ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカルベジタでヘルシーごはんbyFb…岩国・錦川屋形船の、摘み草料理

2012年10月31日 | ◆ローカルベジタでヘルシーごはん

 吉川氏の城下町である岩国は、瀬戸内に面していながら、山里の食材が充実している。錦川上流の錦町特産のコンニャク、在来種が起源の岩国レンコンなど。レンコンは古くから万能薬として重宝され、穴がひとつ多く断面が殿様の芙蓉の紋に似ているとも。

 岩国・錦帯橋付近を遊覧する屋形船では、レンコンの三杯酢や辛子仕立てを味わったが、これらの料理は藩主三代の養生料理とのことで、レンコンに続き摘み草の天ぷらをいただいた。竹の器にはナス、オクラをはじめ、様々な葉や実、花までが盛られ、まさに秋の野をそのまま運んできたようだ。

 大ぶりの葉は一枚で手早く衣をつけ、小さな葉や花はまとめてかき揚げ風に。係の方によると、コシアブラやヨモギを先に食べるともたれないそうだが、あいにく季節外れなのでなじみのある野菜から。続いて野草かき揚げ風を、青レモンを軽く絞り、藻塩でさっくりいただく。

 強壮効果のあるノビル、呼吸循環にいいツユクサ、疲労回復のキンモクセイ、風邪の予防のユキノシタ。野の力強い香気のかき揚げをかじるごとに、野草の生命力を取り込んでいるかのよう。青レモンの軽い酸味と、藻塩のまろやかさのおかげもあり、青臭さや渋みは感じられず食べやすい。仕上げにパツパツのクコの実をつまめば、体の毒素が除去されたような、リフレッシュした気分である。

 使った野草は藩の薬草園を復元し、そこで摘んだものという。それを船上で天ぷらにするとは、殿様もうらやむようなご趣向か。締めにモミジの葉の天ぷらをいただけば、船から上がったら殿様の城山の紅葉も愛でたくなるところか。


ローカル魚でとれたてごはんbyFb…岩国・錦帯橋『錦川遊覧船』の、宇佐川のアユ

2012年10月30日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 日本一のアユの産地、と聞いて、日本のどこの川が思いつくだろうか。高知の四万十川、岐阜の長良川、伊豆の狩野川など、名だたる産地を抑え、日本一になったのは山口県の宇佐川のアユである。高知で開催される「清流めぐり利き鮎会」で、第一回目のグランプリを獲得。先月開催の第15回でも受賞しており、かなりの実力派のアユといえる。

 宇佐川は岩国市の錦町を流れる川で、周辺屈指の清流として名高い。ダムがないため水が澄み、餌になるコケの生育もいいため、大型でよい型のアユが育つという。会で審査された焼きアユは姿よし香りよし味よしで、人工建造物のない自然のままの川だからこそ育めた、昔のまま変わらない味の良さなのだろう。

 その宇佐川の下流・錦川の、錦帯橋付近を屋形船で遊覧した。船上でいただいた弁当は、ご当地岩国の食材が満載。瀬戸内の鯛のつくりに錦町特産のコンニャク刺し、岩国レンコンとコノシロの三杯酢和えなど、山海の素材がうまく組み合わされている。岩国寿司は岩国城内で食べられていた郷土寿司で、レンコンなど地野菜に瀬戸内のアナゴをのせ押したもの。これも山海の幸オールインワンのご当地寿司である。

 そして宇佐川のアユは、子持ちアユの半身を甘露煮にしたもの。半身といっても身が分厚く、卵がパンパンで断面がまん丸いほどだ。 頭はよく煮えてホロホロ、大粒の卵がプツプツとコクがあり、しっかり効いた甘辛い味付けに、身の瑞々しさが負けていない。たっぷりのショウガを敷き、8時間もじっくり煮るのがご当地流で、地酒「五橋」の甘さが相乗効果をなし、竹の盃の芳香もあり止まらない。

 五橋は岩盤を流れてきた錦川の伏流水で仕込んだ酒だけに、同じ川で育ったアユとの相性がいいのも道理か。日本一のアユに、日本三大名橋ゆかりの名の酒で、清流に酔う岩国の旅路である。


ローカル魚でとれたてごはんbyFb…島根・大根島『由志園』の、ベニズワイガニ茶漬け

2012年10月29日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 山陰を旅行していて温泉宿に泊まると、夕食の膳にはほぼ確実に、ズワイガニのカニ足のボイルが並ぶ。さすがは超ブランドローカル魚介・松葉ガニの本場、と言いたいところだが、近海地物の松葉ガニは一杯で軽く3万円近くする上、解禁は11月に入ってから。なら9月の1泊1万5000円クラスの温泉宿で出るカニの素性は…。

 この手の詮索は野暮なので控えるけれど、その一方で最近の山陰ではこの時期、旬のベニズワイガニの方を売りにする動きが出てきている。大きさは六掛け程度で値段はゼロひとつ少なく、身肉に水分が多めなことで、松葉ガニより格下に見られがちだった。それがかえって、瑞々しさと甘い食味、手頃な値段で、別物としての評価が高まっているという。

