伽藍堂の裏側を
優しいその手で撫でてくれ
晒され冷えた裏側を
温もりある手で撫でてくれ
私をもしも抱いたなら
それは空気のない風船
膨らませども息吹けども
ぷかぷか土を漂うばかり
捲れ上がった皮の端
無邪気なその手で剥いでくれ
裂けて破れた皮の端
ただしいその手で剥いでくれ
私へもしも触れたなら
それは中身のない袋
詰め込ませども息吹けども
ゆらゆら床を這うばかり
迸るはずの血潮もなく
うねるはずの臓腑もなく
ぞりぞり
ぞりぞり
鱗を逆さに撫でる音
ささくれ剥がされゆく痒さ
もしも私が
もしや私は
伽藍堂の内側を
優しいその身で裂いてくれ
伽藍堂の血と肉を
温もりある身で浴びてくれ
無邪気な貴方
ただしい貴方