ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

日々是好食…ご当地アイスのインパクト!

2013年03月31日 | ◆日々是好食

 銀座に立ち並ぶアンテナショップのひとつ「茨城マルシェ」は、首都圏に食材を供給する茨城県の土地柄、レストランで使う農産物も水産物も、普段使いの身近なものが中心だ。料理も特段際立った個性はない分、ホッと安らぐなじみのものが多い。

 そんな中で濃い茨城キャラを放つのが、締めの納豆アイス。スプーンでとると、ネバーッとあの糸引き。舌にはひき割りの粒々が感じられ、名物の納豆感が実にリアルである。

 味の方は豆甘さが香ばしく、粒々もヘーゼルナッツのトッピング風で、キワモノではなくなかなかいける。各地にはワサビや味噌のソフトクリーム、醤油のアイスがあるぐらいだから、トラッド日本食系アイスの仲間として、これはありかも。


日々是好食…ローカルごはんの流儀

2013年03月30日 | ◆日々是好食

 先日は前橋の豚肉での町おこし「tontonのまち前橋」について触れたが、前橋市民に絶大な人気を誇る鳥飯というのもある。某・県別文化バラエティ番組でも紹介され、お祝いなど人が集まる際は、かならずこの鳥飯をいただくとも。

 「登利平」の上州御用鳥めし弁当は、名前の御立派さもさることながら、群馬県優良物産品に推奨されているとか、能書きも御立派。味を考慮して、との薄くスライスした胸肉は、部位と厚さのため淡白で旨味が軽い。甘辛のタレはご飯に合い、タレ飯の存在感がしっかりしている。いただいた松のほか、竹にはモモ肉も相盛りだそうで、こちらは肉の食べ応えがありそう。

 某番組によると、この弁当を食べ終えたら、蓋をしてきれいにくるみ直して元通りにするのが、前橋の流儀とか。由緒といい、ローカルごはんながら諸々折り目正しいのが、前橋クオリティなのか?


からくに家のブデチゲ@大門

2013年03月26日 | 町で見つけた食メモ
年一の家族の所用の後、年一で外食する浜松町界隈。昨年好評だったので、駅出口横の韓国料理「からくに家」を一年ぶりで訪れた。

仁寺洞コースは2500円ながら、キムチ3品にチャプチュ、豚キムチ、ケジャン、ナムル、サンチュ、海鮮チヂミ、あと2〜3品あったような。鍋はダブルメインで、プルコギ食べてうどんをやって、締めにはブテチゲが登場した。

ブテチゲは「部隊鍋」、すなわち軍用食がルーツとも。米軍の影響で、ソーセージやスパム缶を具に使うのが特徴だ。麺はインスタントを豪快に煮込む。にしてもこの迫力の盛り、敵を迎え撃つ最前線のバリケードか?

ローカルミートでスタミナごはんbyFb…前橋 『そば処大村』の、前橋ソースかつ丼

2013年03月24日 | ◆ローカルミートでスタミナごはん

 今夜訪れている前橋は「tontonのまち」と称し、豚肉料理で町おこしを展開している。畜産が盛んな土地柄に加え、紐解くとかつて上州で隆盛を極めた製糸業も、深い縁があるという。ヨーロッパからの技術者が多数居住していたことが、西洋の肉食文化の伝播につながり、地場産の豚肉が食材として注目される。前橋の繁華街には当時にしては珍しく、西洋料理店やレストランが目立っていたそうで、工員たちがたまのハレの料理に、カツやポークカレーやソテーを味わっていた、なんて具合だったのか。

 とんかつ、豚丼、焼肉、カツカレーと挙げればきりがない中、前橋のソースかつ丼は近所の桐生と並び、一説には発祥の地ともいわれている名物料理だ。昼のイベント会場でいただいたのは、市内のそば処である「大村」が供する、その名も「おそば屋さんのソースかつ丼」。店ごとに工夫するタレは、そば屋だけに「かえし」をベースにしたのがポイントという。

 かえしとは、そばつゆの基となる濃縮ダレのことで、醤油と砂糖とみりんを加熱し、じっくり寝かせたもの。そのため、衣に染みたタレは砂糖甘さが分厚いのに、スキッとキレがいい。角のとれた甘さと香りが、どこか郷愁をそそる芳香で、ずっしり詰んだヒレカツの食味をガッチリ支えている。

 当時の人々にとって、レストランはちょっと高価でよそ行きだったろうが、和テイストなカツ丼なら手が出やすかったのでは。外国人技師が伝えた「西洋料理」が、前橋の「庶民派ローカル洋食」になる過程は、ひょっとしたら彼らが普段使いしていた大衆食堂やそば屋こそが、担っていたのかもしれない。


日々是好食…冬のきつね

2013年03月23日 | ◆日々是好食



 キリキリに冷えが染みる、降雪も噂されるこんな朝。仕事に向かうべく最寄り駅に飛び込んだら、束の間の暖にホッ、と緩む。改札越しに目に入ってくる「そばうどん」の暖簾は、まさにその瞬間を狙ったような立地だ。湯気立ち昇る丼を片手に麺をたぐる、真っ赤な顔した客の姿から、さらなる暖を求める身としては、抗い難い熱が伝わってくる。

 空腹をしっかり埋める訳でなく、道すがらサッと入りズッとすすっていく手軽さなら、きつねうどんあたりがお手頃だ。湯気がゆらゆら昇る丼からまずは麺をズッ、熱々のつゆを一口グッといき、フーッ、と安堵すればホッコリ白い息が。さらに大振りの揚げをグシュッといけば、甘くヒタヒタな汁の優しさにまた、安堵する。

 うどんの腰と揚げのソフトさ、つゆの醤油辛さに揚げに染みた砂糖甘さ。シンプルながらコントラストある味わいは、東と西でダシの材料や揚げの形が様々でも、変わらぬスタンダードだ。ストン、と肚に落ちていく素直さが、普段使いの面目躍如。出勤前の「働き麺」、寒い朝の「温もり麺」、冬のきつねが身に染みる朝である。