 松江から境港に向かう途中、手前の中海に浮かぶ大根島の「由志園」でいただいたのは、ベニズワイガニの茶漬けだ。ベニズワイガニのほぐし身と各種薬味を、好みで茶碗めしの上にのせ、だし汁をかけまわしていただくもの。軽くゆでたほぐし身に、カニの身がついた甲羅をあぶってとったダシをかけると、甘みが膨らみカニ独特の香ばしさが際立つ。薬味の中でも、寒天で固めたカニ味噌が味の秘訣。ダシをかけるとトロリと溶け、カニの風味がよりふくらむこと。

 境港は今や、水木しげるゆかりの妖怪の町として全国区だが、その前はベニズワイガニの水揚げ屈指の漁港で通っていた。この数年、水揚げ量は日本一で、解禁は9月だから今はまさに走りの時期。そのシンプルさから境港の漁師料理かと思いきや、この店が考案したオリジナルとか。

 地元ならではのベニズワイガニ料理が増え、庶民派なローカル魚介として定着すれば、時期外れや予算不足で松葉ガニに手が届かない旅行者も、充分満足できるはず。件の温泉宿も「ともかくズワイガニ」より、宿泊費相応で旬の地物ガニでいいと思うのだが。


町で見つけたオモシロごはんbyFb…横浜・港南台『カウベル』の、秋限定のピッツァ&パスタなど

2012年10月28日 | ◆町で見つけたオモシロごはん

 昼に入ったミスドのハロウィンムードに触発され、夕食は我が家御用達のカジュアルイタリアン、港南台「カウベル」にて、秋メニューづくしを楽しんだ。ピッツァとパスタそれぞれ、3種ずつの秋限定メニューが用意されていて、マイタケと明太子のピッツァと、キノコとカボチャの白みそ仕立てフェットチーネを注文。

 ピッツァは白マイタケとセロリの鮮烈な香味が食欲をそそり、トマトソースがない分軽く食べやすい。フェットチーネは甘い白味噌にカボチャ、さらに幅広パスタとくれば、食感はまさに山梨のほうとう。ほかにも秋ナスやサーモンを素材にしたのが揃い、食欲の秋なじみの食材のせいか、秋のイタリアンはどこか和テイストな感じがする。

 秋メニューの写真は撮り忘れたので、画像は店自慢の宮崎県産牛の炭火焼ステーキで。450グラムのサーロインを取り分けて食べるスタイルで、レアで出されたのを添えてある焼け石で、好みの加減に仕上げていただける。豪快な厚切りだが、脂がきつくなく肉汁もほどほどなので、胃にこたえずガッチリ肉食できるのがありがたい。

 ほかのみんなは、ドライイチジクやフランス産マロンクリームを使ったドルチェで締め、満腹した自分は赤ワインをおかわりして合わせた。思えばいつの間にか、冷えたビールよりワインを傾けたくなるような、涼しい夜長になっている。過ごしやすく食も酒も楽しめるし、四季はなくていいのでずっとこのままで、としみじみ感じる、秋の連休の一日かな。


町で見つけたオモシロごはんbyFb…銀座一丁目 『香味徳』の、魚介牛骨つけ麺

2012年10月27日 | ◆町で見つけたオモシロごはん

 先日訪れた羽合温泉は、アルカリの泉質から「美人の湯」の愛称がつく。鳥取砂丘特産の砂丘らっきょうの中には、その白い見た目から「美人らっきょう」とのブランドがある。一説では、日本五大美人の地に挙げられており、鳥取は何かと美人に縁が強いらしい。

 その羽合温泉の湯上がりに、軽食コーナーで「鳥取牛骨ラーメン」の文字に惹かれた。日本では珍しい牛骨スープは境港や米子が発祥で、安価で入手しやすい牛骨を用いたのがルーツとある。たっぷりのコラーゲン入りというから、入浴後に食べればお肌が絶好調になること請け合いかも。

 この日は食べられなかったものの、銀座一丁目に「香味徳」が出店していて、帰京後に訪れてみた。県内に100軒ほど、倉吉市街にも数十軒が牛骨ラーメンを出す中、ここは倉吉で創業60年の老舗。その牛骨ラーメンを食べるつもりだったが、暑さもあって魚介牛骨つけ麺を注文した。

 牛骨からとったスープは、脂分が少なめで澄んでおり、これに薄口醤油とスパイスを合わせた、さっぱり味が身上。スープは牛骨のみストレートのほか、豚骨などとのダブルスープの店もあり、このつけ麺も香り高い魚介ダシがアクセントになっている。普通の牛骨ラーメンは細めの縮れ玉子麺だが、つけ麺はやや太麺。魚介と醤油のパンチが太さにちょうどよく、暑さに負けず食が進むのもありがたい。

 ところで本場では、牛骨ラーメンとミニ丼をセットで出す店が多いらしい。この店もチャーシュー丼や明太丼のセットがあり、卓上のキムチがご飯にピッタリ。自家製の本格派だけに香りは強く、コラーゲン摂取の美肌効果が吐息でチャラにならないよう、美人の方?は取り過ぎにご注意を…。