暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

殺意

2008-03-28 | つめたい
私の代わりに涙をこぼすと言うのなら
私の代わりに笑えばいい
お前などには吐き気がしていて
そのような世迷言を抜かす姿が愚かしいと思っているのだ

私の代わりに不幸を背負うと言うのなら
その言葉を後悔するがいい
一瞬の後に消える有限に
どこまでしがみつく道理があるといえるのだ
偽善もまた認めよう
だがお前の言葉は燗に障る

私の代わりに死のうと言うのなら
私はお前を殺してやろう
名前も知らない不特定多数
複数系のお前たちすべて
私はお前たちを殺してやろう
何もかもが快くないのだ
聖職者にでもなったつもりか

なぜ疑いもしない
なぜ理由がない
なぜ知る気がない
なぜ怯えるのだ
私の代わりに不幸になると言うのなら
まず幸せになるがいい
私はどの道幸せなのだから
私の代わりに涙をこぼすと言うのなら
私の代わりに笑えばいい
笑ってそれから
私を代わりに殺せばいい

相棒の契りを

2008-03-28 | -2008
私の左腕を餞別に
君は戦場へ行きなさい
二度とは会えないつもりならば
君も死ぬ気で守るだろうか
愛しいと嘯くこの私の左腕
いずれは肉は腐り黒が滴る左腕も
骨ばかりは残るだろう
私の尾とともに君は戦場で倒れ土に埋まる
あの世までの切符代わりに
私の左腕を与えよう
人は脆く儚いものだ
それを知ることができるのなら
私は喜んで君に片吾を差し出そう
だから君は戦場へ行きなさい
そして身を果たしなさい
これが私の愛の言葉

現代詩

2008-03-27 | 心から
詩とは旋律であるべきだ
詩とは絵画であるべきだ
互換性のない傑作は塵と同義
詩とは特性の異なる共通作 つまりは
他の何にも変えがたい究極体であるべきだ
互換のできる傑作は灰と同義

follow hollow you

2008-03-26 | -2008
君の真似事をする
仮面をつけて舞う姿は
なんだかとても綺麗だった
僕は君のようになれるだろうか
成り代わったって意味もないけれど
それでもあまりにも魅力的だった

足跡を追うように軌跡をたどり
君へ辿り着く準備をする
予定にはないことを計画して
僕は君の仮面で壇上を舞う
あの時のように美しくはなれない
なれるはずもないけれど
ただ忘れてはいたくないから
僕は君の仮面で壇上を舞う

感情の激しさのあまり
それ自体に飲み込まれることは醜いと
真実なのかどうかはわからない
僕はそうは思わない
ただ
君に言うことはできなかった

ビロードの衣装がかすむほど
君の姿は神々しかった
僕はどれほど
その背中を追い掛けたことだろう
笑って仮面をくれた日は映画のように思い出せる
僕は君にとってゼロの中
君は僕にとってただ一つ
今日もまた影を踏むようにして
僕は君の仮面で壇上を舞う

(non title)

2008-03-25 | かなしい
きっと気にも留めていない
それでもいっそかまいやしない
二番でもいい
知られることさえできたなら

砂利のように生きていく
望んだのはこちらの方だ

浅ましい願いは聞き入れられず
都合のつかない現実に満足をおぼえる
暫定的に後悔が痼となって
首を絞めていることにも気付かない
仮想での自殺
けれど死ぬことが望ましくはない
底辺でくすぶる

背中を追うことも叶わなかった
夢が現実になることはない
痛みのない涙を流す
夢の中で幸福をむさぼる

未来はわからないと人は言う
わからないのなら期待はしない
最善を尽くすと嘯いて
折れるよりは打算的に
蛇のように狙ってしまおう

熱はいつしか運動をやめ
それなら日和と諦める
気にも留めていないのならば
気付かれなければいいだけだ
苦い煙草の臭いでさえ

ノスタルジア

2008-03-18 | 錯乱
頭皮
から
こぼれ落ちる
涙に
似た
脳漿のしずく

彼女は二人いる
彼女が二人見える

残酷だといわれた運命も
当然だと受け入れていた
それなのに誰一人として
普通にはしてはくれない

「階段にのぼりなさい」
「それはできません」
「なぜですか」
「足がないからです」
「ならば体でのぼりなさい」
「それはできません」
「なぜですか」
「したくないからです」
「ならばそこにいなさい」
「それはできません」
「なぜですか」

「なぜでしょうか」

こぼれ落ちる
知性のかけら
どこへ向かう
どこへ落ちる

階段をのぼることができないのは
彼女が二人いたからだ
階段のすぐ下でうずくまり
泣くように脳漿を流す
当然の結果として目は見えず
まぼろしのような恋に溺れる

帰りたくなったとして
足も心も頭もない
(彼女は二人いる)
この目鼻立ちによく似た娘
幽体のようにこの体をすり抜け
当然のように階段をのぼり消える

「なぜかって、当たり前のように理由を求めてこられても困る。あなたはそれが当然なのかもしれないが、私にも私の当然があって、私からしてみればそれが当然なのだから、わからないし、たとえ説明したところで当然、あなたは理由なんか求めちゃいないんだ。わかりもしないくせに、わかりもしないくせに、わかりもしないくせに、わかりもしないくせに、私を呼ぶのはやめてくれよ。なぜでしょうか。僕にも教えて欲しい。当然なんて当然のような顔なんて、俺は知らない」
「なぜですか?」

精一杯の満足を

2008-03-17 | 暗い
青にまみれてのたうち回る
私はとても幸せ者だ

例外に含まれる者など
そうそうには現れない
ましてや自分のことであると
思う者ほど例になる

ブラックライトに照らされて
私はおまえを待っている

実験動物が踊る
さよなら、さよなら、さよなら
涙を流す者も
興味のない者も例の中

生きたいと願い
これまでに叶ってきた
次には叶わぬ夢かもしれない
それでもまだ生きている
ご多分にもれず例の一つ
陳腐な苦痛は共感を与え得るに
充分だ

気おく違い

2008-03-13 | -2008
発信先は自分宛
「そろそろ真剣に自殺でも考えるがいい」
客観という名の被害妄想
楽観して首を絞めるよりはいい
決心の内容でさえおぼろげで曖昧だ
ただ惰性で傀儡のごとく徘徊する
忘却は強弱をつけ振り子のように
理性をまるで衰弱させる

廃人でさえ避けて通る
道端に捨てる愛情と計画
求められているというのは誤りだ
求めているのみで生産性もない
狂に受ける共感と侮蔑
求められているというのは誤りだ
求めているのみで生産性もない
まことを知れば気が痴れる

受信先は自分より
「くたばれ」
苦心し編み出す自己弁明
わかっていると嘯いて
わかっていないと蔑んで
上がってみると嘘ついて
下がってみたいと負け続け
忘却し忘却され忘却よろしく忘却を受け
既に期限は切れてしまった

おれの名前は何だった
それも叶えば感謝した
執拗な虐待にまみれることのない
綺麗な肉体に見合わぬ創傷の数数
忘却は強弱をつけ振り子のように
脆弱な理性をたやすく崩壊させる
「だからあの時死ねと言った」