暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

挫けた

2014-10-29 | -2014,2015
安穏な日々は私の心を殺し
一個の歯車のようなもの、
歯車に見える何かへと
この姿を変えさせたに違いない

(何か役に立つことをと、願っていた)
(誰かの役に立つような何かを、と)
(それが、私にできる、己の罪悪感への償いだった)

毎日繰り返される自由を咀嚼し
反芻する
そうして私は歯車、
そのようなものへ
求めてやまなかった充足感はいつまでも訪れず
(わかっていたことだった)
燻っていた確信が実像になる、
罪悪感におしつぶされるかつての日々、
苛まれ続けた不安に過ぎなかったもの、
(せっかくしあわせに死ねたのに)
晴れ渡る秋空のように、
私の芯へすとんと突き抜け染み込んでいくのだ

私は、私など
いてもいなくても同じなのだと

ディープキス

2014-10-02 | 明るい
あなたの骨にしゃぶりつきたい
ほんの指先でもいいの
食べるつもりなんてないから
肉よりもっと芯のある
あなたの骨にしゃぶりつきたい
囁きあってくすくす笑って
一緒に手を繋いで眠る日々
充足するはずの幸せは
日常になれば麻痺していくもの
ねえできるなら大腿骨の
筋から骨まで舐めしゃぶって
あばらの隙間をひとすじひとすじ
舌でなぞっていきたいの
わたしはこんなにもあなたを
あなたを愛でたいと願っている
だってあなたの骨はやわらかそうで
それでも芯は強そうで
わたしの骨とは似ていて違う
肌も肉も何もかも
せめて無理だというのなら
またその骨をしゃぶらせて

トライアングル

2014-10-01 | あたたかい
ジョンストン、君の子猿は
手のつけられない暴れん坊だ
僕の右頬を引っ掻いていった
傷はなかなか治らないよ

もう君も知っているんだろう、
子猿は生まれて何十年にもなることを
それでも君にとってはちっちゃな可愛い子猿ちゃん
あの子も未だに指を吸って眠る

僕と君との世界を見比べてみたい
預かった子猿は手のつけられない暴れん坊だ
あいにく僕には情がないものだから
時々子猿の尻を思い切り蹴飛ばしたくなるよ

ジョンストン、最近の子猿は
ほんの少し大人の目をするようになった
僕を見るんだ、じっと見るんだ
わたしのパパはどこにいるのとね

暴れん坊なことに変わりはない
僕にはとても手に負えない
けれど君だってあんまり酷じゃないか、
あの子はじきに捨てられたことを悟るんだ

僕にはとても耐えられない、
だから僕は子猿にありったけ語りかけた
もう指を吸わずに眠る猿に、洗いざらい
猿は檻から逃げ出したよ

哀れな子猿はどこへ行ったろうか
彼らが賢くしたたかならば
今頃君のもとへ訪れているだろうか
僕はロマンチストなんだ、君がかつて言うように

ジョンストン、君の子猿は
どうにも君を好いていたらしい
まだ右頬が小さく疼いているよ
君の左頬には何ができているだろう