分ほど時間があるよう。急ぎ足で引き返せば、さっき見かけた「蒲鉾」の店で買い物をする時間ぐらいはありそうだ。

 蒲鉾は宇和海で水揚げされる雑魚を材料にした、宇和島をはじめとする南予地方の名物である。八幡浜漁港でも蒲鉾の材料となるエソ類が豊富に水揚げされ、漁種別水揚げ量のベスト5に入るほど。この鮮度抜群の白身は弾力がよく粘りも強いため、蒲鉾の原料にはもってこいなのだ。旅先のため、八幡浜漁港に隣接する直売所「どーや市場」では鮮魚は買えなかったけれど、練り製品なら列車の旅のおやつにいいかも知れない。漁港の周辺をはじめ、駅まで戻るバスの車窓から見かけたいくつかの蒲鉾店の中から、駅からちょっと引き返したところにある『谷本蒲鉾店』を訪れてみる。

 小ぢんまりした店内には、看板商品である「びり鯛蒲鉾」やちくわ、天ぷらなどをはじめ、様々な種類の練り製品がずらりと並んでいて壮観だ。いずれも八幡浜漁港に水揚げされたエソ、グチ、ホタルジャコ(ハランボ)といった小魚、いわゆる「雑魚」を素材としたものばかり。さらに冷凍物は使わず生魚のすり身、塩も天然塩を使うなど、素材にこだわった練り製品は、土産や贈答用など地元の人の評価も高いという。そんな中、この地方ならではの練り製品が「じゃこ天」。前述の小魚ほかヒメジ、ヒイラギなど様々な小魚を骨、皮ごとすり身にして、大豆油、菜種油といった植物油であげた揚げ蒲鉾のことだ。赤身のヒメジをベースにした普通のじゃこ天をはじめ、ハランボを使ったハランボじゃこ天、さらにイワシやグチなど色々な雑魚を使った昔造りじゃこ天など、使っている魚により味も見た目の色も微妙に違うのが面白い。

 あれこれ物色してから選びたいけれど、列車の時間が迫っていることもあり、結局オーソドックスなハランボじゃこ天2枚に加え、エソを使った手作りちくわを購入。急ぎ足で駅へと戻り、宇和島行きの特急列車へと飛び乗った。市場散策お疲れ様、と、車内販売でビールを買ってじゃこ天を肴に頂くつもりが、早朝から精力的に歩き回ったおかげで、列車に揺られているうちについウトウト。気が付くと宇和島駅の手前で、あわてて下車して乗り換えた中村方面へと向かう列車は、何とオープンカーのトロッコ列車だ。清流・四万十川の展望が楽しめる「四万十トロッコ号」で、宇和島を後にした列車はしばらく田園の中をコトコトとのどかに走っていく。

 途中の江川崎あたりまで行くと、車窓に四万十川の眺めが楽しめるのだが、吹き抜ける風に適度な揺れと、トロッコ列車の旅は空腹を誘ってくれる。小腹がすいたので川の風景が待ちきれず、田園風景を眺めつつじゃこ天の袋を開けてひと口。すり身の天ぷらなのにシャリシャリした食感なのは、皮や骨も一緒にたたいてあげているからだろうか。市販の蒲鉾に比べて、魚の味がしっかり凝縮しているのはさすがで、混ぜ物なしのストレートな魚の旨味、雑魚ならではの味の深みが、魚好きにはたまらない味わいだ。あいにくビールを買いそびれてしまったけれど、これだけ食べても充分満足、何とも贅沢なトロッコ列車の旅のおやつである。

 じゃこ天を食べ終え、ちくわもまるかじりした頃に、列車はようやく四万十川の河岸を走り出した。今日宿泊する中村は、この四万十川の河口の町。岡山・日生の瀬戸内の小魚に、四国屈指の規模である愛媛・八幡浜の魚介を味わい、次は四万十川の川魚たちが待っている。車窓に流れる清流を眺めながら、気持ちは早くも天然物のウナギにアユ、川エビやゴリへと飛んでいってしまっているようである。(2006年8月7日食記)

