暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

腐敗

2009-04-07 | あたたかい
私の悲鳴を聞かないで
時計の針は逆さに廻る
何もかもがあるということは
きっと幸せと不幸せの天秤から
落とされるということ
蛹になって羽を得るか
腐り病巣へ変わるかは
その天秤では量れない
小さくなっていく私は育ち
時計が逆さに廻るということは
逆向きでも進んでいるということ
決して戻ることはない
どうか私の悲鳴を聞かないで
繭の逝く先を知っているなら

2009-04-05 | 心から
はきなれた靴は擦り切れて
背の高い雑草に奪われた膝の皮が
しりしりとわたしに恨み言をつらねる
転べば鬱血を増やし
覚束ない足取りはぬかるみに自由を奪われ
獣にさえなれないわたしが座り込む
喉の管を粘膜でつぶされる痛みにあえいで
なつかしい床のことを思う
それでもわたしは
窓から見下ろす飼い猫にはなりたくなかったのだ
役割などはわからないから
わたしは細い足のまま土を踏んだ
いまや神経もかよわぬ肉をうごかして
そばには居ない嘲笑うひとの声を聞く
弱さを認めず
力量も知らず
ただ死に向かうだけの馬鹿
役割を果たしていれば
可愛そうに死ねたものを、
虫にすら劣ると嘲笑うひと
けれどあなたよ
あなたはきっと知らないだろう
あてもなくただ歩く苦しみを
動けば致命傷かもしれないが
動かなければ生きれぬ選択を
わたしは知れたなら幸せだ
わたしは知れたからしあわせだ
おのれの弱さを知りながら
靴も服もいつか腹へとおさめ
わめき醜く肉へと変わり
獣に食われて有機へかえる
あと一歩だけすすめばいい
ただそれだけでしあわせだ