ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

日々是好食…産地で喰らう地鶏

2013年11月19日 | ◆日々是好食
産地に出かけて食材を味わい思うのが、その「生気の強さ」だ。歯ごたえの爽快さに雑味のなさ。生命が食材に役割を変えてからの、時間の短さがそのまま、食感に食味に現れているようだ。消費地で味わうのと大きな違いには、その時間の差が影響しているのだろう。

野菜や魚介に比べると、食肉は落としてから熟成に時間が必要なため、産地で味わう理由にやや欠けるところがある。が、鶏肉だけは別。魚介でいう水揚げ直送、野菜では朝摘みと同意の「朝挽き」という形容が、鮮度も味のうちなのを伝えてくれる。

ベストな火加減に炙られたモモ肉、胸肉に喰らいつけば、ギシギシ、ガシガシと強靭な歯ごたえが迎え撃つ。ケージ飼いでなく平飼いで大地を走り回って育った、アスリートな肉らしい。じっくりにじみ出てくる旨味、ジュンと染み出る脂や肉汁の澄み具合も、当地の自然を取り込んだかの純粋さだ。

地魚、地野菜と称される一方、地肉という言い方は聞かない。鶏肉だけは「地鶏」との呼称があるのは、そんな飼育・流通の特徴のせいもあるのだろう。産地へ出かけて健康な地鶏を喰らえば、生気を取り込んで元気に羽ばたけるようになること請け合いだ。