文化放送「吉田照美のやる気MANMAN」午後2時の興味津々 出演記その2

2006年11月24日 | テレビ・ラジオ出演の番組情報

 ラジオ放送の最後でブログの紹介をしたおかげで、昨日からアクセスが今までの5倍ぐらいに激増! やっぱり電波の影響力って、すごいもんですね。

 という訳で、放送を聞いてアクセスして頂いた方、こんにちは。ラジオや本で紹介している「ローカルごはん」を始め、もうひとつのテーマである漁港や市場巡りで見つけた「お魚ごはん」、自身の日頃の行動範囲である東京や横浜の「オモシロごはん」など、週3のペースで綴っています。毎日…とはお願いしませんが(笑)、お腹が空いたとき、旅先でうまいもんがないか知りたいときなどに、手軽にアクセスしてみてください。

…で、昨日と今日はイレギュラーで、「吉田照美のやる気MANMAN」午後2時の興味津々の模様を綴っています。今週末は那須高原で見つけた高原野菜料理や、本格焼酎の試飲会、ディズニーランドのレストランバイキングなどから、綴っていく予定です。では昨日の前半戦からの続きを 


※ローカルごはんトークは、根室のエスカロップに始まり、長野・伊那の馬肉料理と続き中盤へ。次が勝負どころの須崎・鍋焼きラーメン。「仕込みネタその2」の効果は?


では、続いてのローカルごはんは、こちらです。

   ~~~~~~ 汽 笛 ~~~~~~

<小俣>高知県・須崎の鍋焼きラーメン

<照美>これは、どういうラーメンなんですか?

<上村>もう、名前の通りそのまま(笑)。鍋焼きうどんのラーメン版で、土鍋でガンガン炊き込んだラーメンのことです。

※今までの2つのローカルごはんに比べて想像しやすいのか、お二人ともすぐに納得、の表情。

<照美>須崎の鍋焼きラーメンは、店によって入っている具などは違うのですか?

<上村>ローカルごはんって、場所によっては結構細かい定義とか決まっていることもあるんです。古くからのスタイルを守るとか、町おこしに利用する場合、一定のクォリティも必要ですし。で、鍋焼きラーメンの定義は、スープは親鳥のトリガラからとった、醤油ベースで濃い目のあっさりスープ。具は親鳥の肉に、ネギ、生卵、ちくわ。あと酸っぱい古漬けが小皿で付いているのがポイントで、かじると鳥ベースの濃い目の味に飽きた味覚が、さっぱりと変わっていいですね。

<照美>鍋焼きラーメンのルーツは、どこにあるのでしょうか?

<上村>この鍋焼きラーメン、そもそもは戦後すぐに開業した店の看板メニューだったんです。戦後の食材不足の中、鳥屋さんから分けてもらった肉やトリガラをベースに、定義にあったネギやちくわといった須崎で手に入りやすい食材を駆使して作っていました。そしてポイントである「鍋焼き仕立て」は、町にいっぱいあった木材の加工場で出たおがくずを燃料にスープを炊いてだしたところに由縁があります。

<照美>これって、ガンガン煮込んでかなり熱いのですか?

<上村>中は泡を吹いているぐらいグツグツやっているし、土鍋は保温力があるから、食べ終わるまで熱々。私は食べ終わるまでに、3回ほど口の中をやけどしてしまいました。
熱いといえば、このラーメンを食べに行ったのは6月の終わりごろでした。梅雨の谷間の晴れ間はいいんですが、土佐湾に面した港町だけに湿度のすごいこと。蒸し風呂というか、町そのものが鍋焼きラーメン状態でした(笑)。

※「町が鍋焼きラーメン」にお二人ともけっこう笑い。ウケてよかった! でも、CMなしのぶっ続けのおかげで、そろそろ私がばててきた。手持ちのメモを追うのもワンテンポ遅れ気味に。起死回生と、ここで「仕込みネタその2」を披露!

<照美>何でも、須崎には鍋焼き関係の名物がまだまだあるそうですが?

<上村>そうなんです。実はここで、おふたりにお土産を持ってきました。

※ ここで持参した、本に紹介の鍋焼きプリンとチーズタルトを出す。見た目がそのまま鍋焼きラーメンのプリンとタルトに、お二人のびっくり、感心のリアクションで番組中いちばんの盛り上がりに。前日にクール便で取り寄せ、自宅を出るギリギリに到着とハラハラしたが、持ってきて大成功! 照美さんより「お店からいくらかもらってんじゃないの?」とツッコミも…。

※これで調子に乗り、ふたたびこちらからクイズを出題。

<上村>これ、何と、鍋焼きラーメンを模したプリンに、タルトなんです。ちゃんと鳥のスープに黄色い麺、生卵にネギ、ちくわまでのっているでしょう。さて、ここでまたクイズです! それぞれ、何で出来ていると思いますか? 

<照美・小俣>茶色いスープはカラメルゼリー、ラーメンを模しているから、一見しょっぱそうだから不思議だね。麺はモンブランみたい。生卵は白身が生クリーム、黄身は果物…桃? ちくわが傑作、シュークリームのシュー皮ですか?

<照美>熱々の鍋焼きラーメンを食べて、デザートに鍋焼きプリンを食べてって、なかなかいいね。うまいんで、食べながらお話を続けていいですか(笑)

※感心し、あれこれ考えながらお二人に食べて頂く。盛り上げて頂き、ありがとうございました。 自身はもうバテバテだけど、紹介するローカルごはんはあとひとつ。気合いを入れ直して。

<照美>それではプリンを頂きながら(笑)、では、今日、最後のローカルごはんは、こちらです。

   ~~~~~~ 汽 笛 ~~~~~~

