暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

疲労

2008-12-19 | -2008
液化した鉛を飲み込んで
目には油を注ぎ込む
耳をシリコンでふさいだあとは
鼻にアンモニアを塗りたくり
プラスチックに舌を浸して
指先は硫酸で膜を張る
張りぼてまがいのにんげんが
今日も元気に前後運動
頭は今日もエンドルフィン漬け
疲れていない日はないのだから
疲れた日にははめをはずすさ
笑う唇をかみちぎり
それがソフトビニールだと気付く
張りぼてまがいでも生きているんだ
毎日ただ磨耗していき
どこかが狂ってしまったならば
付け替えてしまえばよかっただけ
違和感は脳内麻薬にかき消され
萎縮する記憶はただ遺伝子の奴隷になる
なんにも感じやしない張りぼてのくせに
おったつところはごりっぱで
ぬれそぼるさまはなまめかしく
生きよ生きよと激しく呼吸
毎日毎日ごくろうだこと
ひとりになれば充電される
まるで糸のこんがらがった人形みたく
中身はがらんどうのからっぽさん
しめった笑い声がどこかで響く
鉛がごろごろ音をたてる
その隣ではくんずほぐれつ
使い捨てにんげんを製造中
ママとパパは不能のからだを前後に揺らし
子供をゴミ箱へ投げ捨てる

コメントを投稿