暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

予言

2012-04-25 | -2012
おとなしくて
笑顔のかわいい素直な子
わたしの、ともだち


にごった目をして
ただぼんやりと床に座って
なんにも興味がないように
煙草を吸っているだけの夢をみて

わたしはいま
あの子とおんなじまなざしで
おんなじようなことをしている

いろいろ考えていたけれど
なんにも考えていたくない
たった五分のインターバル
死んで、生まれて、元どおり

少しだけじゃない涙をながして
それっきりで火を燃やし
泥の底に沈んでいる

生まれて、死んだ
死んで、生まれた
どうでもいい
どうだっていい
元どおり、元どおり
繰り返してくりかえして
血にまみれた紙の筒
煤によごれた肺袋

あの子はわたしだったのかしら
そんなことない、あるわけもない
だってそれっきりのあの子は
きっときらきらした目で笑っている
今も

溶け出す内臓

2012-04-05 | 暗い
不可思議な価値に振り回され、
わたしの生き様というのはなんと醜く無意味であろうか。
陰鬱な部屋から逃れられるのなら何でもすると誓った心は、
朝方の粥とともに溶けてなくなっていってしまった。
後に残るのは搾りかすのようにかさついた骨と皮。
死よりもそれまでの道のりが、わたしは恐い。
だらだらと続く一本道、
坂も壁もない平坦な整備されたその道を、
どこに着くかなどわかりきっているのに歩まねばならない。
歩みを止めて泣き喚く行為に憧れながら、
それでも一番恐れていることをわたしは知っている。
もしもわたしが価値たるものを理解していたとき、
道が増えるかもしれないという事実。
選ばなくともいいという絶対的な平安が、
わたしの恐れを助長し、また軽減してくれているという事実。
何度も何度も確認をしながら、目を背けながら、
道がすぐそこで終わることを願い、分かれ道の出現に怯えている。
わたしを取り巻く不可思議な価値というものは、
唯一無二の友人を殺し、わたしそのものを殺し、
振り回されてもなおわたしはそれに縋って縋りついて生き永らえる。
心などありはしない。あるのは頭と脳と心臓ばかり。
心などという、不確定なものなど、あってはならない。
死よりもそれまでの道のりが、わたしは恐い。
この陰鬱な六面体の中で、朽ちて死んでいく、
情けない自らを意識しながら死んでいくことが何よりも恐い。
だから心などあってはならない。
何度も何度も確認をし、繰り返しながら、
朝の粥は昼に吐き出し、昼の粥は夕に吐き出し、
いまだ地平線の上にある道の続きを眺めている。
誰も、何もいない道の終わりを待ち望んでいる。