暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

枯れる夏

2009-07-12 | -2009
季節はずれのうぐいすが
過ぎた春を嘯かす
とうに正午を過ぎた日差しは
口笛吹きつつ地面を灼いて
溶け転がるは愚かなかなぶん
大きな足は太陽さながら
見ぬと知らぬが上手なもの
隣の骸はたんなる塊
踏めば悪態を吐いて終わる

病害はさぞかし辛かろう。
白く変わるのは耐えられまい。
正義はおのれで何が悪いか。
血の穢れはもはや治りはしない。
業などと呼ぶは所詮狢のはずだ。
這いずるな、信ずるな、拒否をするな。
餓鬼は隣人の顔で斧を持つだろう。
藪蚊のように飛び回るだろう。
野猫のごとく掻き荒らすだろう。
見なければ知らずにいられる。

おまえがいまどこにいるのか、
死にゆくからだは朽ちているのか、
ただ塊となるまでに、
どれほど苦しみ悶えるか、
果たして自我に終わりはあるのか、
猜疑は誰しもいだくのだから、
見なければ
(知らずにいられる?)

あぶが高らかに笑うなか
すべてを焦がす日差しは
けれども我は知らぬと言う
大きな足も水袋に変わるだろう
小さな罪を見ることがなければ

詐称

2009-07-10 | 錯乱
だれかがあたしのこと
笑って、いるの

孕んだものは妄想のかたまり
産声をあげることはない

羊水が、重くて、
歩くことも億劫なのよ

(忘れてはならないこと)
(どうであろうとも起きはしない)
(望むだけなら壁蝨にもできよう)
(忘れなくてはならないこと)
(肩のだるさは重さにあらず)
(ただ覚えだと認識する癌細胞である)

閉鎖域を数えましょう
星の数えはたいへんだもの

あたしの足のあいだから
じゅるじゅる零れていっている
なくなるまでに忘れていても
重さはきっと忘れやしないの