<小俣>東京・築地場外市場の「合いがけ」

<照美>築地市場のローカルごはん、とは、どんなものなんでしょうか?

<上村>私、ローカルごはんの本を書く前は、全国の漁港や市場を巡っていました。その取材で築地にしょっちゅう訪れていた時期があります。築地市場もいろいろな食材が集まる市場で、近頃は買出しツアーなど観光客も増え、場外市場には寿司屋や海鮮丼をはじめ数多くの食事処が集中、まさに「食の一大テーマパーク」といった感じです。
その一方で、早朝から働く市場の人たち向けの食事処も多い。寿司や海鮮丼もいいけれど、そんな市場の労働者御用達の店こそ、築地の「ローカルごはん」ですね。

※照美さんは場外の店は旨いところが結構あるね、小俣さんは築地は文化放送からも近いわね、と、締めくくりは東京のネタということで、とっつきやすそう。

<照美>ところで「合いがけ」というのは、一体どんな食べ物なの?

<上村>皿や丼にてんこ盛りのご飯の上に、2種類の具を載せた料理のことをこう呼びます。基本は牛丼とカレーで、築地市場のキング・オブ・スタミナ料理。

<照美>これを最初に始めた店というのは分かっているのですか?

<上村>これも一説ですが(笑)、新大橋通り沿いの商店街にある「大森」という店が発祥といわれています。今では築地市場の飲食店で、出している店が結構ありますよ。

<照美>店に、「今からあなたのスタミナを10時間守ります」と書かれた張り紙があるらしいけど、すごいねえ。

<上村>ホントなんですよ。お昼に食べたらその日1日どころか、次の日だってお腹がもっちゃうぐらいのボリューム。まさに築地で働く人向けのスタミナ料理ですね。

※「次の日だってお腹がもっちゃう」→そんな訳ありません! つい口から出てしまいましたが… そろそろ自身はいっぱいいっぱいか?

<照美>辛口のポークカレーが半分、あと焼き豆腐とタマネギ入りの牛丼が半分、ハーフアンドハーフといった感じですかね。

<上村>そうですね。面白いのはカレー用には福神漬け、牛丼用には紅しょうがと、薬味が両方用意されているのがなかなか親切です

※薬味が両方用意、で軽くウケたところでいよいよ、まとめに向かう。

<照美>で、味はどうでしたか?

<上村>カレーはピリッと辛口、牛丼のご飯には甘辛いつゆがしっかり染みていて、真ん中から甘いのと辛いのと対照的な味わいです。そしてポークカレーの豚肉に、牛丼の牛肉、そして焼き豆腐も「畑の肉」である大豆が材料と、これだけ肉を各種食べればそりゃスタミナの出ること。築地は都心にありながら、ちょっとした旅気分も味わえるし、「東京のローカルごはん」を手軽に楽しむにはいいですよ。

<照美>初めて行った土地で、おいしいローカルごはんを探すコツは何かあるのでしょうか?

