暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

そして撃った

2015-08-17 | 狂おしい
頭のない体を抱き起こす
首のすわらぬ赤子のように
虚空のまなざしが明後日を向く

かれらは天国へ昇ったろうか
生暖かい血液は地に染みていったけれど
罪なきいたずら坊主ども
骨と肉は魑魅魍魎に分解されたけれど

手を合わせて祈るのだ
母に、父に、大いなる世界に
どうか死んでしまった彼らの犯した
些細な罪くらいはお許しくださいと
死人に鞭打つような真似をしはすまいと

なんて可哀想な彼らであろう
死してしまえば骸がすべて愛おしい
気の毒な犠牲者はなんと無垢であろうか
死という大きな贖いでもって
彼らの魂はおおよそ清らかになり
天国に類するどこかへ昇ると信じたくなるほど

鞭打ち痛むのは生者ばかり
生きている限り彼らは罪を重ねていくのだ
生きとし生ける我ら、彼らはみなすべて
父に、母に、大いなる世界に
手を合わせて祈ろうとも

血肉は日に日に肥大化する
飽食で腐りゆく足にも気付かず
ぬるんだ脂が脈動を繰り返す
罪深き欺瞞の聖職者ども

意志あるまなざしは今日も見ず
正面だけしか向かぬ首
頭ばかりが赤子のようだ

ならば私が救わねば
誰が彼らを救うと言うのだ