暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

忘れたわけじゃないよ

2018-06-21 | 錯乱
おそろしいものは蓋をして
見えないようにしていれば
わたしは平気でいられるのです

そう そこのシンクにたまる
排水溝の中のような

平気でいるわたしは外に出て
楽しくたのしく笑いました
忘れたふりをしながら

蓋を閉めたはずのものでも
しだいににおいは充満して
目を背けるには限界は
着実に近づいているのです

わたしの隣で笑うのは誰
わたしの周りを歩くのは何

おぞましい怪物の姿を摸した
絵画はやわらかなところに突き刺さり
もはや臭いはたとえようもなく

わたしは平気でいられたのです
汚泥のうえに転がるわたしは
そう信じていたのです

こどく

2018-06-07 | 暗い
沈んでいく夕暮れ
赤く染まった人の影
置いていかないでと泣く子供は
夕陽に弾けて消えてしまった

赤く小さな光を見ている
灰は次々生まれてきて
風に吹かれて塵と消えた

影は長く永く取り残されて
夜闇にほうと息をつく
山の向こうにまたたく鬼火が
灰になるのを眺めながら