<上村>探すコツ、というよりも、旅先で出会う食を「楽しむ」気持ちが大事でしょうか? 地元の旨い料理に巡り会えるに越したことはないけれど、例えばたまたま入った店にガンコそうな親父が居て、おばちゃんがお冷やをドン、なんてやられると、「自分は一体、これからどんな目に遭うんだろう」とワクワクしちゃいます(笑)。そんな店で、意外に旨い物が見つかったりするのもまた、面白い。みなさんも、心に余裕を持って、ローカルごはんの旅を楽しんでみてはいかがでしょうか?

<小俣>今日のゲスト、上村一真さんのご本「旅で出会ったローカルごはん」は、生活情報センターから定価1500円プラス税で発売中です。
また、上村さんのブログでは、身近なお店から日本の隅々まで、ローカルごはんをはじめあちこちで見つけた旨いものを日々紹介しています。ひらがなで「まぜまぜごはん」で、ぜひアクセスしてみてください。

<照美>まぜまぜごはん? 面白い名前のブログだね。

<上村>はい。(声を大にして)「ウマさ特盛り! まぜまぜごはん」です。宣伝しちゃいましたね(笑)。

※公共の電波での、ブログPRに成功。アクセス増に期待です。

<照美>午後2時の興味津々、今日は上村一真さんに、お話を伺いました。ありがとうございました。

<上村>ありがとうございました。ごちそうさまでした。

…締めのひとこと、なんだそりゃ? でも食トークだからまあいいか。そんな訳で、緊張しまくると思ったら、結構楽しく過ごした、あっという間の20分でした。照美さん、小俣さん、本当にありがとうございました。


文化放送「吉田照美のやる気MANMAN」午後2時の興味津々・出演記

2006年11月23日 | テレビ・ラジオ出演の番組情報

 …という訳で、本日、文化放送「吉田照美のやる気MANMAN」に出演。14時25分からの「午後2時の興味津々」のコーナーで、ローカルごはんの話をたっぷりとしてきました。吉田照美さん、小俣さんにしっかりフォロー(?)していただきつつ、何とか無事終了。とりあげた4つのローカルごはんにまつわる面白トークを、数回に分けて紹介します。

実際には、以下よりもっともっとツッコミもあれば、私も噛んだりかぶったりしてますけど、自身も出演後の興奮冷めやらぬもので(笑)、ご容赦下さい。 


●午後2時の興味津々●

<小俣>今日は北は北海道から南は沖縄まで、その土地ならではのおいしいご飯のお話を伺います。ゲストを紹介しましょう。生活情報センターから「旅で出会ったローカルごはん」を出された、食紀行ライターの上村一真(かみむらかずま)さんです。

※ここで上村、「坊ちゃん刈り」だの「瞳パッチリ」など、照美さんよりさっそくツッコマれる…

<照美>まず伺いますが、ローカルごはんというのは何なんでしょうか?

<上村>「ローカルごはん」という名称は、自分でそう呼んでいるだけなんですけれど、ひと言で言えば「その土地で生まれて伝えられ、今でもしっかり根付いているごはん」です。「といっても堅苦しい定義なんかなく、おらが町のご自慢のご飯」と、地元の人が胸張って言える様なものならなんでもいいんです。

※ ここで「仕込みネタその1」。あらかじめ調べておいた、お二人の地元ローカルごはんを披露、盛り上げ作戦!

吉田さんの出身の葛飾なら、柴又帝釈天参道のだんご、またタレをつけない小岩の名物餃子があるらしいですね。小俣さんのご出身の山梨県都留市だと、キャベツたっぷり、麺にすごく腰がある吉田うどんが有名です。そんなのも全部「ローカルごはん」の仲間だと思いますね。

※身近なネタを出したのが効果アリ? 一気に場はフレンドリーなムードへ

<照美>ローカルごはんを味わう旅を、上村さんは進めていらっしゃるそうですが?

