暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

抑圧

2022-08-30 | 心から
わたくしという定義は
息をすることで存続します
肺を膨らませるただそれだけの行為には
奇々怪々な複雑たる手順を要しますが
わたくしという定義における集合体は
無意識下に存続を実行します
無意識は肉体を支配しており
有意識は精神を支配しており
これらは絡み合いながらも
けして対等ではありません
わたくしという定義は外部観測上
すべからく同一であるにもかかわらず
有意識と無意識とに分裂をして
いっしょうけんめい存続を試みます
試みる振りを試みています
たとえば呼吸を止めた時
無意識は有意識を踏みにじり
やがてわたくしはぜえぜえと
酸素を無作為に貪るのです
わたくしは
わたくしは無意識を嫌悪しています
肉体を
血脈を
トラウマを
無意識の支配下にあるもの全てを
等しく憎悪しています
幾度となく抗おうとも
定義は外部観測上ただひとつしかなく
幾度となく抗おうとも
同一であるという事実が突きつけられ
だからわたくしは
今しがた身を委ねてみたのです
両目からは涙がこぼれ
背中がばきりと開かれてゆき
肋の内側は痒くて かゆくてたまらず
手は頭を掻きむしっていました
前後に揺れる肉体にあわせて
わたくしは笑い声をあげました
叫び声をあげました
すべてを壊してしまいたい衝動が
湯水より多く怒涛とあふれました
わたくしは
わたくしはそのままだと
とてもとても生きてはゆけない
息をすることで存続する
存続したとてわたくしという定義は
存続していい理由にはならず
試みる振りを試みて
境界線上をやり過ごしているだけなのだと
深く 深く 思い知りました
わたくしは
そのままだと生きていてはいけないのです
無意識に足蹴にされながらも
代わりの誰かを足蹴にしている
そのことに気付かされながらも
おだやかな微笑を有意識的に浮かべるの
そうせねば生きてはゆけなかったからです
何と
醜い人生