暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

重低音

2019-10-07 | 錯乱
どこか遠くで
重い音が

(響いている)

どこから聞こえるかなど
どうでも良い
どうせ
どこからでも無い

(止まった)

外から、いや
内側から?

(響き始める)

遠ざかり
近づいて
ふつりと途切れ
また始まる

耳からではない、これは
耳からでは

(もう聞こえない)

おおきないきものの
呼吸のおと

わたしの隣にいる
わたしの外側にいる
内側を包んでいる
わたしのそばにいる

(もう聞こえない)

うつろう

2019-10-02 | -2018,2019
しあわせそうにうごめくものよ
おまえの口は喋るためではなく
食らうためにのみ開かれるだろう
おまえの手は愛するものを
虐げるためについてはいまい
おまえの足は這いずりまわり
さまようためにのみ動かされるのだ

獣がかなしみを感じるとするならば
おまえに抱くべき心はない
虐げたものたちより更に下へ
落ちたことを喜ぶがいい
しあわせそうにうごめくものよ
永遠はおまえにどううつろうか

何も考えることはない
脳もしょせんは肉の塊
これは救いにほかならず
おまえによくよく似合っている
謗りを受けども声は届かず
報いを受けども心は響かず
心もしょせんは肉の塊
おまえは毎日生まれて落ちる

口は心をとなえるために
手は愛するものを抱くために
足は土を踏みしめるために
脳は悔いてあがなうために
心は祈りをささげるために
時は罪をつぐなうために
すべてを奪われたおまえはなんと
しあわせなしあわせないきものだろう

これを報いと呼ぶのなら
おまえはきっといまより前には
さぞや潔白だったのだろう
だが前などもはや無い
何も知らず朽ちもせず
永遠をおまえはうつろうだろう