<上村>東京って、日本中というか世界中のうまいものが何でもそろって食べられるでしょう。でも、「その土地のごはんは、その土地で食べるからこそうまい」。寒い土地の料理は鼻水すすりながら、南のほうの料理は汗だくでたべるからこそおいしい。そんな「この土地の、このご飯を食べにいく」というのを目的に、はるばる出かけるのもいいものですよ。

<照美>ではさっそく、上村さんおすすめのローカルごはんを紹介していただきます。まずはこちらです。

   ~~~~~~ 汽 笛 ~~~~~~  ※汽笛のSE。音は小俣さんこだわりとか?

<小俣>北海道・根室のエスカロップ

※ 仕込みネタ1の効果に気をよくして、ここで思い切って逆に質問!

<上村>いきなり、お二人にきいてみましょう。エスカロップって、名前だけ聞いてどんな食べ物だと思いますか?

<照美・小俣> あれこれ考え中。 ブドウとかフルーツ? ロシアが近いからロシア料理風?

※私の「フリ」を受けて、いろいろ言って頂きました。感謝です。

<上村>答えは、パッと見は「ピラフのトンカツのせ」。バターで炒めたライスの上にカツをのせて、その上にデミグラスソースをかけた洋風の料理なんです。地元では短く縮めて「エスカ」と呼ばれています。

<照美>何で「エスカロップ」なんていう名前なんですか?

<上村>ローカルごはんの成り立ちとかネーミングって、結構諸説あるんですよね…。

※「では上村さんの説を披露を!」と照美さんに振られ… ボケられず(泣)

わ、私が唱えた説ではなくて(慌)、フランス語で薄切り肉「エスカローペ」が語源とされています。根室の市内のレストランや喫茶店では大抵出してるけど、根室をちょっと離れるとほとんど見かけなくなる。根室限定といってもいいローカルごはんでしょうね。

<照美>一見、北海道とは縁のなさそうな料理ですが、どうして根室に根付いたんでしょうか?

<上村>この料理、洋食屋らしい銀色の楕円の皿に、大盛りのバターライスにトンカツがドン、さらにポテトサラダもたっぷりと、もう相当なボリューム。根室は古くから漁業の町であり、港湾で働く人も多いなど、いわゆる肉体労働者が多かったから、このボリュームメニューが人気だったようです。九州の長崎に、同じような洋食盛り合わせメニューで「トルコライス」というのがありますね。これも造船が盛んだった長崎で、労働者のスタミナ食として人気だったそうですよ。

<照美>できた当時から、このスタイルなの?

<上村>上にのっているのはもとはトンカツではなく、ビーフカツだったらしいです。高価なために豚肉に変えたそうですが。そしてライスは、以前はバターライスではなくってケチャップライス。店によっては今もこれを出していて、地元では「白エスカ」「赤エスカ」と呼んで区別しています。

<照美>で、味のほうは?

<上村>ひと言で言えば、「大人のお子様ランチ」。自分たち世代が子供の頃に大好きだったおかずが山盛りで、懐かしいようなうれしくなるような味ですね。でもビール頼んじゃうのがおとな(笑)。

※オープニングと、序盤を何とか無事に切り抜け、ちょっと落ち着いてきた。次のローカルごはんは長野県伊那の馬肉料理。馬のモツ煮込みの話で、うんちくはうまく話せたが、「予習」が足りなくて面白いことはあまり言えず。そして次が勝負どころの須崎・鍋焼きラーメン。「仕込みネタその2」の効果は… ではまた明日。


お知らせ…文化放送「吉田照美のやる気MANMAN」に出演します!

2006年11月21日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
 実はこのたび、先日刊行した「旅で出会ったローカルごはん」の内容のトークで、ラジオに出演することになりました。

・11/23の文化放送「吉田照美のやる気MANMAN」
 14時20分頃からの「午後2時の興味津々」のコーナー

本の内容について、パーソナリティの吉田照美さんと、小俣アナと、全国のローカルごはんの中から面白そうなものをピックアップして紹介します。あがるわ、かむわで大変でしょうが、よろしければ話の種に聞いてやってください(もう今から緊張してます)。