いまから10年ほど前に、東京と神奈川のラーメン屋のガイドブック編集に関わったことがある。当時はまだラーメンブームが巻き起こる前でラーメンに絞ったグルメガイドは少なく、あっても丼を原寸で掲載するのが売りの、大判のビジュアルムック程度。実用性を重視したラーメン屋のカタログ本が他になかったおかげで、東京、神奈川ともに数百軒ものラーメン屋を1冊にまとめたこの本はそれなりに注目され、売れ行きもまずまずだった。
当時はラーメン本が少ない上、今のようにインターネットも普及していないから、掲載するいい店の情報収集には四苦八苦したことを覚えている。中でも神奈川で評判のラーメン屋の情報は特に乏しく、知り合いのおすすめや、自分が知っている店もずいぶん加えたものだ。だからこの本、実は自分の家の近所のラーメン屋が結構載っている(笑)。最寄りの京急杉田駅の駅ビルにある「満州軒」もその1軒で、最近リニューアルしたというので訪れてみた。かつては「赤ひげ」という店名で、激辛の「ドラゴンラーメン」が主力だったが、券売機の案内によると「あっさり」「こってり」「激辛」など4つのカテゴリーがあるよう。辛味一辺倒から、様々な味や香りの構築を楽しむスタイルに変貌したようである。
かつては5段階の辛さから選べるドラゴンラーメンのファンだったが、新カテゴリーからぜひ激辛以外を試してみたい。おすすめなのか、店の人のTシャツには「さかな節醤油ラーメン」と大きく書かれているのが気になる。壁に貼られた説明によると、ウルメ、カツオ、サバ、焼いりこなどでとった一番ダシをあわせたスープとあり、これはあっさり系のようだ。ひかれるが結構空腹なので、こってり系の「こがしネギ醤油味玉」を頼むことにする。運ばれてきた丼を見る分には澄んだスープがあっさりした印象で、スープの一角には真っ黒な物体が浮かんでいる。「かきまぜないで、麺をここにくぐらして食べてください」と説明する店の人によると、これが味の秘訣のこがしネギ油とのこと。
まずは麺をそのまますすってみると、とんこつ独特のくせと甘みがどっしりした味わい。次に例の油をくぐらしてから口に運ぶと、こってりした中にスープの甘みがより強調され、くせは逆に抑えられているよう。麺にこげたネギの粒粒がからみ、燻したようなキリッとした香りが実に後をひく。食べ応えある太麺をモグモグと食べ終わった頃には、スープ全体に黒い油が広がってしまった。お腹と相談して、思い切ってご飯を追加。スープにぶち込んで味玉を割って、ごはんとスープと半熟卵を一緒に食べるとこれがもうたまらない。
この店、最近はラーメンファンに知られるようになり、店頭には情報誌の掲載記事の拡大コピーがいくつか掲げられていた。でもおそらく、最初にとりあげたのは自分が関わったラーメンガイドだと思う。この店以外でも、後にほかのラーメンガイドにも載ったり、中には雑誌やテレビの特集にとりあげられた店も。自分が最初に発見した店が後に評判になるというのは、ちょっと誇らしい気もする。(2005年10月1日食記)
※明日から週末にかけて5日ほど出かける関係で、今週は週末の投稿はお休みします。次回は来週火曜に投稿予定。出かけた先でどんなローカルごはん、魚どころの特上ごはんに出会うか乞うご期待!
当時はラーメン本が少ない上、今のようにインターネットも普及していないから、掲載するいい店の情報収集には四苦八苦したことを覚えている。中でも神奈川で評判のラーメン屋の情報は特に乏しく、知り合いのおすすめや、自分が知っている店もずいぶん加えたものだ。だからこの本、実は自分の家の近所のラーメン屋が結構載っている(笑)。最寄りの京急杉田駅の駅ビルにある「満州軒」もその1軒で、最近リニューアルしたというので訪れてみた。かつては「赤ひげ」という店名で、激辛の「ドラゴンラーメン」が主力だったが、券売機の案内によると「あっさり」「こってり」「激辛」など4つのカテゴリーがあるよう。辛味一辺倒から、様々な味や香りの構築を楽しむスタイルに変貌したようである。
かつては5段階の辛さから選べるドラゴンラーメンのファンだったが、新カテゴリーからぜひ激辛以外を試してみたい。おすすめなのか、店の人のTシャツには「さかな節醤油ラーメン」と大きく書かれているのが気になる。壁に貼られた説明によると、ウルメ、カツオ、サバ、焼いりこなどでとった一番ダシをあわせたスープとあり、これはあっさり系のようだ。ひかれるが結構空腹なので、こってり系の「こがしネギ醤油味玉」を頼むことにする。運ばれてきた丼を見る分には澄んだスープがあっさりした印象で、スープの一角には真っ黒な物体が浮かんでいる。「かきまぜないで、麺をここにくぐらして食べてください」と説明する店の人によると、これが味の秘訣のこがしネギ油とのこと。
まずは麺をそのまますすってみると、とんこつ独特のくせと甘みがどっしりした味わい。次に例の油をくぐらしてから口に運ぶと、こってりした中にスープの甘みがより強調され、くせは逆に抑えられているよう。麺にこげたネギの粒粒がからみ、燻したようなキリッとした香りが実に後をひく。食べ応えある太麺をモグモグと食べ終わった頃には、スープ全体に黒い油が広がってしまった。お腹と相談して、思い切ってご飯を追加。スープにぶち込んで味玉を割って、ごはんとスープと半熟卵を一緒に食べるとこれがもうたまらない。
この店、最近はラーメンファンに知られるようになり、店頭には情報誌の掲載記事の拡大コピーがいくつか掲げられていた。でもおそらく、最初にとりあげたのは自分が関わったラーメンガイドだと思う。この店以外でも、後にほかのラーメンガイドにも載ったり、中には雑誌やテレビの特集にとりあげられた店も。自分が最初に発見した店が後に評判になるというのは、ちょっと誇らしい気もする。(2005年10月1日食記)
※明日から週末にかけて5日ほど出かける関係で、今週は週末の投稿はお休みします。次回は来週火曜に投稿予定。出かけた先でどんなローカルごはん、魚どころの特上ごはんに出会うか乞うご期待!