暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

別れない朝

2008-07-12 | -2008
奥にそびえるいくつもの塔を不安げに見つめているのだ、
お前はきっと眠れぬ夜を過ごしているに違いない。
疲れたのならば私の胸を借りて、
さえぎられた世界で鼓動を聞き眠るといい。
私は一晩でもその寝顔を見つめていよう、
お前の奥にそびえる塔を見つめ続けよう。
もしもお前がそれから目を覚まさないのならば、
深く沈む樹海をどうか私が引き受けるだろう。

お前が苦悩する姿こそが私の塔群、
私自身の眠りなど何の救いにもなりはしない。
たといお前が心苦しさに決別を決めようとも、
目を覚まさぬお前に何ができるだろう。
私の胸の中で眠ることができるのならば、
いつまででも眠るといい。
お前の夜は私の朝に他ならず、
お前の持つ塔こそが私の寝床なのだ。

眠りを知らぬ脆弱な想い人よ、
目覚めないからこそお前は美しい。
そびえる塔はお前の奥からそびえ立ち、
ただ疲れるばかりの血脈を迸らせている。
私は銀色に光る塔を見つめていよう、
お前が幸せな鼓動を捨て目覚めることのないように。

2 コメント

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Unknown (愛して涙をながしおしまいだ悪いことじゃないただほんの少し救えないほどにはかなかっただけ今日僕は人の捨て方を知りました)
2008-07-13 17:12:45
891
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だいたいなにもかも打算ばかりで金勘定のように人を見つめるわたしには (鶏卵)
2008-07-16 06:43:43
そもそも人をひろうことが、
できません。
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