暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

独占

2010-04-25 | あたたかい
私は馬鹿が嫌い
でも馬鹿なあなたが好き
私は肉が嫌い
でもあなたの肉は美しい
私は他人が嫌い
好きなのはあなただけ
馬鹿なあなた、
醜いあなた、
愚かなあなた、
あなたなんて大嫌いだと
言い切れないのはあなただから
けれど私はあなたも嫌い
馬鹿なあなたが嫌い
肉にまみれたあなたが嫌い
他人とおんなじあなたが嫌い
好きなのはきっと私だけ
あなたを愛する人なんか私だけ
私だけのあなたでいるなら
大嫌いなあなたこそ私は愛しい
「あなたが好きよ」
「あなたが好きよ」
「あなたが好きよ」
私にしか愛されない
馬鹿なあなた、
醜いあなた、
愚かなあなた、
だから私はあなたが好きよ

感想文

2010-04-11 | 明るい
本の重みは
紙の重み
それ以上の意味はなく
ただいたずらに重みをつみあげるだけのものもあり
重みを忘れさせるほど期待をそえてくれるものもある

紙が時として喜ばれ
電子媒体が蔑まれるのも
決してすべての冊子に与えられる想いではない

そして期待をかなえてくれた
偉人の綴った複写たちもまた
かなえられたあとはいたずらに人の筋肉をむしばむのである

戻れない帰れない見つからない

2010-04-10 | -2010
私は今、
(帰ってきている?)
(遠い場所にいる?)

おぼつかない空間のすきまで
適応できなくなった魚のように揺れている
逃げるように地中へもぐれば
より一層と足は宙を掻いた

人はいずれ変わるという
けれど人並みは変わらない
街並みはいずれ変わるという
変わったからこそわからなくなる
人はいずれ変わるという
いずれといわず知らずに変わる

バスに揺すられ
視線に揺すられ
自意識は揺れ
見えない地面にこころが揺れる
日の当たる隙間に咲いた
背の高い鈴蘭はどこから来たのだろう
しなびて枯れても毒は残るか
日陰へ逃げ帰る私の道には
点々と水が滴っていた

私は今、
(帰ってきている)
(もう還れはしまい)
(遠い場所にいる)
(近い場所さえ掴めないのだから)

鈴蘭が枯れるより早く
水はすぐに乾いた