ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

旅で出会ったローカルごはん99…新潟・石打 『石打丸山スキー場』の、カレーと地酒「鶴齢」

2008年03月01日 | ◆旅で出会ったローカルごはん


 前回スキーに行ったのは、いつだったろうか。思い出してみたら、まだ大学生だった昭和
64年の冬休みに、苗場スキー場に行ったのが最後だった。昭和64年? 平成元年の間違いでは、と思うかも知れないが、旅程は1月5~8日で、最初の2日はたった1週間しかなかった昭和64年。そして7日の昭和天皇崩御をスキー場で迎えた、という訳だ。
 当日の苗場といえば、ゲレンデではユーミンがガンガンかかっていて、全国が「自粛」ムードなのにお構いなしの別世界。それにしても苗場でユーミンか…、「私をスキーに連れてって」「恋人はサンタクロース」の頃、いわゆるバブル末期の話である。
 肝心の腕前のほうはというと、転倒、つっこみ、止まらず、曲がらずの3日間で、そのまま時がたつこと15年。「冬休みにスキーに連れてって」との子供たちのリクエストに答え、この冬は家族みんなで、区が主催するスキー旅行に参加することになった。行き先はかつて行った苗場に近い、新潟県の石打丸山スキー場。
 子供達は幼稚園の頃からスキー合宿に参加しているため、スキーの腕前による序列は私が家族で最下位なのは間違いない。よって1日目の午前中は初心者向け教室に参加、おかげで止まって、曲がって、と、人様に最低限迷惑をかけない動きができるようになり、まずはホッとする。



比較的初心者向けの、石打丸山スキー場


 そんな具合に無事? 午前中のレッスンを終え、一行はゲレンデの中腹にあるレストランで、昼食兼休憩をとることになった。食券を買ってセルフサービスの仕組みで、グループの代表がまとめてオーダーしてくれることになった。と言っても連休初日の昼時ということもあり、カウンター周辺はものすごい混雑だ。
 
「なるべく同じオーダーにまとめたほうが、早いかもよ」と、選択肢はカレーかラーメンとなったので、カレーをオーダー。2階の予約席に腰を下ろし、スキー靴から足を抜くと、ガチガチに固められっぱなしだったのから開放されて、フッと力が抜けてリラックス。
 混雑のおかげで、なかなか料理ができ上がってこないのにしびれをきらしたのか、グループのひとりが自動販売機にビールを買いに行った様子。すぐに盆の上に、ビールのロング缶をいっぱい載せて戻ってきた。誘われたのでご相伴にあずかり、1本グイッ。グループの人が言うに、「スキー場で飲む昼ビールは酔わない」というのが定説らしい。寒さのせいか、それとも慣れない運動に全緊張しているせいか、炭酸と麦の味が爽やかだけれど、確かに酔いは回らない。

 壁に貼られた品書きによると、ビールのほかに地酒もあるのが、さすが酒どころ・新潟。銘酒「八海山」もあるが、地元・塩沢に蔵を構える青木酒造の「鶴齢」にひかれ、カレーがまだこないのをいいことに冷やでオーダーしてみる。するとなみなみ注がれたグラスを、枡で下から受けるスタイルで出されてきた。
 グラスを口で迎えに行って、まずはひと口。米の甘みを生かしたフルーティーな酒で、本醸造なのに吟醸酒のような甘さがある。巻機山の雪解け水を、仕込みにつかっているせいか、後味がキリッと切れ味が鋭い。
 寒い中で飲む冷酒はどんどん進み、グラスが空になると枡にこぼれた酒を最後にグイッ。こちらはビールと違って体の芯からじわっと熱くなり、次第に軽く酔いが回ってきたような気がする。



鶴齢は地元・塩沢の地酒。スッと飲みやすい


 スキー場の昼食といえば、レストハウスでカレーやラーメン、うどんあたりが定番だろう。もっとも値段は1000円オーバー、しかも体が暖まり空腹を埋めるのが目的だから、味を問うてはいけない、というイメージが強い。きちんと調理しているところはいいほうで、中にはどう考えてもレトルトのカレーを使ってるのでは、というところも。そういえば苗場のときに食べた昼食のカレーは、いずれも具がなかった気がする。
 ロング缶を1本空けた頃に、ようやくアナウンスがありカレーが運ばれてきた。見たところちゃんと具が入っている、といっても主役は肉ではなく、ツナカレーだ。缶詰にはいっていたまんまのようなのが、ゴロゴロといっぱい入っていて、これはこれでボリュームがある。ルーもとりあえずはボ○カレーではないようで、800円の値段としては合格点だろう。

 休憩も終わりゲレンデに出ると、日が照ってきたおかげで雪の照り返しがまぶしい。板をはめて滑り出したとたん、曲がりそこねて思わず転倒。午前の練習の成果を、休憩して忘れてしまったのか、それとも単なる酔っ払い運転なのか?(2008年2月9日食記)

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