給料日 2010-01-28 | 明るい 雨と筋肉痛にまみれて 塗れた手はハンドルを握り まだまどろんでいる家々を ぐーるぐーると進んで たとえかつて憎んだ 誰でもない誰かがいたとしても ひと月ほど先になる 報奨の日は何者にも 阻むことはできない
カモメが見ている 2010-01-27 | かなしい ひとりとしての僕を 誰かがそばに抱いてくれること それはきっと確かにあった もしかすると今でも それでも見つけることができないのなら ひとりとしての僕は 腕が空を切り僕にぶつかる 雑音の混じる寂しげなリフ ラジオの周波数を合わせようとは思わない 陸のない海に浮かんで カモメを待っているよう 惨めでないとは言い切らなくても 僕はそれでそれだけでいい 歩くたびに遊離して 最後は霧のように消えればいいと願う そんなものは幼い日のくだらない遊び だけれど僕の生きることそのものも遊び 雑音しか聞こえないラジオは不快なだけ 僕が電気のありかを忘れてしまったように カモメも僕のありかを忘れてしまう くだらない遊びで妄想だと 言い切らせてくれる腕はまだ来ない
自動筆記: 2010-01-08 | 自動筆記 私を呼ぶすべてのもの 愛は理想に反し必ずしも同一にはならず 時に理想に準じすべての生きるものに与えられる 私のからだの内側は真っ黒の煤で汚れている 私のからだの外側は真っ白の脂で穢れている 魚のようにとびはねるとき 終末はゆっくりと幕間からあらわれる 肉を食らえ 知らぬふりをしていれば別れは簡単だ 私は疲れを感じている 私の疲れなど他人のそれと比ではない 私は机に向かっている 私を育てた嘘が地下で死んでいる 私の嘘は死んだふりをしている そうに違いない 飛ぶふりをして落ち 跳ねるふりをしてごまかし 泣くふりをして騙し 傷付くふりをして復讐し 別れのことばを言うときには きっと愛は同一にはならない