夕景に霞がかるビルの群れ
蜃気楼に揺れる街はまるで
彼岸から見た此岸のようだ
毒々しい光にさそわれ
川に足を浸したならば
べっとり蛭が纏いつく
ナトリウム製の誘蛾灯が
黄色くほらあなを照らしている
四角い穴は過度に明るく
外側こそが闇のほらあな
四角い産道を通ったあとは
まっくらな怪物が目を覚ます
虫の声が聞こえないよ、
いやな音ばかり聞こえてくるよ
耳をふさげば蜃気楼
ほらあなを通って わたしはいずれ
いちにんまえの怪物になる
彼岸はいずれ此岸に変わる
毒色の光はいずれ
あれこそわたしの誘蛾灯になるのだろう
黄色いナトリウム灯の下には
蛾なんていっぴきも落ちていやしない
ただ、ただ産道には脱ぎ捨てた
やわらかい抜け殻が積もっている
蜃気楼に揺れる街はまるで
彼岸から見た此岸のようだ
毒々しい光にさそわれ
川に足を浸したならば
べっとり蛭が纏いつく
ナトリウム製の誘蛾灯が
黄色くほらあなを照らしている
四角い穴は過度に明るく
外側こそが闇のほらあな
四角い産道を通ったあとは
まっくらな怪物が目を覚ます
虫の声が聞こえないよ、
いやな音ばかり聞こえてくるよ
耳をふさげば蜃気楼
ほらあなを通って わたしはいずれ
いちにんまえの怪物になる
彼岸はいずれ此岸に変わる
毒色の光はいずれ
あれこそわたしの誘蛾灯になるのだろう
黄色いナトリウム灯の下には
蛾なんていっぴきも落ちていやしない
ただ、ただ産道には脱ぎ捨てた
やわらかい抜け殻が積もっている