暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

親愛の抱擁

2014-09-26 | -2014,2015
あなたのためにとしたことを
あなたは感謝してくれず
わたしは感謝が欲しいがために
無益なことをしていたらしい
それでもわたしはあなたのために
ただただひたすらあなたのために
生きてきた、息をし続けた
あなたはわたしを見ているようで
その実自分を見ているばかり

ときどき首を絞めたくなります。
自罰的に、わたしはわたしの首を絞めます。
ぶら下がると死んでしまうのです。
わたしはあなたの死の先を想います。
わたしの死は飽和したのです。
知覚できるだけ、とても幸せなことです。

あなたのためにと動いたすえに
わたしの心は少なからず
少なからずすり減ってしまった
叫ぶことができないのは知っている
ただ、ただわたしは遠くへいきたい
それがなによりあなたのために
そしてなによりわたしのために
たとえあなたは嘆いても
じきにわたしは忘れ去られる
少なくとも日常を忘却できるならば
わたしもまた埋没させることができる

わたしはあなたの死の先を想います、
記憶上のそれらはきっととても幸いなことです、
あなたにとって、わたしにとって、
この上ない幸せに。

死んだときに言い訳が立つじゃない?

2014-09-24 | -2014,2015
膝までぬかるみに嵌った時、私はいつも、
きっと大丈夫だろうと高を括る。
時が過ぎれば嵐は過ぎると、見もせず勝手に見当付け、
眠り、沈み、
朝になれば腰まで深く沈んでいる。
正しい判断など博打のようなものだ、
私はなおも認めない。
もはや自力で排泄することもできない。
それでもなおも認めない。
嵐ならばあるいは待てば良かったろう、
賽を転がし天啓を待ち、
私はずぶずぶ沈むのだ。
胸を圧されて息も絶え絶え、
そこでようやく喘ぎ始める。

あの時早くもがいていれば、
あの時早く気付いていれば。

いつもそうだ、私はいつも
何とかどうにか抜け出しては、
性懲りもなく足をすべらせ、
いつしかもがくのも、疲れてしまった。
どうしてもっと早く、もっと前に。
体を動かすだけでもたいへんな労苦だ。
それでも、もがかなければ、
もがかなければ、
もがかなければ。
そうすれば。

かんしゃく

2014-09-20 | 暗い
私の中の幼児性が
狂ったように叫び出す

なので私はそれを殺し
死体は細切れにして箱に詰め
タンスの奥へと追いやった

耳障りだったのだ
とても耐えきることができなかった

だから私はそれを殺し
だいたいは快適に暮らしている
そのつもりで暮らしている

私の中の幼児性は
静かに異臭を放っている

だって捨て方などわからない
ただ奥底にしまうばかりで
あとは忘れるように努めるしかなく

さいわいにも鼻の鈍い私は
だいたいを快適に過ごしている

ときどき叫ぶ、汚泥をまき散らし
私の中の幼児性は
大人になることを許さない