暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

需要と供給

2017-07-04 | -2016,2017
私は望むわたしであろうとした
あなたはご満足いただけただろうか
顔をのぞき込む私に唾を吐いて
汚いことばを浴びせるあなた
謝れど謝れど貴方の炎はとどまらず
涙を流す私をせせら笑う
あなたの望むように振舞ったのに
まだご満足には足りないという

何なら氷上を裸足で踊ろうか
燃える石炭の風呂に入ろうか
のたうつ電線に飛び込もうか
どの高さから飛び降りようか
いつものように殴られようか
どこで土下座をすればいいか

何かが悪い、その答えを
あなたは決して教えてくれない
望むわたしであろうとした、
あなたは何を望むのか
死ねと言われるなら死んでみせよう
縄を用意する私を一瞥して
そうしてあなたはまた殴る
原型などとうに忘れた私の顔は
もはや傷ついてもわかりやしない
死さえあなたの望みでないなら
私は何になればいいのか
不出来さに涙を流して謝罪して
足にすり寄り爪先を舐める
顎を蹴りあげられてなお答えはなく
あなたは嘲笑で応えてくる
望まぬわたしなど私ではない
あなたは、なぜ、何も望まないのか、
(わたしは、)
そうだ今度は熱湯を
頭からかぶってみせようか
目の前で犬に犯されようか
罰を受けねばならないのなら
いくらでも罰を受けるのだと
歪んだ顔で微笑む私に
また唾が降りかかる
わたしは、なにも、望まれず、
ならば、
(私である必要は、)