暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

悪癖

2014-08-23 | 狂おしい
引きずられて
引っ張られて
どうぞ勝手に死ぬといい
だからお前は弱いのだ
皮膚は一度も裂けてはいまい

共感などというまぼろしにより
お前はお前が殺すようなもの
「なんて、あなたは、やさしいひと」
温もりは遺伝子を黴びつかせ
緩やかな自殺をしているだけ

どうか
どうかわたしをいっそ殺して

下手でくだらぬ嘘などは
誰も彼もが見抜いている
お前がなおも生かされるのは
誰も彼もが転がる石くれのようなもの
胃の中で音を立てるのはお前だけ

引きずられて
引っ張られて
まるで死霊のさそいのごとく
まるで自分の責を認めることなく
どうぞ勝手に死ぬがいい

支離滅裂なもの

2014-08-22 | 錯乱
鈍い色に憂う日は終わり
鮮やかな土の色が畏れを心に植え付ける
それでも街を歩く死の色は
とぼとぼ、とぼとぼと
無言で足跡を刻むのだ

手足がひどくしびれている
頭がひどく不明瞭だ
しかし考えることは必ずしも
動物としての人間に最良はもたらさない

今はただ
ただ生きるだけの獣であれ

四肢も頭も心さえ
酷使して泥に沈んで眠るがいい
穏やかな泥濘にひたる間は
どんなにか穏やかであることだろう
暗く、澱んだ、眠りの泥は
あの土色よりずいぶん眩しい