ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

橙のブラックチャーハン@大橋

2017年06月26日 | 町で見つけた食メモ
とあるめしばな漫画で、「伝説のブラックチャーハン」というのがあった。ギャバンをひたすらふりかけまくったもので、一線を越えると味がビシッとまとまる、とか。

職場最寄りの店に同名の品書きがあり、恐れつつオーダーしたところ、黒は黒でも黒醤油の香り高い逸品だった。美味いが、一線を越える境地は味わえず無念。

ローカル魚でとれたてごはん…甲府 『魚保』の、甲府流儀の握り寿司

2017年06月24日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
甲府駅前にそびえる舞鶴城の膝元には、かつて「魚町」という町名があった。名の通り、古くは武田氏の時代に「肴の市」が立てられた記録が残っており、江戸期以降、昭和48年に甲府中央卸売市場が郊外に設置されるまでは、魚問屋や仲買人が集まる水産流通の拠点だった。近くを当時駿河湾からマグロを運んだ中道往還が通っており、物流の要衝として優れた立地だったことも、ここに市場が設置された一因だろう。

甲府流のマグロ料理を味わった翌朝、現・中央三丁目付近の旧魚町界隈に、足をのばしてみた。あたりはほぼ市街化され当時の面影が乏しい中に、「魚町通り」との道路名、屋号にうおまちと冠するアパート、さらに営業しているか定かではない古い鮮魚店など、名残がちらほら見られた。国道411号との交差点の手前は、明治期に甲府魚市場が設置されていた場所。現在はマンションが建っているが、向かいには煮貝の老舗「みな与」が、当時を彷彿させる白壁の商家を構えていた。1584(天保12)年の開業時からここで営業しているから、まさに魚町の市場の変遷を見守り続けてきた店舗といえる。

アワビもマグロと同じく、当時は沼津から中道往還などを経て運ばれた魚介で、煮貝はタレの味付けや漬ける時間など、旨さを引き出す工夫を重ねた賜物だ。そしてマグロも握り寿司のタネとしては、当地独特の工夫がなされているのが興味深い。そのひとつが生のまま握るのでなく、いわゆる「仕事」を施してから握る点。江戸に比較的近いため、江戸前の技が伝わった影響といわれているが、実際にはまだ物流が脆弱だった時代に、生魚の日持ちを考慮してとの説が有力だ。流通が発達するに連れ、一般的なスタイルの寿司屋が主流となる中、現在もかつての「甲府流」の握り寿司を供する老舗が、いくつか残っている。

昼食はその一軒の「魚保」に決め、旧魚町から歩くこと15分ほど。店は緑地と動物園が整備された遊亀公園に近接していて、開店時間の直後に訪れたらすでにテーブル席が埋まっている人気ぶりだ。お客は9割方が地元の人たちで、昔からのスタイルの寿司に対する愛着の強さの表れだろうか。ランチの握りは800円と安く、イカ、エビ、アナゴ、シメサバにマグロ、巻物のかなりのボリュームだ。さらに数だけでなく、注目すべきは一カンの大きさ。シャリが普通の寿司の1.5倍ぐらいはあり、なんと二つに切って供されているのである。

これが甲府の握り寿司のもうひとつの特徴で、かつてハレのごちそうだった頃の大きさを、そのまま継承しているのだ。加えて目につくのは、どの握りにもたっぷり塗られたツメ。醤油ダレを煮詰めたもので、「仕事」の中で最も代表的な仕様である。タネの表面のみならず酢飯にもしっかり染みており、ピカピカとした光沢と艶が見事だ。醤油もつけたほうがよいか店の人に聞くと、「お好みでどうぞ」とのこと。二つに切ってあることだし、そのままと醤油をつけてのそれぞれで、味を比べてみることにした。

まずはイカをそのままでいくと、酢飯の甘さのあたりがかなり強いのに驚く。ほぼ砂糖甘さで、あとからほんのり酢の酸味が乗っかってきた。これに、酢飯に染みたツメのトロリとした甘さと香ばしさもかぶり、握り寿司の観念とは異なる多重な味覚が錯綜した、複雑玄妙な味わいだ。イカとアナゴはツメとしっくり相性がよく、サバは締めた酢と酢飯の甘さがぶつかりせめぎあい相乗する。そしてマグロは、酢飯とツメと赤身のうまさが、見事にマリアージュ。トロの脂とは別の角度から入る甘さながら、味わうごとに未知なる味覚が開拓されるかのようである。

ひと口できれいに入る大きさのため、ひょいひょいと進み、シャリが大きいから食べ終えたら結構腹一杯になった。二日間のマグロ探訪で思い入ったのは、貴重な海の魚介を無駄なく、手間をかけて味わい尽くす心意気。当地の人たちのそんなマグロへの思いからすれば、海なし県とはいえ甲府も立派な魚どころといえそうだ。

甲府おさかなてくてくさんぽ7

2017年06月24日 | てくてくさんぽ・取材紀行
甲府さんぽ、ゆるゆると南に歩き、遊亀公園へやってきた。児童公園と動物園がある市民憩いの場だそうで、夏日となったさんぽにはオアシス的に嬉しい。甲府城が舞鶴城なのに対し、「亀」は所以があるのだろうか。

一息ついたら、甲府の驚くべき、というか驚こうと思えば驚けないこともない寿司食文化に、切り込んでみましょう。

甲府おさかなてくてくさんぽ5

2017年06月24日 | てくてくさんぽ・取材紀行
甲府さんぽ、駅周辺は古社とか教会とかがポツポツあり、歩いていて飽きない。横丁や小路がホントに多く、駅周りの探検だけでも結構楽しめそうだ。

一方、コンビニやチェーン飲食店が少なく、特に喫茶店が見つからないこと。仕方なく市役所のロビーで休憩中、昼ごはんまでにもう少し歩いてみましょう。