暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

破滅と幸福

2022-01-25 | 狂おしい
伽藍堂の裏側を
優しいその手で撫でてくれ
晒され冷えた裏側を
温もりある手で撫でてくれ
私をもしも抱いたなら
それは空気のない風船
膨らませども息吹けども
ぷかぷか土を漂うばかり

捲れ上がった皮の端
無邪気なその手で剥いでくれ
裂けて破れた皮の端
ただしいその手で剥いでくれ
私へもしも触れたなら
それは中身のない袋
詰め込ませども息吹けども
ゆらゆら床を這うばかり

迸るはずの血潮もなく
うねるはずの臓腑もなく
ぞりぞり
ぞりぞり
鱗を逆さに撫でる音
ささくれ剥がされゆく痒さ
もしも私が
もしや私は

伽藍堂の内側を
優しいその身で裂いてくれ
伽藍堂の血と肉を
温もりある身で浴びてくれ
無邪気な貴方
ただしい貴方