ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

一献一品出合い酒@館山

2014年07月31日 | ◆一献一品出合い酒
「休暇村館山」にて、総乃寒菊×キンメダイ煮付け。当地の地物で八品が揃う会席にて主菜が並び始めたなら、引き締まった地酒を尋ね合わせての、このコンビが似合う。

先付けから始まりつくりに入り、導入の盛り上がりに期待が高まっていく。四の品で主を張るは、今朝方水揚げを眺めた鮮やかなヤツだ。醤油に砂糖をしっかり効かせた、舌にごってりまとわるような甘辛さ。それが脂ノリノリの分厚い白身の、肥えた旨さをまめやかに引き出す。それをしっかりサポートすべく、品揃えから選ぶは一番辛い成田の酒。甘さに阿らぬ鋭さは、己の姿をたがえずに魚旨さを引き立てる。忠なる味わいの肴に信の趣の酒、八玉の犬士のごとき躍動の一期一会。

主役の皿を堪能したかと思いきや、五の品六の品とさらなる主菜が供されゆく様相。義なる慈しみの味か、智たる賢な旨さなのか、品に重なる玉の由縁を浮かべながらすすむ、里見ゆかりの地の宴かな。一献一品の小さな酒宴、南総にて天下泰平なり。

一献一品出合い酒@横浜

2014年07月29日 | ◆一献一品出合い酒
中華街の関帝廟通りにある「秀味苑」にて、青島啤酒×皮蛋豆腐。本場仕込みの台湾料理の店で飲むなら、台北で何度も試した定番とりあえずの、このコンビが似合う。

山手の山坂を登って下って、大汗かいたハマ散歩の後は、本通りから外れた小さな店へ。観光客の姿なき普段使い感が、ローカル者が店を選ぶこだわりだ。中華街で馴染みのグリーンボトルが、しっとり水滴をまとって登場。喉で感じる軽快な駆け出しが、抜けたところでハーッ、と感嘆漏れる。ツルプリホクホクの褐色のゆで卵は、シャッキリの冷奴と旨さ相乗。体力使った夏散歩の後の、ローカロリー高タンパクが体に嬉しい。洋館巡りからチャイナタウンへ、エキゾチックのちオリエンタルな一期一会。

客も少なく店主も手持ち無沙汰な、平日ど真ん中ののどかな晩。閑散とした店内に響くのはラジオの音、思い出すのはそんな台北の屋台で軽くやった、小吃と青島瓶の懐かしい旨さかな。一献一品の小さな酒宴、想好吃的天下泰平なり。

一献一品出合い酒@館山

2014年07月28日 | ◆一献一品出合い酒
駅から近い寿司と海鮮の「波奈総本店」にて、岩の井 生×アジのたたきさんが焼き。魚どころを巡る散策の昼飯なら、朝に水揚げを見学したとれとれ地魚に県内は御宿の地酒の、このコンビが似合う。

早朝の水揚げ見物から漁業の博物館へ、しっかり歩いた空腹は、当地の魚でなければ埋まらない。アジづくしのオーダーから、アテは漁師料理のさんが焼きだ。程よく炙ってひと切れいけば、外はカリッとお魚ハンバーグ、中は半生のジューシーさ。味噌がこってりショウガがさっぱり、雑把な味付けが漁師の家庭の味らしい。甘い冷酒でスパッと受ければ、青魚の旨さがふっくらと寄せては返し、合わせ迎える盃が喉をキュッと冷やし締める。内房の魚と外房の銘酒が、黒潮分流で逆巻きつながる一期一会。

刺身にたたきに炙りと、地アジ三昧は握りの食べ比べへと続いていく。庶民派ローカル魚がうまいことこそ、東京湾の豊かさの証でもある、恵みありがたき地魚昼の宴かな。一献一品の小さな酒宴、味良し天下泰平なり。